イギリスのダンスミュージックシーンにおけるレジェンド・グループのThe KLFが、先月アメリカ・テキサスで行われた映画祭「Fantastic Fest」で公開されたドキュメンタリー映画『Who Killed The KLF?』公開中止を求めて、映画の制作側と争っていることがわかった。
Chris Atkinsが監督した映画は、グループが1980年代後半から90年代前半にかけて、「3AM Eternal」、「Justified and Ancient」、「America」などのシングルで商業的に成功したことを描く内容で、「3AM Eternal」など音源が公正利用の名目の下に使用されている。しかし、KLF側は、同作にはThe KLF音源の利用する権利がないことを理由に、1年前から公開を阻止するように音楽出版社に指示していたことがこのほど明らかになった。
Chris Atkinsと映画の製作チームは批評を目的とした使用であれば金銭や許可なく作品を使用できるという著作権の規定に依拠しているとThe Gurdianの取材で述べている。しかし、The KLFの出版社であるWarner Chappellの広報担当者も、先月、映画祭でドキュメンタリー映画が公開されるのを阻止しようとした後、「我々は常にソングライターの"音楽"の価値を支持している」とコメント。「今回の映画が営利目的で製作された長編ドキュメンタリーであり、アーティストの音楽を広範囲に使用しているものは、著作権法の公正利用には該当しないため、行動を起こした」としている。
今回の騒動が明るみに出て以来、The KLFからの公式な声明は出されていないが、メンバーのJimmy Cautyは、2016年のインタビューで映画について、「過去を考古学的に掘るようなものだから、僕らはやりたくないんだ。それに今は、もっと面白いと思う別のことをやっているんだから」と述べていた。
一方で、Chris Atkinsは、「この作品は語られてこなかった20世紀最高の音楽とアートの物語を伝えるものなのです」と述べており、The KLFの作品については高く評価している。しかしながらThe KLFが1987年にThe JAMs (Justified Ancients of Mu Mu)名義で発表したデビューアルバム『1987 (What the Fuck Is Going On?)』には、無許可のサンプリングが数多く含まれており、ABBAからは法的措置を取られたことで、KLFはアルバムの販売を取りやめ。在庫は北海に廃棄したことで知られている。そのことを指して、Chris Atkinsは、今回の件は"皮肉なこと"だと述べている。
なお、The KLFはかつて廃盤にしたカタログの編集盤を今年初めにストリーミングサービスで公開している。
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written by Jun Fukunaga
source:
https://djmag.com/news/klf-seek-block-unauthorised-documentary-due-alleged-copyright-infringement
photo: fantasticfest.com