既存の曲の一部分を引用し新たな楽曲を作り上げる「サンプリング 」。ヒップホップでは欠かすことのできない作曲方法だが、70年代80年代の曲が”元ネタ”として使われていたのは過去の話。近年では2000年前後にヒットした曲をリバイバルさせたような曲が多くリリースされ、その中には本人も参加している曲が少なくない。30代のヒップホップファンにとっては心くすぐられるヒップホップ、R&Bが2019年も数多くリリースされたので今回はその中でも選りすぐりの3曲を改めて紹介!! 元ネタと一緒に聴き比べてみよう。
2019年大ブレイクを果たしたフィメール・ラッパーといえばMegan Thee Stallion(ミーガン・ジー・スタリオン)。現役の大学生でありながら続々とヒットを飛ばし夏には「Hot Girl Summer」と呼ばれるムーブメントまで引き起こした。そんな彼女が2019年5月にリリースしたミックステープ『Fever』に収録されている「Simon Says」は90年代から南部のヒップホップシーンを牽引するラップグループ、Three 6 Mafia(スリー・6・マフィア)の「No Im Not Dat N----」のイントロ部分のリリックを大胆にサンプリングしている。「No Im Not Dat N----」自体もまた元ネタは存在する奥深さがヒップホップの楽しみのひとつ。さらにThree 6 Mafiaのメンバーの1人であるJuicy J(ジューシー・J)がフィーチャリングで参加しているところが長年のヒップホップファンにとっては胸熱!! 24歳の新人ラッパーが大ベテランに認められた証拠でもあるのだ。
モンゴル出身でブロンクスを拠点とする移民系ラッパーのFrench Montana(フレンチ・モンタナ)が12月にリリースしたアルバム『Montana』からのリードシングルとして4月に発表されていた「Slide」は、「Thotiana」で一躍時の人となったBlueface(ブルーフェイス)、そしてブロンクスの注目若手ラッパーLil Tjay(リル・ティージェイ)が参加したことでも話題となった1曲。
今回サンプリングとして注目したいのは曲の後半でガラリと雰囲気が変わるパート!! ここでは西海岸のレジェンドSnoop Dogg(スヌープ・ドッグ)が1993年にリリースした「Serial Killa」のトラックがほぼ”まんま使い”で使用されている。さらにリリックの一部もサンプリングされているので注意して聴き直してみてほしい。そしてそのリリックはDr. Dre(ドクター・ドレー)の代表曲「Still D.R.E.」でも使用されているという、何とも心くすぐられるサンプリングだ!!
アトランタ出身の若手R&Bシンガー、Summer Walker(サマー・ウォーカー)が10月にリリースした待望のデビューアルバム『Over It』はデビュー作ながらビルボードチャートで1位を獲得し注目を集めた。そしてアルバム5曲目に収録されている「Come Thru」には何とベテランR&BシンガーのUsher(アッシャー)が参加しているのだ。そしてそんなUsherによる1997年リリースのヒット曲「You Make Me Wanna…」をサンプリングしていることもR&Bファンの間では話題に!!
「You Make Me Wanna…」はグラミー賞にもノミネートされ、世界中で大ヒットを記録した曲でもありSoul Train Music Awardでは見事受賞を果たしているそして2019年に行われたSoul Train Music Awardにて今度はSummer Walkerが「新人賞」を獲得と嬉しい世代の移り変わりを果たした。
時が経っても名曲は名曲!! こうして今の時代にサンプリングとして使用され、さらに懐かしのアーティストも再び脚光を浴びることは長年ファンで良かったと思う瞬間。最近ヒップホップ、R&Bに興味を持ったというリスナーはサンプリングを元に過去の曲を探してみるのもオススメだ。
written by BsideNews
Photo:Facebook/Megan Thee Stallion,Facebook/French Montana,Facebook/Summer Walker