Dos Monos 将棋とTwitterを語る

Dos Monosが将棋と言論、過去と今のTwitterを比較してトーク。
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2020.04.28 10:00

Dos Monosの3人がblock.fm『TOKYO BUG STORY』の中で将棋と言論、TwitterなどSNSについて話していました。


番組情報

▶「TOKYO BUG STORY」

放送日:毎月第1月曜日 21:00 - 22:00 O.A.

番組URL : https://block.fm/radios/728




TAITAN:まあ、だからその話は後々、時間余ったらするとして。評論家で言うと、荘子itは東浩紀さんだとか。


荘子it:ああ、そこに戻るのね?(笑)。


TAITAN:やっぱり大事な話だよね。誰を推すかっていうのは。


荘子it:まあ、でも推しとかじゃないんだよね。だからこの時期にこそ見直してほしい。俺はやっぱり本が好きだけどさ。別に本って読む時にその人の結論を見るんじゃなくてさ、その結論にどうやって至ったのか?っていうその構造。その論理展開を見て、そこから学ぶものだからさ。だから10年前ぐらいの本とかって基本的に間違ったことを言ってるんだけど。それで今はTwitterとかってさ、基本的には「こいつ、10年前にこういう間違ったことを言ってた」とかって吊し上げたりするんだけども。でも、そこにどうやって至ったのか?っていうところに本はあの厚さがあるわけで。結論だけだったらね、140字のツイートの要約で十分なわけで。そこを履き違えてる人が多すぎますよねっていう、まあすごく普通の意見なんだけども。


TAITAN:ああ、でも俺、今の話は荘子itのここ最近聞いた話の中で一番面白いなと思っていて……。


荘子it:フハハハハハハハハッ! こんな当たり前の話を?(笑)。


TAITAN:そう(笑)。


荘子it:こんな当たり前の話が一番面白いぐらい、世は今……っていう?(笑)。


TAITAN:そう。でも荘子itくんにね、「賢さとは何か?」みたいな話をこの間した時に、それは知識量でも当然ないし。歴史とかに対する文脈の理解度とかでもなくて。要は仮説を立てられる力であるみたいなことを……まあその時は将棋の話をベースにしていたんだけども。今のはそれに近い話だよね。結論っていうよりかは。それはね、俺にとってはアハ体験でしたね。


荘子it:ああ、そうだね。先月ぐらいにタイタンが「次のラジオでは将棋の話をしたい」って言っていたんだよね。羽生善治とか藤井聡太とかにハマっていてさ。「なんであんなに羽生さんが最強だったのに、藤井聡太がいきなり勝てるんだ?」みたいな。それはだから羽生さんと藤井聡太のいわゆるスペックが圧倒的に違うとかっていう話じゃなくて。羽生さんがそういう定石とかを塗り替えていったっていうのはそれはそれでもう圧倒的に天才的な所業で。


でもそれを若い藤井聡太が後から学ぶことは楽なんだっていう。だからそれに勝つことは意外とと簡単だったりするかもしれないという。でも、かと言ってだから圧倒的に才能に違いがあるとかじゃなくて、やっぱそのゼロから定石を進化させていくっていう、その仮説を立てる力っていうのが本当の知性であって。だから批評家とかも同じなんだよね。その前の世代を批判するのは簡単なんだけど、同じだけのその論理構築力と新しい仮説の構築力で論破してるのか?って言ったら結局微妙なところで。


ただ単に「前の世代が間違っていた」って言うことは簡単なんだよね。最近もTwitterとかで松本人志とか糸井重里とか、ボロクソに言われているけどもさ。そのボロクソに言っている知的なレベルがそこに到達しているのか?っていうと、甚だ疑問だよね。


没:将棋はそれがゲームという形で表出するっていうのがすごくない? それってめっちゃすごいよね。


TAITAN:だよね。やっぱり将棋だけだよね。そのルールは変わっていないし、使う駒とかの定石みたいなものも基本的にはそんなに揺れ動かないものなのに圧倒的な差異が生まれていくっていうのが。やっぱり更新されているんだなっていうのがね、面白いなと思うんだよね。だから将棋がわかっていたらどれだけもっと人生が豊かになるのか?っていうのは結構思うけどね。


没:解説、なにを言っているわからないもんね(笑)。


荘子it:解説が驚くポイント、わかりたいみたいなの、あるよね?


TAITAN:そうそう(笑)。


没:この間、3人でめっちゃ見ていたんですよ。


TAITAN:スクリーンでね、将棋の動画をずっと見ていて。解説員の横にいる女性の人が「ああーっ! い、今のはっ!」とかって言って。でも、俺らはわからないから。今の手がどれだけ鮮やかだったのかっていうのは。なんか、いきなり騒ぎ出すみたいな(笑)。


没:フフフ(笑)。


TAITAN:そこはわかりたいよなー。


荘子it:まあね、あるよ。あれって所詮さ、無限通りに見えても、限りがやっぱりあるから。数学的なゲームにすぎないかとも思うけどさ。所詮、人間の認知は超えているわけだから。もうほぼ芸術と同じだよね。その時も話したけど。マルセル・デュシャンっていう現代アートの最強の人が、最終的にはチェスのプレイヤーになったっていうのと同じだよね。


だからそこは基本的には抑えておかなきゃいけない前提っていうか。やっぱりアートはその表現の領域で。知的ゲーム……だから批評だとか、チェスだとかはその知的ゲームの領域だっていう風に意外と峻別できない領域に究極、突き詰めていくとなるっていうのはね。まあオーソン・ウェルズとかもすごいチェスが好きな人だし。そういうのはね、アート原理主義の人は意外とそこは見落としがちだけど。そういうのは普通にあるよねっていう。


TAITAN:それが結構、今年の上半期の前半、3月くらいまでの中で結構、僕らの中で盛り上がっていた話でしたね(笑)。


没:もう「上半期」っていう話題が出てくるの、すげえよ(笑)。


TAITAN:今日は4月12日ですから。


荘子it:まあ、とりあえずだから俺、Twitterアカウントは消してないけど、アプリは削除をしましたよ。


TAITAN:まあ、「目に触れないようにする」っていうのは距離の取り方としては面白いね。


荘子it:そうそう。誰を批判するつもりもないけど、なんかね、そのさ……。


TAITAN:宇野常寛も「Twitterからは離れてる」って言ってたよ。「告知しかしないアカウントだ」って。2年前ぐらいまでは縄跳びで引っ掛かって芸人にいじられて、めちゃめちゃキレたりしてたけど。今はもうね、「離れてます」って言っていましたね。


荘子it:まあ、没はTwitter、好きだからね?


没:俺はやっぱりね、希望がある人もいるんだよね。大多数はキツいけど。別に個人個人がっていうよりかは、全体的な空気は結構キツいけど。でも、その中にやっぱりすごいインスパイアされる人は俺は今でもいるし。


TAITAN:まあ単純な情報のフローとして……。


没:情報でもないんだよね。まあなんか、日記じゃないけども。


荘子it:わかるよ。ミニマムなレベルで、友達が普通に日記を書いたりしているのは読みたいじゃん? だから俺、それに絡めて考えると、このコロナの時期で今はTwitterとか荒れ放題なわけで、俺はちょっと自分の精神衛生を保つためにアプリを削除してるわけだけどさ。震災の時のTwitterとかは別に悪くなかった。なんでか?っていうと、友達しかフォロワーがいなかったから。2011年ってさ。高3とか大1の頃だから。


没:俺ら、ちょうどそれをきっかけに始めたみたいなところだよね。


荘子it:そう。Twitterを始めた頃とかって、本当に友達しかいなかったから。友達が何を考えてるのかとかがわかるのはすごい楽しかったんだけどね。そういう距離間を保ちたいよね。という本だったよね。宇野常寛の『遅いインターネット』は。


TAITAN:「Twitterはつながりすぎた」っていうのはね、基本的な論旨で。うん。まあ、でもいいんじゃない? それこそ「キープ・ディスタンス」とかって言って、「これからはアイソレーションの時代だ」って言っている中でさ、Twitterというものに対する見直しは図られていくんじゃないの? 知らんけど。


荘子it:そうね。


TAITAN:だから、こういうラジオ番組とかはいいんだよ、たぶん。ここから先。意外とラジオはね、復活するんじゃないかなとか、俺は結構思ってるよ。こういう個人の声がメディアになっているっていうね。


没:それにしても、もうちょっとちゃんとメディア然とした形というか。そんなに、あれだよね。やりたい放題ではないっていうか。


TAITAN:そうだね。今、アメリカのポッドキャスト市場とかもめちゃめちゃ伸びていたりするし。「Twitterとかめっちゃ疲れたわ」とか、「フェイスブックが自慢がクソうぜえわ」って思ってる人が結局、ポッドキャストの方に流れて行ったりするし。あと、耳だけは空いているっていうさ、そうそういう社会的な情勢もあって。まあラジオはね、希望がありますよね。


荘子it:まあ、俺はラジオとか聞かないけど(笑)。別に人のラジオとかは聞かないけども(笑)。


没:でもラジオ的なるものは……どうなんだろう?


TAITAN:まあ、つまりもうマスアピールするっていうのは本当にもう、どうでもいい話で。「To You」のことを伝えていけばいいんだよ。


荘子it:そう。だからなんかね、やっぱりTwitterとかあるとさ、みんなが欲しているものを自分も欲していると勘違いしちゃうんだよね。だからまあ別に俺、「ラジオは聞かない」って言ったけども、ラジオが好きな人はいるわけで。逆に俺は誰も見ないような映画を見てるわけでさ。やっぱりそういうコンテンツっていうのは、地味に生き残っていくわけで。そういう感じでやろうっていう距離感を保つ、いい時期になったんじゃないですかねと思っています。俺は。まあ、偉そうに言うんじゃなくて、自分自身にね。


没:でも、それとは全く逆の動きも起きてるといえば起きていると思うんだよね。


荘子it:「逆」っていうと? 俺、だからTwitterアプリを削除してるから、ここ1週間ぐらいの動きがわからないんだけども。


没:そのアイソレーションを今は大事にしようっていうことだけども。逆になんかすごい薄い形でつながるみたいな……。


TAITAN:まあ、あれは一種のチャリティーウィークみたいなもんで。あれが一生続くとは思えない。つまり、サスティナブルな運動にはならないんじゃないかと思うけど。でも荘子itみたいな人は多いんじゃない?


没:まあ、意外といるんだろうね。


TAITAN:「Twitterが疲れちゃう」っていう人は。


荘子it:基本的にだってさ、わざわざアートとかやってるんだから。100年後に残るものを作ろうと思っているわけで。もう今とか、極論を言ったらどうでもいいわけじゃん?


TAITAN:ああ、この今、ナウがね。


荘子it:まあ、大事だとは思うけどね。コロナ以後、ポストコロナでどういう表現が……みたいなことを考えるのも。それを考えないっていうのもそれはそれで不健康だとは思うけども。そればかりを考えていてもね。まあ、この状況は続くと思うけどね。




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放送日:毎月第1月曜日 21:00 - 22:00 O.A.

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荘子it(MC/トラックメーカー)、TAITAN(MC)、没 a.k.a NGS(MC/DJ)からなる3人組HIP HOPユニット”DOS MONOS”による番組『TOKYO BUG STORY』。圧倒的な音楽性の高さと、独自に作り上げた世界観を是非ラジオで体感してほしい。


written by みやーんZZ





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