中田ヤスタカ、KOHH、柴咲コウ、小室哲哉など、異色のゲストアーティストを全曲に迎えて、突如リリースされたコラボレーション・アルバム『SILENT PLANET』から3年。その続編となる『SILENT PLANET: RELOADED』と『SILENT PLANET: INFINITY』という2枚のアルバムを11月にリリースした日本人プロデューサーTeddyLoid。
シリーズ完結編となるこれらのアルバムは、国内外のMCをフィーチャーしたストリート寄りな「ダブステップ/ラップ」中心の『SILENT PLANET: RELOADED』と、独自解釈によるゲームやアニメ、J-POPといった要素を詰め込んだTeddyLoid流「EDMアルバム」の『SILENT PLANET: INFINITY』と、真逆のコンセプトで展開される。
コラボレーションには、Skrillexとの共作で知られるダブステップ界屈指のプロデューサーVirtual Riotや、韓国ヒップホップを牽引するラッパーPaloaltoをはじめ、日本人ラッパーSALUやちゃんみな、さらにはtofubeats、DAOKO、小室哲哉、中田ヤスタカ、元・天才など、創造性に富んだアーティストがフィーチャーされた。
過去3年でゆずやDAOKO、KOHH、ももいろクローバー、HIKAKIN & SEIKINなど、多種多様な日本人アーティストとコラボレーションを積み重ねる一方で、アメリカやオーストラリアでのツアーや、北米最大のジャパンカルチャーの祭典「ANIME EXPO」のDJヘッドライナーを務めるなど、日本のみならず海外からの評価を高めてきたTeddyLoidは、今なぜダブステップやラップ、EDMを作るのか?
m-floの☆Taku Takahashiと、国際的な音楽フェスで活躍するDJのTJOが、TeddyLoidに聞いた。
☆Taku ︎Takahashi(以下TT):2018年11月、先行で『SILENT PLANET: RELOADED』を、その後少しずらして『SILENT PLANET:INFINITY』のアルバム2作をリリースしました。なぜ過去の『SILENT PLANET』の収録曲の新バージョンと新曲を混ぜて2枚にしたんですか?
TeddyLoid(以下TL):最初は1枚に収めるつもりでスタートしました。但し、制作を進めていくにつれ、自分のやっていることのレンジが広すぎて、1枚では表現しきれなくなってしまい、全く違う切り口の2枚のアルバムに分けることにしました。結果、ここ数年ハマっているダブステップ&ラップ作品だけをコンパイルしたものが『RELOADED』です。
一方、でも僕はストレートなダンスミュージック、クラブミュージックに限らず、アニメやゲーム音楽、それからゆずさんやももいろクローバーZさん、HIKAKIN & SEIKINなど、いろんな方のサウンドプロデュースをさせて頂いているということもあり、ポップな一面もあります。
なので、どうしても1枚だけだとTeddyLoidのサウンド像を紹介しきれないということで、ダブステップとラップに振り切った『RELOADED』に対して『INFINITY』はバラエティ豊かな最新EDMアルバムという位置付けです。
TT:ダブステップやラップでまとめたいのは、元々のコンセプト?
TL:僕の前作の2ndアルバム『SILENT PLANET』は、メロディアスないわゆる歌物と、ハードなラップチューン、元々2つの側面があったんですね。近田春夫さんやtofubeats君、FIREBALLのJUN 4 SHOTさんが参加してくれたり。KOHH君のサウンドプロデュースもやってるので。この4年くらい意識して取り組んでいた、オルタナティヴな一面をきちんとカタチにしたかったんですね。
TJO: 昔からTeddyLoidさんは曲作りのペースが早いって知ってるんですけど、今回3年かかった理由は?
TL:この3年で新しい出会いがいっぱいあって。アイナ・ジ・エンドちゃんとか。最近出会った元・天才くんとか。3年かけたというより、その3年で出会ったアーティスト達と一緒に作りためていったというニュアンスですね。曲は日々バンバン作っています。変わったのは、この1、2年で海外に行くことがすごく増えて、移動しながら作ったり、海外でスタジオに入って作ったり。そういう作り方が増えました。以前は自分のスタジオでしか作ったことがなかったので。
TT:それだけ色々なクリエイターと仕事をするようになって、日本の流行とグローバルの流行ってあるじゃないですか。意識の違いって感じたりすることありましたか?
TL:今年の8月にロスに滞在した際、Virtual Riotのスタジオに遊びにいって曲を作ったんですけど、曲を作るスピードが速くて。僕自身も早い方だって思っていたのに、彼はその先を行っていて。もう、ちょっとよそ見したら、ドロップとか16小節が出来てるんですよ。で、こういうアイデアどう?って。
アイデアの量もすごくて。僕も、もう10何年もDTMをやっていますけど、Virtual Riotとセッションできた事が今までの人生一番のカルチャーショックでした。本当に世界の壁は厚いなと。
TJO:僕が知ってる業界の中ではTeddyLoidは1、2を争うスタジオ制作の速さなので、びっくりですね。
TL:サウンドメイキングも、ソフトシンセを立ち上げて音を鳴らすじゃない。サンプラーを立ち上げて、そこに何でもない2,3分の他の曲をぶち込んで、それをワブルベースにしたりとか、サンプルを波形として使う。僕らのトレンドとは、発想がちょっと違う。
Virtual Riotの家で作業してたら、Skrillexが近くを犬の散歩してて (笑)。ダブステップ勢はロサンゼルスのダウンタウンにスタジオ構えてるので、みんな距離が近い(笑)。
TT:トレンドへの意識はどうでした?
TL:逆にVirtual Riotは、最先端のトレンドを追ったり、合わせて作るのではなくて、Virtual Riotの色がありつつ、新しい音を探している感じでした。それを、彼らは新たなトレンドにしようとしてると思いました。
TT:逆に日本は比べるとどうですか?
TL:僕自身もですが、日本は逆にトレンドを追いすぎかなと。ネットで海外の曲を聴いたり。チャート見たり。取り入れたい音を探したり。僕自身も意識し過ぎてるかなって気はしました。
TT:でも「古臭い」って思われちゃうのも嫌じゃないですか。トレンドチェックしてないから古臭いって思われちゃう、っていう恐怖もあるじゃないですか。
TL:それは確かにあるんですけど。彼ら(Virtual Riot)はもう周りが最先端の人たちだから、気にしなくてもトレンドが身体に入ってくるんだと思うんですよ。僕らってディグんないとトレンドって入ってこないじゃないですか。シーンというか、環境が違いました。
TJO:自分の作品を作る時に、「トレンド」って必要な要素だと思う?
TL:もちろん思いますね。それはもうダンスミュージックをやっている限り、永遠の課題だと、僕は思います。ダブステップって、どちらかというと今は一般的なトレンドから外れている。特に日本では。でも僕的には今、EDMの中でいちばんアツいのがダブステップ。だから『RELOADED』は全曲「自分の中でのトレンド」、新しい音に特化しました。
TT:なるほどね。さっきの話にも出てきた元・天才って、誰ですか?(笑)
TL:(笑)。よく聞かれるんですけど、来年の1月に結構大きな会場で「お葬式」という名のラストライブを行う男性ボーカリスト(笑)。Takuさんさっき、元・天才さん良いって。
TT:僕はこのシリーズでいちばん好きな曲ですね。
TL:これはサッドラップってジャンルを意識しました。Lil Peepとか。その流れを汲んだ曲なんですけど。
TT:やっぱり内緒なんですか?
TL:そうですね。元・天才は内緒でSKY-HIさんの新しいMVにも「クリエイティブ・パートナー」という形で関わっていたりとか(笑)。謎な人物です(笑)。
TT:実際ネット上でバレたりはしないんですか?
TL:ちょっとTwitterを見ていただけたら(笑)。それをウソかホントか、信じるか信じないかは貴方次第です(笑)。
TJO: TeddyLoidとblock.fmの歩みの話でいうと、最初の出会いはTeddyが柴咲コウさんの楽曲「無形スピリット」のリミックスを手がけた2011年頃で。僕はそれが大好きでとにかくblock.fmの番組でも激推したのを覚えてる。そこから派生してDECO*27さんとのプロジェクトが始まって「galaxias!」はそのリミックスがblock.fmでもなんどもプレイされて。あれはもう何年前?
TL:8-10年前ぐらいですかね?
TJO:今回のアルバムでもまさかの柴咲コウさん、DECO*27とのコラボが久々にあって。
TL:実は、これblock.fmだけでお話しするエピソードなんですけど、2015年に『SILENT PLANET』を出した時に、実はもうDECO*27さんにギターを入れてもらってたんですよ。でも「Searching For You」という柴咲コウさんの曲は直球EDMで、その時の僕のトレンド的にはギターを入れたくなくなってしまって・・・。
TT:ギターから外れたかった。
TL:DECO*27さんにはすごい申し訳ない気持ちだったけど。トレンドを選んで。そして、今回のリメイクでは逆にDECO*27さんのギターを全編で強調して。galaxias!再集結!という気持ちでアレンジし直した感覚ですね。久しぶりに会って「ギター復活させたいです」って言ったら「いいよー」と言って頂けて。笑
TT:スタジオセッションじゃなくてトークセッション(笑)。今ではギターはありだなって感じる?
TL:感じます。それこそ自分のサウンドだなって思うんで。
TJO:今作の『SILENT PLANET』シリーズでは、なんでTakuさんと「All You Ever Need feat. ☆Taku Takahashi (m-flo)」のリテイク作らなかったのかな?(笑)
TT:ダメですか(笑)。
TL:僕、これ「VERBALさんとLISAさんに加わってもらって、feat. m-floに出来ないかな?」って思ってたんですよ、実は(笑)。Takuさんには歌ってもらって、LISAさんにラップしてもらって、「VERBALさんには何してもらおう?」みたいなこと、考えてたんですよ(笑)
TT:パーカッションとか?(笑)
TJO:本職じゃないことをね(笑)。確かに面白い。それでいうと今回小室哲哉さんに、マーク・パンサーさん、っていうのもあるから、実際に楽曲にさらに足して行くのも面白いですよね。
TL:元々小室さんと共作させて頂いた曲があるんですけど、リメイクするにあたって何をしようかなと。そこで、やっぱりマーク・パンサーさんにラップしてもらえたら、小室さんのファンにも喜んでもらえるかなと思いついて。ダメ元でオファーさせて頂いたところ、フランス語で素晴らしい内容のラップを返して下さいました。
TJO:いつかはTakuさんとm-floのfeaturingも期待したいですね(笑)
TT:うん。実現してほしい。
TT:元々、初期のTeddyというのは、いかに歪んでて、極論フロア出かけたら鳴りが悪いかもしれないけど、かっこよさ重視で歪んだコンプを突っ込んだ音だった。そこからちょっとシフトしましたよね。EDMのアリーナでかけても鳴りがいい方向にシフトしていったよね。
TL:まさにそうですね。僕この1,2年でTakuさんに言われて一番嬉しかったのが、「Luvotomy」のリミックスを作ったときに、Takuさんが「ボトムがすごい厚くなったし、ダイナミクス増えたよね」って言われたんですよ。それすごい嬉しくて。そのぐらいのタイミングなんですよ。歪みから脱却してスタジアムを狙うようになったのが。それはやっぱり海外でのDJの経験からなんですよね。やっぱり何千人何万人を相手にすると大箱仕様。なので「Infinity」は今回すごいスタジアム映えするミックス・マスタリングになってます。
TT:鳴りもいいし、Teddyの過去の歪みのテイストもいい感じで混ざったっていうところを意識されてたのかなって。
TL:嬉しい…!まさにそこを一番意識しました。Takuさんがそこに気付いてくださったのが一番嬉しいですね。
TT:最初の頃は、めちゃくちゃエレクトロで、コンプが入ってるサウンドで。「曲聴いてください」って直接送ってくれた。
TL:そうです。Takuさんに恐る恐るですよ(笑)。その時は僕、MySpaceランキング一位だったんで、ノリに乗ってて。「これ送っちゃえ!」って(笑)。そしたらTakuさんから「いいね!」って返事が来て。それは僕の音楽人生の中で一番ターンポイントですよ。
TT:恐る恐るって言いながら他のDJ30-40組ぐらいに送ってるんじゃないですか!?(笑)。
TL:でも自分の中でm-floのTakuさんは一番の憧れだったし、緊張しましたね。
TT:ほんとですか?(笑)。僕もいろんな人たちに「天才発見しました」って紹介して。それこそblock.fm始める前かな。初めて会ったのが19歳だったのかな?一緒に焼き肉屋さん行ったような気がする、富ヶ谷の(笑)。
TL:覚えてます。
TT:その時ってPOWDAさん(TeddyLoidマネジャー)っていましたっけ?
TL:まだ二人だけでした。その時は10年前にスタジオに一人で遊びにきて、Takuさんと二人で焼肉屋に。STEPPASIDE!!!のPOWDAさんとは、とあるクラブで会ってるんですよ。知人のヒューマンビートボクサーにPOWDAさんを紹介されて。
TT:それから月日が経って、今ではPOWDAさんがマネジメントを担って、二人三脚でやられてるじゃないですか。面白いのが、最初にblock.fmでダブステップをプッシュした番組はPOWDAさんなんですよね。
TL:はい。だから我々の本当にやりたかったことって、ダブステップとラップっていう(笑)。
TT:日本にまだダブステップが来てないタイミング、これからいろんな新しいダブステップを紹介していくって時期だよね。それこそ「Borgoreってのがいてね」とか「イスラエルでね…」みたいな話をPOWDAさんがしてね(笑)。そこから今年、TeddyLoidがダブステップアルバムを作ったというのが、僕的には面白い話。今、後ろにいますけどね(笑)。なんか一言。POWDAさんちょっとシャイだからねぇ。。
POWDAさん(以下P):誰がシャイだって(笑)!? ある日、☆Taku Takahashiが俺とTJOを呼び出してね。「これから僕たちはラジオを始めます」っていきなり宣言してさ。「曲を持って来てください」って。Takuは台本もきちんと作ってて。喋り方もすっごい仕込まれた(笑)。
TL:だからか!僕STEPPASIDE!!!聴いたときに、「こないだあったあの人、ラジオDJか何なんだろう?」って(笑)。
P:仕立てあげられたの!最初は俺もTJOも声が小ちゃくてね、地味だったんだよ。散々ダメ出し受けて。でも色々学んだよ。ジングルも全部作ってあって。夢のようだよ、自分たちのラジオ番組ができるなんて。そのときにTakuに「日本で初めてダブステップを紹介するラジオ番組をやってください」って言われて。確かに俺は当時、ダブステップにハマってたけどね。PinchとかHyperdubとか、すごいディープなブリストル系にハマってて、全然ワブルベースのダブステップじゃない頃のダブステップを紹介してたの。
TT:ちょっとレゲエとかに近い感じでしたよね。
P:そうそう。もともとジャングルやドラムンベースやさ、全てはサウンドシステムカルチャーだからさ。だから全てはレゲエが元なんだよってことを伝えるために、俺はSTEPPASIDE!!!って番組を始めたのね。でもTakuはEDMシーン経由でダブステップが受けいられるって分かってたから「POWDA、ちゃんと全方位扱ってよ!」って(笑)。俺のは全然キャッチーじゃない凄いミニマルで、どっちかっていうとテクノやレゲエやダブに近いダブステップで、すっごい地味なの(笑)。
TL:僕はそれ聴いて、ダブステップのルーツって知りましたよ。ダブステップはスクリレックス以降しか知らないから。
TT:Teddyは当時は四つ打ち・フレンチエレクトロって感じがあった。POWDAのサウンド、Teddyのサウンドって趣味が全然違うのに、接点って何かあったんですか?
TL:僕がよく覚えてるのが、POWDAさんは唯一フレンチエレクトロが通じた人だったんですよ。
P:そう、さっきの話に戻るけど。Takuからメールが来て。「天才見つけました」って一言とTeddyのMySpaceリンクだけ。以上(笑)。「まーた何こいつ、って」(笑)。
TL:迷惑メールみたいな(笑)。
P:で、俺がMySpaceのリンク開いたらTeddyLoidって書いてあってさ。その数日前に既に渋谷のブエノスで会ってたんだよね。その時のTeddyの格好ときたらさ、無精髭にライダースジャケット。
TT:無精髭ってイメージないよね。
P:でしょう。で、その時やたら腰が低くて。TeddyLoidって書いた名刺も渡してくれて。ロックバンドの人かと思ったの。だから、TakuがTeddyのMySpace送ってた時、俺は最初「Takuさん、この人ロックバンドの礼儀正しい人じゃない?」って言ったら、Takuが「いや違う、エレクトロやってるよ」っていうから、音聴いてみたら「エレクトロだし、おまけにフレンチエレクトロじゃん!」って。
TL:それが初めて伝わった人がなんですよ。あと僕の両親が、ロックンロール・ブランドの仕事をしてた話をしても、やっぱり通じるんですよね。こんなマニアックな話が通じる大人はそれまでいなかったわけですよ!ネットにしかいなかった人が現実にいる。この人だったら僕の音楽を理解してくれるかもと思って。
P:俺もフレンチエレクトロはすごい好きで。っていうのも、Justiceみたいに、フレンチエレクトロってヒップホップとハードロックが混ざったような音楽だと思ってて。オールドロックとヒップホップ。それでTeddyは最先端のロックとダンスミュージック。
TT:今まで一番近くで見てきたPOWDAからすると、Teddyのこれまでの一番のターニングポイントというのは?
P:これははっきりあって。「パンティ&ストッキングwithガーターベルト」のテレビアニメのお話と、ももいろクローバーZの「Neo STARGATE」のプロデュース。最初、俺がね「パンティ&ストッキングwithガーターベルト」のお話は一旦断ったの。
TT:そうだっけ?(笑)。
P:Takuはblock.fmの前身TCY Radio時代からさ、Calvin Harrisを日本に初めて呼んだりしてたじゃん。あとはSHINDENとかエレクトロのヒーローを呼んだり。俺は、そういう連中に対して、「☆Taku ︎Takahashiは日本のエレクトロの大魔王だ」と思わせたかったわけ。それで、そんな大魔王にアニメとアイドルの仕事は…。と思って一旦断ったんだよ、勝手に(笑)。
TT: POWDAのいうことも、当時は普通の考え方なんだよね。今の若い世代は、そういうのあんまり考えずに、楽しくやろうっていうのがあるんだけど。当時は、フレンチエレクトロみたいなサウンドをやるんだったら、アニメとかアイドルとやるっていうのは、一歩躊躇する時代だったんですよね。Teddyはどうだった?
TL:僕は当時気にしてましたよ、見え方は。
P: 「パンティ&ストッキングwithガーターベルト」は3人で作ったサウンドトラックだと思う。
TL:その時に僕は☆Takuさんから連絡もらって、1日で20曲作った(笑)。そのときのスピリットが今でも生かされてます。
P:そう、だから「パンティ&ストッキングwithガーターベルト」の経験がなかったら、俺はその面白さやポテンシャルに気付かずに、その後もアニメの仕事は全部断ってたと思う。だけど、あれがあるから今は海外にも呼んでもらえるんだよね。すごくシーンとして面白いんだっていうのは、5年ぐらいかけてだんだんわかったの。
今やっと海外のコミコンとかに呼ばれて、DJ TakuとTeddyLoidが一緒に出演して何千人も沸かせてるっていうのは、俺としてはすごい面白い出来事なのよね。
一同:そうだよねぇ。
TT:じゃあ、POWDAさん、ありがとうございました!
P:たまに特番やりましょう(笑)。またダブステップやろう!
TL:今ね、めちゃくちゃやばいダブステップ海外いっぱいあるんで。それを日本に周知させたいなと。
TJO:今回3年越しでアルバムを2枚作ったけれども、このご時世でアルバムっていうフォーマットにこだわりはあるのか?そして今後もアルバムは求められて行くと思うのか、そこを聞きたいんですけれども。
TL:でも、僕はアルバムって映画のような気がするんですよね、シングルで出しても、お客さんは好きな曲だけを聴いちゃう。だけど、アルバムのフォーマットは、最初から最後まで、シャッフルじゃなくて流れで聴くことができる。アーティストのストーリー作りが反映できるので、アルバムって重要だし、フォーマットとして良いなって思います。
TJO:そこはこれからも自分なりにこだわっていきたい?
TL:そうですね。だから『INFINITY』1曲目だったら、中田ヤスタカさんとの曲「Game Changers (LAST BOSS Mix)」。最初にラスボスを倒して、ニューゲームを始めるみたいな。もう一回最初からゲームをリスタートするみたいな感じで。それで最後の「Winners」で文字通りゲームに勝って終わる。これってアルバムでしか出来ない表現、ストーリーだと思うんですよね。
TT:実際自分が音楽を聴くときはどんなフォーマットを使うことが多いですか?
TL:僕はSpotifyとか、サブスクリプションばっかりですね。
TT:そういうときはプレイリストで聴くの?アルバムで聴くの?
TL:僕はアルバムで聴きますね。プレイリストはあんまり。逆に僕は次に作るなら、あらゆるスタイルが入った10曲入りのEPを出して、プレイリストで5パターンぐらい展開するのをやってみたいんですよ。
TT:もうちょっと詳しく説明してもらえる?
TL:まず曲順を決めずに10曲のEPを出して。例えば朝聴いた方がいい流れの順番のプレイリストをA、超盛り上がりたいときはプレイリストB…みたいに、プレイリストでストーリーの多様性を見せることがやりたいですね。
TJO:同じ曲を使ってるけど、曲順とか組み合わせで聞こえ方が変わるよみたいな。
TL:そうです。アクションゲームやRPG的な聴き方。
TT:さっきSpotifyのお話も出ましたが、ダンスミュージックはどこでディグってるの?
TL:ダンスミュージックはEDM.comとかブログだったり、YouTubeチャンネルも結構チェックしますね。ディグる時はプレイリストを片っ端からチェックします。
TJO:オススメのプレイリスト/チャンネルとかあったら3つぐらい教えて欲しいな
TL:3つも聞く!?(笑)。ブログだと、EDM.comはインタビューの記事とかもあるのでいつもチェックしますね。SpotifyはそれこそEDM系やダブステップのプレイリストをチェックします。
TT:曲検索は?
TL:検索はしないです。あと自分でディグるよりも、Virtual Riotとか知り合いが教えてくれるんですよね。
TT:クリエイター同士で教えあうのが一番早い情報網だよね。
TL: Virtual Riotが教えてくれる人は、まだSpotifyで数百回とかしか再生されてないのに「このサウンドやばくない!?」みたいな人が大勢いるので面白いです。それこそMyspaceの初期を見てるような感じがしますね。
なんかね僕、SpotifyってMyspaceみたいになればいいなって思ってるんですよね。自分のプロフィールページが編集できるし、曲もアップできて。そういう風になってったらいいなって。
TT: 次の質問。初対面の人に自分の音楽を紹介する時って、なんて言ってます?
TL:僕はEDMって言ってます(笑)。
TJO:逆にちょっと抵抗ない?
TL:結構ないです。わかりやすいし。
TT:それは日本でも海外でも?
TL:言ってます。僕はもうエレクトロミュージック、流行りのシンセが入ってる四つ打ちは全部EDMだと思ってます(笑)。さっきTakuさんがハイプっておっしゃいましたけど、僕って十分ハイプな人間なので(笑)。ゆずさんも、ももクロさんもやってるしさ、僕が一番ハイプなんですよ(笑)。日本ハイプ代表みたいな(笑)。でも、それに加えてVirtual Riotともやったんだぜ、って。みんな誰もそんなことできないだろ、って気持ちでやってますね(笑)。
TJO:そのハイプの意味もふくめてのみこめてるってことですよね。
TL:今29歳でまだハイプをやってますね。まだちょっとハイプをやり続けようと思ってます。あと僕絶対インタビューでは「ダンスミュージック」って言いますね。
TT:ダンスミュージックとポップミュージックの差って、今どの辺にあると思います?
TL:僕は、やっぱりキックの音量ですね(笑)。やっぱりダンスミュージックはキックがでかいと思います。ポップミュージックはそれに比べてキックが小さい。
TT:それはアメリカも一緒?日本?
TL:アメリカも一緒だと思ってます。あんまり難しくそういう違いを考えたことがないな。じゃないと、若い子に伝わらないと思うんですよ。僕が若い頃って難しく考えたことなかったです。m-floの「Come Again」とか、今考えたらポップミュージックじゃないですか。でもダンスミュージックでもあるし。ただ単にかっこよければいいなって。
TT:踊りづらいダンスミュージックだと思うんですけどねー(笑)。「Come Again」ってね。今後はDJの役割ってどういう風に今後変わっていくと思う?フェスにもどんどん出ていく方が増えたり、クラブでもやったりもあると思うんですけれども。
TL:僕のスタンスは、そもそも僕自身はDJだと思ってないんですよ。あくまでフォーマットはDJなんですけど。自分の曲の発表の場だと思ってDJをやってます。ほとんどライヴに近い感覚ですけど、日本だとDJって言う方が分かりやすい。
でも海外だとみんなDJって言わない。スクリレックスもVirtual Riotもみんな同じ。曲を発表する場としてDJをやっている限り、フェスでもクラブでもライブハウスでも野外でも変わらない。
DJプレイっていうフォーマットの中で発表会をしているイメージですね。だから見せ方がどんどんライブセットという意識に流れていってますね。
TT:今回もいろいろなボーカリスト、ラッパー、クリエイターの方とコラボされてますが、仲が良いのは誰ですか?
TL:日本だと、最近仲良いのは中田ヤスタカ氏。お互いゲーム好きなんで、アーケードゲームのお店を巡ったりとか。
TT:ゲームの話が一番盛り上がる?
TL:そうですね。
TT:今ハマってるゲームはなんですか?
TL:今?なんだろう?でもスプラトゥーン2も相変わらずやってますね。レベルは一番最強(笑)。
TT:僕の友人はそのレベルに行くために彼女と別れました(笑)。
TJO:ヤバイね!(笑)
TL:海外だと今年は一番仲良くなったVirtual Riotですね。僕の新曲も結構いろんなとこでかけてくれてて。彼もゲーム、アニメマニアなんですよ!超マニア!
TT:クリエイターってみんななんだかんだオタクだよね?ゲームとか、アニメ好き。
TL:Takuさんも相当詳しいですよね?
TT:僕、ゲームかアニメ興味ない人と仲良くなれない(笑)。会話に困っちゃう(笑)。今一番大切にしてる機材っていうか、ツールとかってありますか?今年一番お世話になったツールとか。
TL:もう、MacBook ProのSSD4TBの一番いいやつ(笑)。まさか80万円を背負って歩くとは思ってませんでしたけどね(笑)。
TT:4TBになると急に値段が上がりますからね。
TL:僕にとってはそれが最強。スタジオを持ち歩いている感覚。どこでも作れるんで。Takuさんもこの1,2年はノートパソコンで作ってますよね?4TBいいですよ。外付けしなくて良いので。
TT:そう、外付けしたくないんですよ!飛行機とか新幹線だとぱって外れちゃうことがある。
TL:すごいわかります!だから4TBオススメです。
TJO:ちなみにいくらだっけ?
TL:80万円(笑)。
TT:でもアーティストはそういう夢見せて行くの大事だから(笑)。
TJO:大事大事!
TT:みなさんもEDMのアーティストになりたいんだったら、今の時代DTMは4TBなんで、80万円を…(笑)。ってヤバいな~(笑)。
TL:でもAfrojackのノートパソコン見てびっくりしたんですけど、あの人パソコンにSSDをマジック・テープで貼ってますよ!しかも、2TBを4発!
TJO&TT:マジで!?(笑)。
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TL:その当時小型SSDが発売されたばかりで、確か一個30万とかするんで、もうね200万ぐらいのパソコンになってる(笑)。やっぱ海外、上には上がいるなという(笑)。でもTakuさんのいう通り、外れたくないんでしょうね(笑)。
TT:アハハハハ!!(笑)。まぁ自家用ジェット持ってるようなアーティストですからねぇ。それくらいはねぇ(笑)。でもガムテープって(笑)。
TL:そうなんですよねぇ。でもやっぱApple製品楽しいですよね。Takuさんも買ってたじゃないですか、iPad!
TT:あれ最高!ほんといい!今までそんなに変わってなかったじゃない。でも今回は超変わったと思う。
TL:デザインも好きです。
TT:あの時代のiPhoneが好きだから、そのデザインになってるんだよね。でも好き嫌いが分かれるんだよね、俺は好きなんだけど。
TL:だからそういうの触ってるだけですごいインスピレーションを受けますね。
TT:iPadで何するんですか?
TL:今日ちょっとその話がしたかったんですよ!僕もSSD好きなんで1TBのiPad買うんですけど、
TT:良いですよ1TBのiPad。持ってます。
TL:良いですよね!でも使う用途は動画鑑賞と、インターネットと、メモ(笑)。1TBの活用性が…(笑)。
TT:僕も、何に使うの?って言われると困る(笑)。全く同じ(笑)。ペンシルでメモ書くのと…(笑)。
でも曲書く時とかアルバム作る時に、バランス取るために「〇〇系、〇〇系」って図とかリストで完成図書くのが好きなんですよ。
TL:えーそれかっこいいですね。
TT:別にそんなのキーボードで打つこともできるんだけど(笑)。
TL:(笑)。次はDTMソフトのラジオ特番やりたいですね。iPadオンリーで1曲作る、とか面白そうじゃないですか。
TT:KIMPERとか、あとFL Studioも出てるよね。FLはAfrojackとか、banvoxくんも使ってますね。Abelton Liveが出たらねぇ、iPadでも作るかもしれないけど。
TL: MacOSが走ってくれれば(笑)。
TT:きた魔改造!(笑)保証対象外になっちゃうやつ!(笑)
TL:前はボイスメモとか使ってたんですけど、最近はもうあんまり使わないですね。もうラップトップを開いちゃいますね。でも最近好きなPlaygroundってアプリ。中にいっぱい楽器の音が入ってて、タップ押してサンプラーみたいに音を奏でられるんですけど。何がすごいかって、サンプルの音がかっこいいんですよ!
TT:Playground最高ですよね。作った人何気に知り合いです。アプリで曲リリースできないの?
TL:それ最高ですね!自分でちょっとメロディーとかリズムパターンとかを変えられるんですよ。
TT:用意されてるんだけど、誰でもタッチして指をぐるぐる回してけば、曲になっちゃうっていう。これはもっと評価されるべきだと思う。
TL:めちゃくちゃすごいですよね。☆Takuさんのそのアイデアやばいなー。Playgroundは結構インスピレーションを受けますね。
TT:できればPlayground使ってライブしたい。
TJO:それやばい!
TT:次回作の構想とか始まってるんですか?
TL:今回は納品ギリギリまでやってたんで。逆に作りたい曲が多すぎで。どんどん作りたいです。インストもやりたいです。
TJO: 3年も待ちましたよ(笑)。
TT:また3年待つ感じに?
TL:いや、すぐ出せれたらいいなと思います(笑)。出したいですね、次は。
TT: 今後も楽しみにしてます。ありがとうございます。
* * *
TeddyLoid 最新情報
【特設サイトURL】
TeddyLoid - SILENT PLANET: RELOADED / INFINITY Special Site
http://teddyloid-special.com/silentplanet/
『SILENT PLANET: RELOADED』
再生 / ダウンロード・リンク:http://hyperurl.co/7hawwv
TOWER RECORDS ONLINE : http://smarturl.it/tl_reloaded
AMAZON : http://amzn.asia/d/gD79dAL
リリース日:2018年11月14日
『SILENT PLANET: INFINITY』
TOWER RECORDS ONLINE : http://smarturl.it/tl_inifinity
AMAZON : http://amzn.asia/d/7Pqa9L6
リリース日:2018年11月28日
Web: http://www.teddyloid.com
Instagram: https://www.instagram.com/teddyloidsp...
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YouTube: http://hyperurl.co/9bvtq6
Interview by ☆Taku Takahashi, TJO
written, edited by block.fm編集部