自宅でレコード盤をカッティング!「PHONOCUT」のクラウドファンディング開始

手に入れればかなり現実的なお値段でオリジナルのレコード盤が作り放題だ!
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2019.10.16 02:00

自宅でレコード盤をカッティングできる機材「PHONOCUT HOME VINYL RECORDER」がKickstarterでクラウドファンディングを開始した。2019年10月16日現在、€1,299 以上のプレッジで本体が入手できる。通常の販売価格は€1999を予定。




自宅がレコードプレス工場になる夢がかなう?


厳密にはプレスではなくカッティングなので、一枚の書き込みにはそれなりに時間がかかると思われるが、とにかく自宅で好きな音源をアナログ盤化できる!同社ウェブではPHONOCUTはグローバルに流通させるとコメントされているので、金額としては日本円で15万円くらい(通常価格では約24万円くらい)の現実的なお値段で自宅でのレコード盤作成が実現する。DJやレコード好きにとってはドラえもんのポケットから出てくるレベルの夢の発明品だ。


カッティングの難易度は?


通常、レコードのカッティングはエンジニアが行うもので難しそうな印象だが、同製品はブランクディスクをセットし、オーディオインプットを接続してボタンを押すだけで、商用プレスされたレコード盤と変わらない耐久性のステレオ・レコード盤(10インチ)を正確にプレスできるという。カッティングできるのはPHONOCUT社の提供する特殊なディスクのみ。また、カッティングの際に必要なEQなどの調整なども同製品内で行われる。




カッティングできるブランクのレコードのお値段は?どこで手に入る?


ブランクのレコードは一枚€/$ 10(枚数が多い場合数量ディスカウントも検討)でレコーダー本体と同様にグローバルに流通する予定。盤の材質については明記されていないが、同社ホームページでは耐久性の高い特別なレシピのヴァイナルと記載されている。こういった簡易なカッティングとして真っ先に思い浮かぶのはテスト用の簡易なカッティング盤として利用されている低寿命なアセテート盤だが、ウェブではアセテート盤とは記載されていない。(同社へ質問中、回答があり次第更新予定)録音可能時間は片面10~15分でオーディオの波形により変化する。カッティング用の針も交換可能となっており同社が販売予定。





勝手にレコード盤をプレスできたら著作権上の問題は?


これまでのテープやCD-Rなど録音メディア同様、個人で楽しむ分には何を録音しても違法に当たらない。本体、ブランクのディスク販売にあたっては、日本でいう私的録音録画補償金制度にのっとりPHONOCUTが保証金を納める点も他の録音機器と同様。もちろん著作権や原盤権を保有する楽曲ならカッティングしたアナログ盤を販売・配布するのも自由。


どんな用途が考えられる?


クリエイターが自身でオリジナル曲をカッティングし、そのままターンテーブルに乗せてプレイできるのはもちろん、デモ楽曲を著名なDJへ渡す場合も、サウンドクラウドのリンクなどよりアナログ盤のほうが圧倒的に印象に残るだろう。ライブ会場やリリース時などに限定販売するグッズとしてもニーズは高そうだ。

また、アナログ盤のサウンドの質感が好きなリスナーにとってもメリットはありそう。今の時代、デジタルでしか流通しない音源は多い。そういった音源を集めた自分のためのコンピ盤を作成し、自宅のアナログプレイヤーで楽しむこともできそうだ。


正直なところ最初はアセテート盤にアナログ用マスターの制作しやすいモノラル音源を記録できるのかな?くらいに思っていたが、読んだ限りかなり本格的なアナログ盤を作れるように見えるうえ、レコード用のマスタリング的な作業まで内部処理するというかなり現代的なテクノロジーの産物だったのには驚いた。クリエイターがより気軽に音源をアナログ盤化することにより、リスナーのレコードプレイヤーの出番も増え、アナログ盤市場のさらなる活性化に繋がりそうなユニークな発明だ。


written by Yui Tamura


source:

https://phonocut.com/

photo:

https://phonocut.com/




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