小室哲哉引退は「日本人クリエイター」にとって何を意味するのか? ☆Taku Takahashiに聞いた

小室哲哉の活動引退は一体何を意味しているのか? 「クリエイター人生」とは何なのかを考察
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2018.01.19 08:48

小室哲哉が活動終了を意味する引退宣言をした。


日本の音楽シーン特にJ-POPへ彼が与えた影響力はもはや国民的レベルであることは誰もが承知だ。


しかし、小室哲哉の引退というニュースは、J-POPや音楽制作に与えた影響だけに留まらない。この話は、日本のクリエイティブ業界全体そしてあらゆるレベルでの「クリエイター」としての人生を考えさせられる引退宣言だという意味で、「一億総クリエイター」を目指そうとする日本に落とされた大きな爆弾発言だとも捉えられる。ファンの皆様、関係者の皆様

今回の報道により、ファンの皆様、関係者の皆様にご心配をおかけしたことをお詫び申し上げます。
私なりのこの騒動のけじめとして、引退を決意しました。
ファンの皆様におかれましては、約35年という長い間、ご声援を頂き、心より感謝申し上げます。
また、関係者の皆様におかれましては、ご支援頂き、誠にありがとうございました。
現在、ご依頼頂いているお仕事に関しましては責任を持って完遂させて頂く所存です。
長い間、小室哲哉を応援頂き、また、ご支援頂きありがとうございました。
エイベックス・マネジメント株式会社
小室哲哉

via TETSUYA KOMURO official web
site

http://avex.jp/tk/news/detail.php?id=1057642



引退宣言を聞いて、m-floのプロデューサー/DJであるアーティストの☆Taku Takahashiに聞いた。


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▷☆Taku Takahashi: 正直なところ僕は小室さんがヒットを連発しているとき、彼のファンだったわけではありません。ただ、当時、クラブミュージック大好きな「ひねくれた」高校生からしてもJ-POPというシーンに「レイヴ」という言葉や「ジャングル」という言葉を広めているところに共感を持っていました。実際、彼のサウンドがホントにレイヴィな音色だったのかというと、そうは感じなかったんだけど、当時の日本のポップス界で使われていなかった音色を取り入れた第一人者だったのは間違いありません。


実際、彼とお会いする機会が何度かあったんですが、当時の話をお聞きした時、いかに彼がUKカルチャーに刺激を受けて、純粋にそういったサウンドを作りたいという衝動で活動されてたということを知りました。あと同時に当時いかにそういったサウンドを日本という国で再現するのが難しかったか、という話も。考えてみてください。今だったらインターネットがあって世界の音をすぐに知れます。作りたいサウンドがあったらYouTubeでハウツービデオもたくさん出ていて、さらにそれのサウンドプリセットもいっぱい出ています。そんななか、彼や当時のクリエータたちは少ないリソースで世界のサウンドを、どんな楽器を使って作っているのかも知らずに開拓者として活動していました。


ここで考えさせられるのがアーティストの引退とは何か? スポーツ選手だったら試合に出られなくなったら引退せざるを得なかったりしますが、クリエータの場合どうでしょう? 僕らクリエータの場合、仮にファンがゼロになったとしても作り続けることはできる業種です。そんななか、引退を表明する、というのは自分へのケジメ、そしてシーンへのケジメを彼なりに考えた結論なのかな、って思います。早すぎる引退なのか、良い引き際なのか。人それぞれの考え方がありますが、僕的にはやっぱり「寂しいな」って気持ちと「お疲れさまでした」という2つの気持ちが交差しています。


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written by block.fm編集部


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