今週からドイツ・ベルリンで始まった世界最大の電子楽器ショーケース「SUPERBOOTH 19」。その開催にあわせて楽器メーカーのIK Multimediaが新ドラムマシーン「UNO Drum」を発表した。
UNO Drumは、同社のコンパクトハードシンセ「UNO Synth」同様、イタリアのアナログ・シンセサイザー・メーカーSoundmachinesとの共同開発したハード機材だ。特徴はファットで、パンチのあるアナログ・サウンドに、PCMサンプル、高度なプログラミング機能を組み合わせた、アナログとデジタルのハイブリッド仕様になっているところにある。
同モデルでは、2種類のキック、スネア、クラップ、オープン/クローズ・ハイハットを含む本物のアナログ音源6種によるコアキットに54種類のPCMサンプルを加えることによって、ファットでパンチのあるアナログ・ビートと、シャープなエッジを兼ね備えた、レンジの広いグルーブを生み出すことができる。特にPCMサンプルは、タム、リム、カウベル、ライド、クラッシュ・シンバルのほか、キック、スネア、クラップ、ハイハットを含む12のエレメントにアサインできるため、アナログとPCMを組み合わせた独自のキットを構築可能できる点は興味深い。またあらかじめ即戦力となる100種類のプリセット・キットも収録しており、しかも各キットはユーザーが自由にエディットして、好きなプリセット・キット番号に保存することも可能。音楽制作におけるビートメイクにインスピレーションを与えてくれそうだ。
そして、メーカーによるとUNO Synthでも好評だったマトリクス・エディタを使うことで、各エレメントのエディットも簡単に行えるという。こちらでは、LEVEL、TUNE、DECAYなどをツマミですぐに調整可能で、アナログ・キック、スネアのSNAP、アナログ・スネアのLPF(ロー・パス・フィルター)、アナログ・キックのFM TUNE、AMOUNT、SWEEP TIMEなど、アナログ音源ならではのパラメータも、ツマミをひねって操作できるとのこと。
そのほかに注目したいのは、2つのヴェロシティ・ゾーンを備えた12個の静電容量方式タッチ・パッドだ。従来のものに比べてフラットなデザインになっているこれらのパッドでは、リアルタイムに演奏することはもちろん、あらかじめプログラムされたパターンを再生しながら、直感的に音を追加したり、変化させたい時も使えるため、ユニークなビートメイキングに役立ちそう。また直観的に使えるパフォーマンス・エフェクトや、64ステップのシーケンサーなどパフォーマンスからプログラミングに広く対応する部分も魅力的だ。
またDAWはもちろんのこと、iPadなどののiOSモバイル・デバイス、そしてMIDI機器との結合が可能なほか、本体にはオーディオ・インプットを搭載しているため、追加でミキサーを用意する必要なく、UNO Synthなどの他のシンセサイザーをデイジー・チェーン接続できる。
本体自体が400グラムという超軽量かつ25.6cm x 15cm x 4.9cmというコンパクトなサイズなので、持ち運びも便利。ライヴセットでの使用から、DJプレイの追加音源としてなど幅広く活躍してくれる予感。電源も単3乾電池4本、またはモバイル・バッテリーなどを含むUSBバス・パワーで駆動可能なため場所を選ばず音楽制作に使用できる点はありがたい。
メーカーサイトによると発売日は2019年6月末を予定。市場想定価格は価格32,000円前後とのこと。気になった人はこちらのリンク先で詳細をチェックしてみよう。
written by Jun Fukunaga
source:
https://www.ikmultimedia.com/news/?item_id=7713&L=JP
photo: IK Multimedia