音楽プラットフォームのSoundCloudが、5月23日にアーティストディストリビューションプラットホームのRepost Networkを買収することで合意。数週間以内に取引が完了する見込みだと発表した。その発表によるとこれによりSoundCloudは、新たに音楽クリエイター支援のためのサービスが提供になるという。
SoundCloudは、近年、大手サービスから買収の噂や従業員のレイオフなど様々な問題に見舞われてきた。しかし、昨年からは、様々な新サービスを開始。「Soundcloud Premier」での配信による音楽クリエイター向けの収益プログラムを始め、有名DJソフトでの配信音源使用、バイラルヒットを生み出すきっかけとなっているInstagramのストーリーへの直接シェア、さらには競合サービスであるSpotify、Apple Musicなど外部ストリーミングサービスへの配信を可能にするなど、音楽クリエイターやDJの支援に乗り出している。
関連記事:
SoundCloudで収益化可能! インディーズアーティスト向け「SoundCloud Premier」が新たに開始
収益はクリエイターに100%還元SoundCloudからSpotifyなどストリーミングサービスに配信可能に!
今回のRepost Network買収について、SoundCloudのCEO、Michael Weissmanは、「Repost Networkの買収により、SoundCloudは、クリエイターがキャリアを築くのに役立つ最も包括的なツールセットを構築し、有意義に前進する。私たちはRepost NetworkチームをSoundCloudに迎えることを歓迎し、一緒に歩んで行くことに興奮している」と発表。今後、SoundCloudでは、Repost Networkが提供しているストリーミング配信、分析ダッシュボード、コンテンツ保護などのサービスをユーザーである音楽クリエイターたちに提供可能になるという。
こういったクリエイター支援のためのサービス提供は、同社が抱える2000万人以上の音楽クリエイターにとって、現在のようなストリーミング主流の時代においてはファンベースの構築とそこからのストリーミング収入獲得が重要になってくるという考えがあるからだ。そして、それは「私たちの使命は、アーティストがオーディエンスを介してオンラインで生計を立てることを支援することに他ならない。SoundCloudに参加することで、さらに多くの新人アーティストが次の一歩を踏み出すことが可能だ」という発表からもうかがい知れる。
現在、SoundCloudは、Spotify、Apple、Google、Pandora、Deezer、Tidalなど競合サービスとしのぎを削り合っている。しかし、同社にとっては、これからは”音楽クリエイター支援機能の充実”が競合との差別化を図るビジネス戦略上の柱になっていきそうだ。
なお、TechCrunchによると、”SoundCloudの2017年の売上は9070万ユーロで前年比80%の増加、損失は27%細って5140万ユーロになった”という。これは昨年以来の新サービス開始発表以前の数字だが、先述のような音楽クリエイターのための新サービスがどのような経済効果につながったのかも日々、SoundCloudを利用している側の人間としては気になるところだ。
written by Jun Fukunaga
source:
http://press.soundcloud.com/173320-soundcloud-announces-acquisition-of-repost-network
https://jp.techcrunch.com/2019/05/29/2019-05-28-soundcloud-repost-network/amp/
photo: mohamed_hassan