テクノという名前自体は特に音楽を知らない人にもすっかり浸透している。ところがどんな音楽か説明してほしいと言われると、説明できない人が多いのではないだろうか。ここでは簡単なテクノ音楽のジャンル分けと、有名DJを何人か紹介しよう。
実はテクノのジャンルに関しては、ロックミュージックと同様に明確な決まりが無く、作曲者本人がそのジャンルだと言ったらそのジャンルになってしまうのである。だから人によっては首をひねってしまうようなものもあるが、あまり深く考えない方がいい。とはいえ、大まかな枠組みはあるのであくまでも大まかな枠組みでの解説をしていこう。
まず、基本中の基本であるテクノだが、シンセサイザーの音が特徴的である。テクノは基本的に歌は入れず、機械的なのが特徴で、リズムパターンは4つ打ちが多く、そこから細かくリズムが変化して曲を盛り上げていく。テクノはシンプルで中毒性が強い曲が多く、特にミニマルテクノはとてもシンプルな曲構成となっている。
既存のポップミュージックにテクノの要素を取り入れたのがテクノポップだ。テクノがどちらかといえばクールなイメージが強いのに対し、テクノポップは可愛らしいイメージを抱かせるものが多い。きゃりーぱみゅぱみゅの楽曲などは典型的なテクノポップといえるだろう。シンセ音はあえてピコピコとしてチープな音が使われることが多い。
テクノポップは可愛らしいソフト路線だが、逆にもっとハードにしたのがハードコアテクノだ。通常のテクノよりもBPMが早く、キック音やベース音が大きいので乱暴なイメージがある。
テクノの派生ジャンルだけでもまだまだあるが、これくらいにして、ここからはテクノとははっきりと違うジャンルのものも紹介しよう。
少し前に爆発的にはやったテクノ系統のジャンルといえばトランスではないだろうか。しかし、トランスといっても日本と海外では流行っていたジャンルが大きく違う。日本で流行っていたトランスは海外ではトランス・アンセムと呼ばれている。特徴的なのは前面に押し出された幻想的なシンセサイザーだ。とにかく派手で聞いていると気持ちが高揚する。またボーカルを加えたボーカル・トランスと呼ばれているものなども日本ではとても人気があった。しかし実はこれらのジャンルは海外での人気はそう高くはない。海外で人気だったのはサイケデリック・トランスやゴア・トランスと呼ばれるようなどちらかといえば気持ちが高揚するというよりも聞いていてトリップするような感覚に陥るトランスである。
最後にジャンルといってよいのか分からないが、現在クラブミュージックとして外すことが出来ないEDMについて解説しよう。元々は様々なテクノジャンルの総称だったのだが、現在では派手なシンセサイザーと相反する重低音が特徴的な楽曲の事を指す、狭義的な意味でつかわれるようになっている。
ここからは現在、クラブシーンの第一線で活躍する有名DJ何人か紹介しよう。
まず、DJを語るうえで絶対に外すことが出来ないのがカール・コックスだ。1980年代にはすでに第一線で活躍しており、一時期は引退説も噂されたが、そんな噂をあざ笑うかのように現在も第一線でバリバリ活躍している。ある意味生きるレジェンドといっても良いカリスマDJだ。彼は曲をチョイスする審美眼も優れているのだが、何よりも現場一筋の生きざまが同業者をはじめ、多くの人の支持を集めている。その時のフロアの熱量によって絶妙な曲のチョイスをすることが可能なのは豊富な経験があってこそだろう。
リカルド・ヴィラロボスもDJ界のレジェンドともいえる人物の一人だ。幅広いジャンルが得意だが、特にミニマルにおいては他の追随を許さず、帝王と呼ばれている。一切コマーシャリズムに媚びるようなことをしない、孤高の活動を続けながらも2000年代はクラブ系のメディアのチャートやランキングを総なめにし、正に無双状態だった。
テクノを語るうえで外せない人物といえばジェフ・ミルズだろう。テクノ界のパイオニアとして、その名前は永遠に刻まれることになるのではないだろうか。フロアでDJをしていた時には超絶技巧のターンテーブルプレイでオーディエンスを大いに沸かせていた。
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Written by 編集部