ヒップホップ業界に新星が現われた。それがkiLLaクルーのYDIZZY(ディージー)だ。同世代の若者を中心に高い人気を誇る彼について紹介していく。彼に興味を持った人は、ぜひその楽曲を聴いてみてほしい。
kiLLaクルーのYDIZZY(ディージー)は1994年に東京の渋谷で生まれた。渋谷はこれまで新しい時代を創出してきた街で、日本のヒップホップ黎明期から情報発信エリアとしてなじみ深い。そんな街で生まれたYDIZZY(ディージー)はまさに時代の申し子といっても過言ではない。小学校のころからブルーハーツ、セックス・ピストルズなどを聞いてヒップホップに興味を持つようになった。それから日本のヒップホップのアーティストだけでなくエミネムをはじめとするアメリカのヒップホップからも強い影響を受けた。
そんな彼が所属するkiLLaはYDIZZY(ディージー)以外にはKEPHA、YDIZZY、Arjuna、BLAISEといった個性派ラッパー、ビートメイカーのacuteparanoia、デザイナーのyuki nakajoやYESBØWY、DJのNo Flower、そしてマネージャーのRYOSUKEの全部で9名から構成されているヒップホップクルーだ。そのメンバーの多くが渋谷区出身でほとんどが学校の同級生だ。また、ヒップホップとバスケットボールを通じて仲良くなったメンバーもいる。そんな彼らは2014年に結成された。ライブはMICROCOSMOSなどの小さい箱からやりはじめて徐々に人気を博してきた。2015年に初の音源集である『Syndrome』をフリー公開してネットを中心に脚光を浴びた。
2016年からはラップを本格的にやっている。日本国内だけでなくアジアをはじめとする海外でも現在圧倒的な人気を誇っている。2017年にはYDIZZY(ディージー)はソロ・デビューアルバム『DIZZiNESS』をリリースした。このアルバムには1990年代の日本語ラップを想起させる「MAZU」、ディスコ風のオケを使った甘いドライブが特徴的な「TOKYO」、ラップから歌につなげる「Deep Love」もおすすめだ。特に「Deep Love」はラブソングになっていてこれまでのYDIZZY(ディージー)ファンにとっては大きな衝撃だった。これらのアルバムに収録されている楽曲に共通しているのが強烈な自己肯定と攻撃的なスタイルだ。ライブでは観客への煽りも含めて楽しいパフォーマンスを実践している。
kiLLaは2015年から楽曲制作を開始してこれまでEPを3作リリースして、2018年1月24日には待望のファーストアルバム『GENESIS』をリリースした。このアルバムは客演アーティスト抜きでkiLLaだけで完結させた初の作品になっている。トータルプロデュースしたのはkiLLaのNo Flowerさんとacuteparanoiaだ。収録曲の「Ue Ni Iku」はkiLLaらしいメリハリの利いた楽曲になっている。
また、「MURASAKI」の前半部分もkiLLaらしいボースティングソングになっていて、「お前とは違う」という歌詞が何度も勢いよく繰り返される。しかしながら、後半部分は曲調がメロウに変化していくので、kiLLaっぽさが良い意味でなくなっている。また、ライブでは激しい曲が多いが、このアルバムではそうしたイメージを払拭させる曲も多く入っている。振り幅が大きいのでヒップホップに興味のない人にも聴くことができる。昨年からパリ、中国などの海外にも活動の幅を広げているが、楽曲もそのスタイルも少しずつ変化していってファンを飽きさせないようにいろいろな試みをやっている。今後ますます活躍が楽しみだ。
Photo: https://www.facebook.com/YDIZZYaka.diZZy
Written by 編集部