☆Taku TakahashiとTJOがナビゲートする番組「TCY RADIO」にエレクトロニック・ニューウェーブ・バンド「The SAMOS」が出演。バンドを率いるShigeo JD、シンセ・DJ担当のRaymond、プロデューサーのARAKIが登場し、7年ぶりにリリースされたアルバム『GHOST』についてトーク。
TCY RADIO
毎週金曜日21:00-22:30放送
TJO:The SAMOSは7年ぶりのアルバム『GHOST』をリリースしたということですが。
Shigeo JD:もっと前にできてたんですけど、ARAKIにちょっと聴かせたら「これはもうちょっといけるでしょ」って言われて…。
ARAKI:あれ、できてたんですか?俺はデモだと…(笑)。
Shigeo JD:(笑)僕らとしてはできてたんですけど、よくよく聴いたらもっと手を加えられるところが見つかって。それでブラッシュアップして今の形になった感じですね。気づいたら7年も経ってた。
☆Taku:m-floもアルバムは5年ぶり。作ってはボツにしてを繰り返して、制作に2年くらいかかった。
Shigeo JD:同じです。
☆Taku:ヘビーな部分があったりとか、その中でも起伏があるThe SAMOSらしさが今回のアルバムでは出てると感じたんだけど、今の時代のサウンドを踏まえてThe SAMOSの在り方はどういう風であるべきかとか考えます?
Shigeo JD:流行りとかトレンドっていうこと?うーん、7年の蓄積から作ったからトレンドは無視しちゃったかもしれない。
☆Taku:トレンドはあんまり意識してない感じ?
Shigeo JD:でもこの7年でアシッドハウスとかリバイバルのムーブメントがあったじゃないですか。だからその辺をちょっとずつ踏まえつつ、なんとなくポップといえばポップだろうというような。全部、掠ってるようで掠ってない曲になってるかもしれない。
ARAKI:曲自体は10年前くらいに作った曲も入ってるし、デスクトップのゴミ箱から探して「これはいけるぞ」っていう曲を拾ったりもしたし。
☆Taku:セルフカバーに近いような感じですね。
Shigeo JD:昔の曲でリリックのテキストを紛失してるものは自分でもう一回書いたりとか。発音悪すぎて何言ってるのかわかんないやつは歌詞ナシにしたりとかね。10数年前の曲とか、よくデータあったなって感じ。
☆Taku:録っておいてもデータが読めなくなったりもするしね。いつ頃からThe SAMOSで新しいアルバムを作ろうっていう話をし始めたんですか?
Raymond:活動が止まってたという感じではなく、ずっと3人で遊んではいたんですよ。普通に遊んでる中で「こんな曲できてるんだよ」「じゃあこの曲は次のアルバムに入れよう」とか話してたら、いつの間にか時間が経ってた。だから止まってる感じではなかったんですよね。
Shigeo JD:僕もATOM ON SPHEREっていうバンドで久々にリリースしたりとか、その前はFake Eyes Productionのアルバムを出したりとか、何にもしてなかったわけじゃなくて。ずっと作ってはいたんですけどThe SAMOSとしては7年経っちゃった感じです。
ARAKI:僕は1stから3rd出す手前くらいまでThe SAMOSと一緒に、マネジメントというかエージェントみたいなことをやってたんですよ。その後、別の仕事との兼ね合いで3rd出す前に一旦離れて。それから現場で会ったりはしてたので、タイミングが来たらまた一緒にやろうっていうのは言ってたんです。それで、2年くらい前に「そろそろ形になってきたからなんとかしたいんだよね」って言ってデモを聴かせてくれて。
Shigeo JD:ただ聴いてもらった。
ARAKI:もともとすごくThe SAMOSの音楽が好きだったから、なんとかまた形にしたいなっていう気持ちがあって。そこからやっとスタートして、2年かかってアルバムが完成したっていう感じです。
Shigeo JD:今まで、マネジメントはしてもらってたけど音に関しては全部任せてもらってて。でも今回は、ARAKIが音にも関わったらどうなるかっていうのをやってみたの。そうしたらめちゃめちゃ能力があって。2018年のフジロックで「俺の頭の中で音が鳴ってる」って突然言い出して、「こいつマジうぜえな」とか思ってたの(笑)。そういうマネージャーたまにいるでしょ?
☆Taku:いるいる。
Shigeo JD:意見言うけど具体的には何もできないっていう人いるじゃん。その類かと思ったんだけど、スタジオに呼んだら口でキックの音とか言いだして(笑)。ほんとにすごく細かい音まできちんとわかる人だった。ちゃんと頭の中で鳴ってたんだなって。
ARAKI:昔エージェントやってたときは音楽作ったりしてなかったから、制作に関しては口出ししなかった。知らないやつに色々言われてもうざいと思うし。でも今回はプロジェクトとしてアルバムをちゃんと完成させなきゃいけない。作品として作るところまで責任持たなきゃいけない。彼らもある程度形にしてて客観的な意見が欲しいってこともあったので、自分なりに聴き込んで「もっとこうやったらいいんじゃないかな」っていう提案をしてみたんです。自信もなかったんだけど。それをちゃんと受け入れてくれて、いい形になったなって思います。
☆Taku:なるほどね。7年ぶりってことでThe SAMOSのことを初めて知る人もいると思うので、名前の由来を改めて教えて下さい。
Shigeo JD:「〜ズ」っていうのが良かったっていうのがひとつ。あとは、バスキアがストリートで活動してたとき「SAMO」っていう名前で落書きをしてたのが彼のグラフィティの始まりなんですよ。そこに「〜ズ」をつけてThe SAMOSになったんです。
TJO:全然知らなかった。
ARAKI:僕もこのプロジェクトが改めて始まってやっと知りました(笑)。でもいい話だからちゃんと出したほうがいいよね。
☆Taku:アルバムに関してリスナーからは「バンドサウンド感が増した」「いい意味で裏切られた」「新鮮」という感想があがっているようですが、バンドサウンド感が増したのは意図的に?
Shigeo JD:生のギターとかドラムを使うサウンドみたいなものが自分たち的にも戻ってきたっていうのがあって。もともと僕たちハードコアバンドとかそっち系なので。
☆Taku:その後打ち込み系にシフトして。
Shigeo JD:そう。自分たちの中で生音と打ち込みを融合させるのはずっとテーマなんですけど、打ち込み系も色々やってみて、今は生のバンドっぽい音が戻ってきたっていう感じですね。
☆Taku:知らない人も多いと思うので、そもそもARAKIさんはどんな仕事をされてる方かを改めて説明お願いします。
ARAKI:もともとはイベントのプロデュースをずっとやってきてます。ageHaのFLASHっていうパーティーとかをやってました。
☆Taku:それで、今回はマネージャーからプロデューサーに。全然違う仕事ですけど。
ARAKI:どういう作業をしていたかというと、もともとみんなが作っていた音源を聴きまくって、アイデアを考えるんですよ。構成を変えたりとか、こういう音を入れるといいんじゃないかとか。Shigeoくんとスタジオに行って提案して、Shigeoくんが色々いじって、それをみんなに聴いてもらって意見をもらって…の繰り返しでした。
Shigeo JD:すごい聴き込んでたよね。ARAKIって1つのことにフォーカスするよりもマルチタスクな人だと思ってたから、意外と細かいことできるんだって思った。
ARAKI:自分でイベント作ってるときも細かくいろいろ考えてるから(笑)。
Shigeo JD:今回のアルバムに関してもすごく細かいところまで。僕らが「このくらいでいいや」と思ってる部分をさらに良くしてくれたりとか。俯瞰のプロデューサーっていうのをちゃんとやってくれた。
ARAKI:最初に聴いたときすでに良い曲だったから、さらに良くするためにっていうので考えました。
Shigeo JD:得意な人に役割を割り振ったり、いいところを伸ばしてバンドを良くするっていうか。そういうところがうまいんですよね。
TJO:今回のアルバムタイトルはなんで『GHOST』なんですか?ジャケも布をかぶったおばけの写真ですが。
ARAKI:僕が提案したんですけど、一番考えてたのは世界共通のアイコン的なものが欲しいなと思っていて。おばけと言えばこのイメージで、日本だけじゃなく世界中の人がわかるじゃないですか。あとは7年ぶりなので、ゴースト化してるみたいな(笑)。
TJO:自虐も含めて(笑)。
ARAKI:でも、これで布を脱いで出てくるっていう。
☆Taku:この3曲目のタイトル「APL」って何のことですか?
Shigeo JD:これは「Apple Loops」っていうLogicにデフォルトで入ってるループ集があるんですよ。
☆Taku:雑な言い方すると素人さんとかが初めて触るようなループですよね。
Shigeo JD:そう。思いついたきっかけは、iTunesから楽曲配信すると売上の半分くらいを持っていかれるじゃないですか。50%取られるのに、Appleが出してるLogicについてる素材をなんでみんな使わないのかなと思って(笑)。それを多用しまくった曲です。
☆Taku:(爆笑)ひたすらAppleの商品で作るっていう。
Shigeo JD:面白いでしょ?
☆Taku:シャレてるなぁ。
ARAKI:ピアノとか本当はもっと違う形にしたかったんだけど、その縛りがあるからできなくて。ループが短いから、いろんなループを切り貼りしたんです。
☆Taku:粘土みたいにはできない。レゴで四角いピースしかない中、三角をどうやって作ろうか?みたいな。
Raymond:これ、ピアノで完璧に弾き直してこいって言われたの。で、弾き直したらボツになった(笑)。
Shigeo JD:サンプルを超えられなかったんだもん!(笑)
☆Taku:最近のプリセット良いよね!良く出来てる。僕はAbleton Live使ってるんだけど、昔は最初に入ってるデモは良くなかったじゃん。今のはめちゃくちゃ良い。普通にリリースできるでしょっていうのが入ってるよね。
Shigeo JD:だから、組み方でどうにでもなるけど、そこから先が我々の腕の見せどころだよね。
☆Taku:ブロックを積んでできちゃうような時代だからこそ、僕らの腕が試されてるよね。
TJO:マスタリングはMetropolis Studiosのジョン・ディビスが手掛けたそうですね。
☆Taku:Metropolisに素晴らしいエンジニアはいっぱいいるけど、その中でジョン・デイビスにお願いしたのはどうして?
ARAKI:Metropolisにしようっていう話になったんだけど、インディーズの料金で頼むとエンジニアが選べないんですよね。でも今回は選んでみたいと思って、空いてるかわからないけどジョン・デイビスにお願いしようってことになりました。
Shigeo JD:YouTubeにジョン・デイビスがマスタリングを教えてる動画が上がってるんだけど、それ見たらARAKIにそっくりで(笑)。これは運命だ!ってなって。全体的にスケールアップしたいなと思って頼みました。
☆Taku:マスタリングって何かを改めて説明すると、ひとつはバラバラな音を揃えるっていうこと、2つ目は曲間を決める、3つ目が大事なんだけど今の状態をもうちょっとキラッとさせたりとかスケール感を変えたりすることなんですよね。
Shigeo JD:だいぶ変わりますよね。
☆Taku:ジャンルをわかってるところとわかってないところがあって、わかってないところに頼むと全然違うものが帰ってきちゃったりね。
Shigeo JD:4つ打ちが得意なところ、ロックが得意なところ、R&Bが得意なところ、それぞれ特化してますよね。僕はUKのサウンドがすごく好きなので、そういうものに慣れてるところに頼もうってことでMetropolisにしました。
ARAKI:曲を聴いてくれれば僕らの狙い所はわかってくれるだろうなと。Metropolisは日本人のコーディネーターの方がいて、その人とやり取りしてたんですけど、たまたまジョンのスケジュールが空いてたからそこにはめてもらって。そうしたら作業の前日に、The SAMOSのFacebookページに本人からメッセージが来て、「The SAMOS sounds MASSIVE!」って。
Shigeo JD:NEW ORDERにPhoenixがスプラッシュしたようなサウンドだ!って言ってくれた。そんなに褒めてもらっていいんですかって感じだよね。下手したら本人たちのマスタリングやってるかもしれない人から。
☆Taku:ニュアンスとか自分が通過したものとかで褒めてくれる、もしかしたら本物のマスタリングをやってる人たちからそうやって言われると自信になるよね。
Shigeo JD:すごくありがたいですね。
ARAKI:特にThe SAMOSは英語の歌詞なので。UKで音楽に携わってる人に聴いてもらってもちゃんと評価してもらえるんだなっていうのは自信になったね。
☆Taku:ワンマンライブも控えているということで。
Shigeo JD:今回は3人できっちり見せようかなと。シンセ、ギターボーカル、スタンディングエレクトリックドラムで。TwitterとHPで情報発信してるので、ぜひチェックしてください。
アーカイブはこちらから視聴可能。(10月25日回)
TCY RADIO
The SAMOS 4th ALBUM
『GHOST』
¥2,400
01 Don’t
02 Time Shift
03 APL
04 Imperfection
05 Particle Pieces
06 Hit The Wall
07 NOEXIT
08 Casual Linking
09 Out of Sight
10 Life and Limb
11 Shelter House
12 Strange Flavor
配信サイトはこちら。
▶https://linkco.re/6f2ZfBdZ?lang=ja
The SAMOS “GHOST” SPECIAL ONE-MAN LIVE
開催日:2019年 11月29日(金)
時間:19時OPEN / 19時半 START / 21時 CLOSE
会場:WOMB https://womb.co.jp/
前売チケット 2400円(税込/ドリンク代別途600円) 10/25~11/28まで
チケット購入ページ https://thingstokyo.zaiko.io/_item/320075
当日入場料 2900円(税込/ドリンク代別途600円)
LIVE:The SAMOS / SHIGEO:Vo,Guitar / RAYMOND:Key,DJ / M.I.T:Electric-Dr,Vo
VISUAL : VJ NAKAICHI / 三嶋章義 LIGHTING : MIURA
主催:Things/Zeni Records
協力:KDDIウェブコミュニケーションズ/NEO created by OYAIDE/MUSIC SHARE/ZAIKO
MORE INFORMATION
https://thesamos.jp/
https://twitter.com/the_samos
https://instagram.com/the_samos/
https://facebook.com/thesamos
https://soundcloud.com/thingstokyo
https://www.youtube.com/channel/UCkUFMrwbzV1p8DZ1RQu5c2w/