ロサンゼルス人気レーベル、soulection(ソウレクション)とはどのようなレーベルなのか?

"常に変化を意識する"ロサンゼルス人気レーベル、soulectionとは?
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2018.08.05 13:08

soulectionはインターネットから生み出されたレーベル


soulectionは、一言で言えばインターネットが生み出した全く新しいLA発のサウンドレーベルだ。インターネットは音楽業界を再編していく状況にあるが、その中でその特異な存在として目立っているのが彼らだ。製作的にもパフォーマンス的にもこれまでとは異なるスタイルのSoulectionを紹介していく。


これまでになかったレーベル




soulection(ソウレクション)はダンスミュージックの中で圧倒的な地位を占めているレーベルだ。バウンス感のある打ち込みをベースにして、無機質な電子音を組み合わせた独特なサウンドを特徴としているレーベルだ。所属しているプロデューサーは30名にものぼる大所帯だが、soulectionが注目するアーティストのアポイントやサウンドの発信契約をしたり、それらの音源を無料公開したり、所属するDpatがグラミー賞ノミネート曲を手掛けるなど、音楽好きだけでなくアーティストにも大きな影響を及ぼしている。これまでネットの発展によって音楽業界は衰退してしまったと言う評者もいるが、そうした風潮を吹き飛ばすのがこのsoulectionだ。Soulectionのメンバーの中には在米日本人であるstarRoも在籍している。彼はもともとは日本でサラリーマン生活を送っていたのだが、そうした生活に疲れてアメリカにわたってロサンゼルスで新しい仕事を見つけて時間に余裕ができたことから音楽作りに専念するようになった。


これまでもネットをネガティブに捉えていなくて、むしろ正規リリースができない人の楽曲もネットのおかげで世の中に広まるきっかけになったとインタビューで語っている。そしてお互いに共感できる楽曲について語り合って自然とコミュニティーができているというのだ。彼らも当初はそのような立場でインターネットを通じて繋がった仲間たちだ。それがいまや音楽界に大きな影響を与えて、Apple MusicのラジオサービスであるBeats 1 Radioで冠番組を持っているのだから驚きだ。現在リスナーが増えており、今後も注目必至のレーベルの1つだといっても過言ではないだろう。


常に変化することを意識する




soulectionは固定観念に捕らわれずに常に変化し続けるスタイルを取っているレーベルだ。それはsoulectionが手掛けるライブパフォーマンスにおいても顕著に見られることだ。たとえば、以前来日したときにはstarRoがDJと演奏を組み合わせるだけでなく、自らダンスをするという破天荒ぶりも見せ付けた。通常のDJとは大きく違うやり方でライブの観客を大いに盛り上げた。また、楽曲の製作面においてもリスナーにはいろいろな選択肢が用意されている。ベースミュージック、ビートシーンのある楽曲も多いが、透明感のあるリミックスやこれまでとは異なる曲調の楽曲作りにも力を入れたり、近年は1980年代の日本で流行ったシティポップ音楽も取り入れるなど、リスナーはいろいろな観点から楽しむことができる。


そして、soulectionはそうでありながらも前衛的にはなりすぎずポップ音楽の流れも重要視している。ただし、アメリカでは日本のアニメが非常に流行していて、アメリカの音楽界もそれを無視することができなくなっているが、そういう日本的なものを取り入れることはしていないとstarRoは語る。アメリカ人のとらえる日本的なものではなく、あくまでも日本の個性を打ち出していっている。これは彼らがエンターテインメント性を軽んじているレーベルというわけでは決してない。個性が歪められて、それによって薄くなってしまうことを懸念しているのだ。いずれにせよ今後の音楽界を語る上では欠かすことのできないレーベルであることは間違いないだろう。




Photo: https://www.facebook.com/Soulection/


Written by 編集部

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