現在のシカゴヒップホップシーンを代表するラッパーふたりの仲は、どうやら完全修復に至ったようだ。
シカゴの新鋭ヒップホップクルーとして期待されていたSaveMoney(セイブマニー)のメンバーでもあるVic Mensa(ヴィック・メンサ)とChance The Rapper(チャンス・ザ・ラッパー)がビーフ(揉め事)を乗り越え、共同で楽曲制作を果たしたそう。
Apple Musicのラジオ局である「Beats 1」に登場したVicは、現在新譜を制作中だと説明。その中でChanceとのコラボがあり得るか、と問われた彼は「そりゃ100%そうさ。何度か一緒にスタジオに入って、最高にドープな曲ができたよ」と応えた。
MCとして活動を始めた当初から、彼らは同郷で暮らした仲間として、お互いのリリース作などで数多くの共演を果たしている。Vic自身も番組内で、「本当にたくさんのクソみたいな出来事を、Chanceと一緒に乗り越えてきた。兄弟喧嘩もしたけど、今じゃ過ぎたことだ」と語った。
昨年のロラパルーザ・フェスティバルでもChanceのステージにVicが現れ、ともに名曲「Cocoa Butter Kisses」を披露している。
そんな彼らの間に不仲のうわさが流れ始めたのは2年前。Vicの誕生日である6月に、彼はバースデーパーティーを催し、そこにChanceを含む数々の著名人が集まった。VicはTwitterとInstagramそれぞれに、パーティーの様子を投稿したのだが、Instagram上のポストに映るChanceの姿だけが黒く塗りつぶされていたのだ。
birthday with friends. Jordan year!! pic.twitter.com/nhSke61Afl
— vino valentino (@VicMensa) June 6, 2016
理由もなく突如としてボムされたこの写真にネット上は騒然となり、彼らの不和がささやかれ始める。
騒動から1週間も経たぬうちに、あるラジオチャンネルに公開されたフリースタイルで、VicはChanceに向けたとされるディスを一節に組み込んだんだとか。以来、1年近くに渡ってこのトラブルは解消されないままだった。
ちょうどこの時期は、大ヒットを記録したChanceのデビューアルバム『Coloring Books』の配信開始のタイミングと重なっている。当時、彼はプロモーションのため、テレビにライブにと大忙し。そんな彼にVicが嫉妬したのではないか、という憶測が流れているが、真相はわからないままだ。
昨年7月、Vicは自身のデビュー作となる『The Autobiography』のリリースに合わせ、ネットテレビ番組に出演した際、「Chanceと話をした」と告白した。
「きっとこのこと(Chanceとのいざこざ)も俺の旅の一部なんだよ。こんな前向きなエナジーを世界に晒すこともね」と、彼はふたりの関係が崩れたこと、それが話題になってしまったことについて、ポジティブに捉えている旨を話した。
一方で、Chanceはこのときまで一切Vicとの問題に触れてこなかったが、Instagram上にて『The Autobiography』のセールスを後押しするようなエールを送っている。
家族ともいえるふたりの絆は、このいさかいを乗り越えたことで一層深まった様子。ファンのみんなを待たせてくれた分、今後より"ドープ"な音楽を届けてくれることを期待したいところだ。
written by Kenji Takeda
source: https://www.complex.com/music/2018/06/vic-mensa-teases-really-dope-records-with-chance-the-rapper
http://www.thefader.com/2018/06/12/vic-mensa-chance-the-rapper-valee-beats-1
https://www.complex.com/music/2017/08/chance-the-rapper-vic-mensa-relationship-timeline
photo: Flicker