本日、8月8日はRolandが世界に誇る名ドラムマシーン、TR-808を祝す日だ。今年もこの記念すべき日を祝い、すでにSNS上では、世界中のTR-808ファンがハッシュタグ”808day”をつけて、各々TR-808に対する想いを発信している。
そこで今回は、TR-808が生み出した数々の名曲を一気にチェックできる“808の日”に聴きたいSpotifyプレイリストをご紹介したい。
TR-808を生み出した楽器メーカーのRolandによる公式プレイリスト。こちらにはKanye Westの名盤『808s & Heartbreak』収録曲「Love Lockdown」をはじめ、”808といえば”なMarvin Gayeによる80年代の名曲「Sexual Healing」やThe Egyptian Loverの「Egypt Egypt」、Whitney Houstonの「I Wanna Dance With Somebody」のような定番クラシックを収録している。
ほかにもAphex Twinの「Analogue Bubblebath」、ジューク/フットワークシーンのカリスマだった故DJ Rashadの「Roll Up That Loud」、UKのベース&テクノシーンを牽引するPearson Soundの「XLB」、さらには昨年のDrakeの大ヒット曲「God’s Plan」までを収録。まさに過去から現在までにTR-808がなければ世に存在しなかった名曲づくしのプレイリストになっている。
現在のクラブミュージックシーンにおいてもTR-808は欠かせない音楽制作ツールになっている。特にトラップの重低音の効いたビート制作においてはTR-808が肝になっているといえる。その中でも故XXXTentacionらに代表されるSoundCloudラップシーンの中で、よりパンクやハードコアに寄ったヒップホップだとされる”トラップコア”では、重低音に加えて歪んだTR-808サウンドが特徴的だ。
そんなハードなTR-808サウンドばかりを集めたプレイリストには、XXXTentacion、Smokepurpp、Ski Mask The Slump God、$uicideboy$などシーンを代表するアーティストたちの曲のほか、日本人ラッパーで先月のフジロックでのパフォーマンスも話題になったKOHHの曲も収録されている。ダークでヘヴィー、さらにダーティーなTR-808サウンドを是非、このプレイリストで堪能してほしい。
日本人アーティスト、クラーク内藤によるTR-808プレイリストのテーマは日本人アーティストによるTR-808を使用した歌謡曲や邦楽で、80年代から90年代にかけての”和モノ”とTR-808の関係について知ることができる内容になっている。選曲されているのは、今井美樹「キスより 吐息より」、斉藤由貴「DOLL HOUSE」、松本伊代「八月の光と影」、Wink「All Night Long」など、今ではネット音楽界隈でサンプリングネタとして重宝されてもおかしくないガールズポップや、ロックバンドのユニコーンの「人生は上々だ」、レベッカの「WHITE SOUNDAY」など日本のバンドブーム期の曲など。またTR-808のイメージがあまりない日本のロックスター、矢沢永吉の「棕櫚の影に」もピックアップされている。
プレイリスト収録曲の中では、いかにもTR-808なビートという感じの荻野目洋子による「SOMETHING ABOUT YOU」と、今、海外で再評価されている和モノクラシックアンビエントにも通じる、井上陽水の「ビーズとパール」をオススメ曲として挙げておく。
なお、機材メイカーのAbletonは「808のベース作成チュートリアル:音作り~ミックス」という音楽クリエイター向けの記事を最近、公開したばかりだ。同記事では、今回ご紹介したプレイリスト収録曲にも触れられているので、気になった人はあわせてチェックしてほしい。
written by Jun Fukunaga
photo: fr4dd