「相対性理論」は2006年9月に結成され、東京都を基点として活動しているJ-POPのバンドである。一般的なバンドに比べると音楽プロジェクトという印象があり、メンバーの入れ替わりが多く参加者は時期によって変動しているのである。そんな相対性理論を紹介していく。
結成当時は、やくしまるえつこ、永井聖一、真部脩一、西浦謙助の4人で活動を始めた相対性理論。ジャケットやプロモーション・ビデオなどでは写真を公開せず、個々のプロフィールもはっきりとしたものではなかった。音楽性は注目されていたが、メディアへの露出は制限されていたのである。
2009年に、月刊カルチャー雑誌「STUDIO VOICE」の7月号で初めて相対性理論が特集として取り上げられ、ボーカルのやくしまるえつこの写真が掲載された。以降メンバーそれぞれ活動が盛んになり、メディアに現れるようになっている。しかし、ライブで演奏している姿は公開されておらず、メンバーがフルに揃っている写真やインタビューも未公開である。
2008年、自主制作でアルバム『シフォン主義』を発売し、ライブ会場と通販のみで4000枚を発売する。全5曲のこのアルバムは、1、2曲目の「スマトラ警備隊」「LOVEずっきゅん」が、テンションの高い曲だ。作詞は真部脩一が担当をしていたが、現在はすでに脱退している。単語の組み合わせに不思議な雰囲気を感じるこの歌詞は、やくしまるえつこの声質によく合っている。『シフォン主義』は、タワーレコード全店ウィークリーJ-POPインディーズチャートで1位を獲得した。
翌年の1月7日、セカンドアルバム『ハイファイ新書』がリリースされ、オリコンで7位を獲得したのはインディーズバンドながら快挙である。タイトルは「解体新書」と「ハイファイ」から取ってあるのがユニークであり、インディーズ・オリコンでは、2009年の年間4位にランクインしたのだ。全9曲すべて真部脩一の作詞作曲で、穏やかなサウンドで女の子らしい可愛い曲でまとまっている。
バンド結成以来、毎年順調にライブ活動を続けている相対性理論は、2016年7月は日本武道館で、その翌年には中野サンプラザなどでのライブも好評であった。2012年に真部脩一と西浦謙介が不参加になりメンバーとしても辞めている。入れ替わりにベースの吉田匡やドラムの山口元輝が参加した。
メンバーが入れ替わった後も、ライブ活動は順調で、2018年には、自主企画ライブ「変数!」が、東京・EX THEATER ROPPONGIにて開催される。前年に完結した自主企画シリーズの「証明」や6月にロームシアター京都でOKAZAKI LOOPSとのコラボレーション企画「変数分離」を経て、新たに始まった自主企画シリーズの第一弾である。
相対性理論は、これまでにさまざまなアーティストなどと共演し、活動の幅を広げてきた。その中でも、やくしまるえつこはバンドとしての活動に加え、作詩作曲、音楽プロデューサーという活動し、音楽以外でもイラストや朗読、ナレーションなどさまざまなジャンルの芸能活動を行なっている。
相対性理論というバンド名は、やくしまるえつこ本人が自ら命名したのであるが、やくしまるの父親の職業が科学者であることが由来だ。相対性理論のプロジェクトのコンセプトを立案するプロデュースも行なっている。また、ファッションブランドと企画をしたり、ファッション誌の連載などを手がけたりしながら、モデルとしても活動中。やくしまるえつこが幅広いジャンルで活躍していることが、相対性理論の人気の秘訣かもしれない。ライブを中心に活動し続けている相対性理論は、今後も活躍が期待される!
photo: mirairecords.com, facebook
written by 編集部