世界最大規模の音楽ストリーミングサービスSpotifyが、音楽制作のバックヤードを担うクラウドソーシングサービスSoundBetterを買収した。
SoundBetterは音楽プロデューサーや作曲家、エンジニア、ビートメイカー、シンガー、ギタリストなどなど、音楽制作に関わる人材へ仕事の発注や受注ができるサービスで、登録者数は18万人以上おり、グラミー賞受賞者やトップチャート作品にクレジットされているクリエイターも登録している。
リスナーへの配信と音楽制作のプラットフォームが結びつくことで、どのような変化が起こるのだろうか。
Spotifyは今回の買収により、音楽制作プロセスでの受発注からリリースまでワンストップで提供できるようになり、音楽制作からリスナーまでが繋がる巨大なエコシステムを整えた。
日本国内では音楽制作のクラウドソーシングはそこまで普及している印象ではないが、SoundBetterがこれまでに登録ユーザーに支払った金額は約20億円以上と、既に大きな実績がある。その上Spotifyが買収したとなれば音楽制作の世界でもクラウドソーシングが大きく普及する可能性がでてくるだろう。
Spotifyは収入源となりにくいという点が問題視されがちだが、SoundBetterの買収はクリエイターにとっては、収入源や可能性を広げるツールと捉えることができるだろう。リリースをする側のアーティストやレーベルはこのシステムを活用することで、ミュージシャンや海外のアーティスト・エンジニアなどと効率的にコンタクトでき、これまで以上にグレードの高い制作ができる。
受注する側のクリエイターやエンジニアにとっては、世界中のライバルと競走しなければいけなくなるので、厳しくなるという見方もできるかもしれないが、その分受注の窓口はグローバルに大きく広がることになる。
こういったプラットフォーム上ではアーリーアダプターは有利となる傾向があるので、利用を考えている方は早めの活動開始をおすすめする。まずは最初の受注のために完成度の高いリファレンス音源を用意しておく必要があるので、ストックしている楽曲をブラッシュアップし、ポートフォリオを充実させておこう。
written by Yui Tamura
source:
https://investors.spotify.com/financials/press-release-details/2019/Spotify-Acquires-SoundBetter-the-Leading-Music-and-Audio-Production-Talent-Marketplace/default.aspx
photo:
https://newsroom.spotify.com/media-kit/