カワムラユキがナビゲートする番組「shibuya OIRAN warm up Radio」に、4年ぶりとなる2ndアルバム『IN ANY WAY』をリリースした大比良瑞希がゲスト出演。七尾旅人やtofubeats、蔦谷好位置ら豪華アーティストとの制作エピソード、アルバムに込めた思いなどを語ってもらった。
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カワムラユキ(以下、カワムラ):今日は大比良瑞希さんにゲストに来ていただきました。こんばんは。
大比良瑞希(以下、大比良):こんばんは。よろしくお願いします!
カワムラ:実際にお会いしたかったんですが、今日はリモートで。こうやってじっくりお話するのは初めてですよね。
大比良:そうですね。去年、私のワンマンライブに来ていただいて、すごく嬉しかったのを覚えています。
カワムラ:七尾旅人くんが連れて行ってくれたんだよね。花魁の近く、渋谷7th floorでのワンマンライブにお邪魔して。そのときも本当に素晴らしかったです。
カワムラ:以前にもこの番組で、大比良さんの「Eternal My Room」をテーマに選曲させていただいたことがあって。Stay Home時間がうっとりするような、色っぽい曲だなと思ってます。大比良さんは素敵なレディですね。
大比良:ありがとうございます。
カワムラ:待望の2ndアルバム『IN ANY WAY』が発売されましたが、このアルバムのタイトルにはどんな由来があるんですか?
大比良:4年ぶりにやっとリリースできました。“IN ANY WAY”は“とにかく”っていう意味があって、今までのストーリーや話してきたことを一旦まとめて、次に進むために使うような言葉だと思っているんです。今回のアルバムには4年分のバラエティ豊かな12曲が詰まっているんですけど、全てに共通するのは、“次に進むステップになってほしい”という思い。自分に対しても、聴いてくれる方に対してもそういう気持ちがあったので、「次に進もう」というメッセージを自分から発信できるアルバムになったら、という意味で「IN ANY WAY」とつけました。
カワムラ:今の世界の状況の中で、このタイミングでの「IN ANY WAY」って、深い意味を持ちますよね。
大比良:そうかもしれないですね。この状況もあってアルバムの発売日も延期になったんですけど、世界中の音楽とともにこのアルバムも聴いてもらって、ポジティブになってもらえたら嬉しいです。
カワムラ:大比良さんって呼んでたけど、今から“瑞希ちゃん”って呼んでいいかしら?
大比良:嬉しい!
カワムラ:瑞希ちゃんは作詞作曲の集中力を感じるような楽曲がすごく多いんですが、インスパイアされてから創作に持っていくまでの流れって、どういう感じが多いですか?こういうゾーンに入ると曲が進む、とか。
大比良:まずは作曲から始めて、歌詞は後で書くんですが、曲を作るときはギターで作ることが多いですね。スタジオで大音量で鳴らして、自分が気持ち良いと感じるところから映像が浮かんでくることが多いです。音色からインスピレーションを受けるというか。新しいエフェクター、アンプ、楽器に触れてインスパイアされることもありますし。好きなアーティストのライブに行った帰り道に思い浮かんだりすることもあります。まずは自分が気持ち良くなるのが大事だなと思ってますね。
カワムラ:じゃあ、けっこうパッションで創作するんですね。
大比良:意外とそうかもしれないです。ソロのシンガーソングライターということもあり、曲を作るときの原点は1人。家でひっそり作るのも、1人でスタジオに入って大音量で鳴らすのもどちらも好きですね。
カワムラ:ふと思い出したんですが、瑞希ちゃんがりんご音楽祭で自然の中ライブしているのを観たとき、頭の中がすごく気持ちよかったんですよね。モヒートを一気に飲んだような感じ。
大比良:わぁ、嬉しい感想です。
カワムラ:外で演奏するのもまた楽しいですよね。
大比良:そうですね。ライブハウスとは違うゾーンに、違う感情が表現できるところがあります。
カワムラ:私の友人でもある七尾旅人くんと作った「ムーンライト」。素敵な曲ですね。どうやって出来上がったんですか?
大比良:七尾旅人さんが私の曲を気に入ってくれて、ラジオでかけてくださっていたんですよ。それで思い切ってワンマンライブのゲストとしてオファーしたら、快諾していただいて。そこで、せっかくなのでオリジナルの曲を一緒に作ろうってことになり、スタジオに入って2、3曲一緒に作ったうちの1曲なんです。すごく楽しい時間でした。
カワムラ:そのワンマンが、私がお邪魔させてもらったライブですか?けっこう運命的ですね。
大比良:そうです。あのワンマンライブでは「Don't Say Good-bye」っていう曲を歌ったんですけど、そのときには「ムーンライト」の形はできていて。ワンマンライブの後に完成させて、リリックビデオも強風の中、一緒に撮影できたんです。
カワムラ:2人の声が重なりあうと独特のマリアージュがあって、すごく素敵だなと思いました。できあがった楽曲をアルバムにまとめる上で、苦労したり嬉しかった瞬間はありました?
大比良:アルバムとしてのリリースがちょうど4年ぶりだったので、CDのサンプルを手にしたとき、形になる喜びを実感しました。最近は配信でシングルとして出してはいたんですけど、それがコレクションされて新譜も入って、物として形になるのは嬉しかったですね。
カワムラ:ジャケット写真もすごく素敵でした。どちらで撮影されたんですか?
大比良:とある工場の一角というか、遠くから見ると街にも見える、どこかわからない雰囲気の中に自分の居場所としてソファをおいて、“常に私は私”というか、“Eternal My Room”感をアートチームと一緒に模索して撮りました。
カワムラ:「無重力」は聴いてる間ずっと無重力に包まれているような感覚になりますが、この曲はtofubeatsさんがアレンジをしてるんですよね。
大比良:作詞、作曲、プロデュースで入っていただきました。tofuさんは私がソロで活動を始めた2015年から知ってくださっていて。毎年リミックスやライブで年に1回ほどご一緒してたんですけど、一緒にレコーディングしたのは始めてでした。歌のディレクションがすごく新鮮で。無重力だから力を抜いて、“無重力の中歌う”っていうのをどう表現するか話し合いながらレコーディングしました。
カワムラ:「RESCUE」はshowmoreの根津まなみさんが作詞されたんですよね。お二人のお付き合いは長いんですか?
大比良:根津さんは彼女がソロのときからの知り合いで、プライベートでもよくご一緒するんです。今回こういう形で一緒にできてすごく感慨深かったです。
カワムラ:根津さん節と大比良さん節が絶妙にミックスされてる曲だなと感じました。
大比良:根津さんが歌詞を、私が曲を書いたんですが、一緒に話しあいながら作ったんです。根津さんの話を聴きながら歌ってたら、根津さんが私に降り注いできた感じがあって。歌詞を書いてない分、客観的に憑依できるというか。
カワムラ:リリックってすごいですよね。リリックが呼び覚ます音楽の導き。ちなみに私、根津まなみさんに歌詞を提供したことがあって。その曲もぜひ瑞希ちゃんに聴いて欲しいな。
大比良:聴きましたよ〜!ちょうど根津さんと話していたとき、ユキさんの話になって。
カワムラ:嬉しい。今日はblock.fm編集部からも質問が来ています。アーティストを目指そうと思ったきっかけやエピソードなど教えてください、ということですが。
大比良:中学生のときに友達から「バンドやろうよ」って言われて。その子が歌うから、瑞希はギターね、ってことでギターを始めたのがきっかけです。音楽を始めて、自分の居場所はここだなっていう感じがすごくありました。
カワムラ:歌は歌ってなかったんですね。意外です。
大比良:女子7人バンドで、ボーカルが2人いて、私はリードギターでした。当時、歌はコンプレックスに思ってたくらいだったんです。
カワムラ:「からまる」こちらは蔦谷好位置さんのプロジェクト、KERENMIと一緒に作った楽曲ですね。スーパープロデューサーとの制作はどんな感じでした?
大比良:去年、『電影少女』っていうドラマの主題歌にもなった曲です。最初に声をかけていただいたときは本当にびっくりしましたね。決まってすぐにレコーディングで、あまり練習もできなかったのですごく緊張したんですが、蔦谷さんのディレクションが私だけの特徴を引き出してくれた感じがあって。自分の特徴に気づくきっかけにもなったので、ターニングポイントになった1曲です。
カワムラ:個性的なプロデューサーやミュージシャンとご一緒しても、最終的に“瑞希ちゃんの楽曲”になるのがすごいね。
大比良:嬉しいです。初めてコラボレーションの曲も入れたアルバムになったんですが、コラボすることで自分に対する理解が深まった部分もあると思います。
カワムラ:次も編集部からの質問です。影響を受けてきたアーティストはどんな方がいらっしゃいますか?
大比良:私はエレキギターの弾き語りをスタイルとしてるんですけど、そのスタイルに関してだとFeistっていうミュージシャンです。一番好きなんですよね。歌い方や抜け感、楽曲はトラックの上で歌う曲もバンドサウンドもあるし、プロデューサーとの関わり方とかも。あとはLianne La Havas。この人もギターの弾き語りなんですけど、重低音がガンガンくるクラブ寄りのトラックにも合うし、エレキギターと声だけの曲も、グルーヴが良すぎてずっと聴いていられます。
カワムラ:なるほど、わかる気がする。いつかFeistの「Bittersweet Melodies」をカバーして欲しいな。
大比良:Feistはいろんな曲をカバーしてるんですけど、その曲はまだなので、今度歌ってみます。Feistの「Anti-Pioneer」にインスピレーションを受けて曲を作ったこともありますね。
カワムラ:私、このバージョンすごく好きなんです。熊井吾郎さんってどんな方ですか?
大比良:熊井吾郎さんはMPCプレイヤーで、ビートをサンプリングしてとてもかっこよく曲を変えてしまう方なんです。熊井さんのMPC、いつも一緒に曲を作ってる伊藤修平さんのチェロ、私のエレキ、という3人で、りんご音楽祭でライブをしたことがあって。そのときも熊井さんのビートがとてもかっこよくて。指先だけで音楽のベースを決めてしまえる方。この曲も生まれ変わりましたね。
カワムラ:最近はインスタの配信などでも最高なライブを拝見してるんですが、自粛期間中の生活サイクルや、ミュージシャンとして今思うことはありますか?
大比良:特に私は、大事なアルバムの発売日が外出自粛期間になってしまったこともあり、ちょっと焦ったり悩んだりしたんです。でも、やっぱりできることからやるしかないと思って、今は週2回インスタとYouTubeで生配信を始めました。配信はリアルのライブと違ってコメントでコミュニケーションを取れたりするので、すごく自分のモチベーションになってます。自粛にならなかったら配信はしてなかったと思うので、配信の良さにも気づけてよかったですね。
カワムラ:両方魅力はあるけれども、ただやっぱり音楽は、生の振動が体に取り巻いていく感じがいいよね。だからやっぱりリアルのライブも観たいですね。
カワムラ:こちらはFISHMANSのカバー「いかれたベイビー」。渋谷花魁のスタッフの家に遊びに行ったときにこの曲を聴いていて、「あ、瑞希ちゃんの曲を聴いてる」って思ったんですよ。名曲が瑞希節に染まってますね。
大比良:すごく緊張したんですけど、こういうアレンジになりました。
カワムラ:レジェンドの楽曲を歌う瑞希ちゃんも最高ですが、最近お気に入りのアーティストや楽曲はありますか?
大比良:クリーンなエレキギターとソウルフルな女性の声、それだけで好きなゾーンなんですけど。さっきもお話したLianne La Havasも最近新譜を出していたり。似てるテイストですけどIyamahっていうアーティストや、Joy Crookesっていうアーティストも聴いてます。
カワムラ:瑞希ちゃん、代々木VILLAGEのMUSIC BARでセレクターをやってたことあるよね。行きたかったなぁ。またああいう企画もやってほしいな。
大比良:セレクターもすごく楽しかったです。6時間連続でレコードをかけ続けました。60年代くらいの楽曲が割と多かったんですよね。この状況が落ち着いてまた復活できたら。
カワムラ:ずっと音楽の話をしてきたんですが、音楽以外では何をしているときが一番楽しいですか?
大比良:あんまり外に出れないので、散歩とか。あとは運転することが好きなので、特に目的もなく車走らせたり。気分転換になりますし、車を運転しながら歌詞を考えたり、頭の整理をするんです。
カワムラ:瑞希ちゃんの運転、すごそう(笑)。
大比良:ハイエースとか運転しちゃいます(笑)。
カワムラ:最後に、ファンの方にお知らせなどありますか?
大比良:まだライブができないんですが、バンドメンバーも集めて配信で特別なものをお届けしたいなと思ってるので、楽しみにしていてください。7月中にできたらなと思っています。
カワムラ:あとは、ニューアルバム『IN ANY WAY』はCDもあるのよね。アートワークが本当に素敵なので、ぜひアートワークと合わせて堪能して欲しいですね。配信で聴けるのもすごく素敵なんですけど、特に瑞希ちゃんの音楽の場合は、手に取る喜びを感じてほしいです。
大比良:はい。歌詞カードもポスター風に作ったので、ぜひCDで手に取ってもらえたら嬉しいです。
カワムラ:状況が落ち着いたらぜひ乾杯しましょうね。
大比良:ぜひ、根津さんやみんなで!楽しみにしています。
大比良瑞希アルバム 『IN ANY WAY』
2020年 6月3日(水)
▶https://orcd.co/pbja9n1
CD:
品番:UXCL-241
POS:4582169618655
価格:¥2,500(本体)+税
発売元:RED/サンバフリー
販売元:ハピネット
収録楽曲
01.Eternal My Room
作詞 大比良瑞希 作曲 大比良瑞希、伊藤修平 編曲 伊藤修平
02.甘い涙
作詞 大比良瑞希 作曲 大比良瑞希、伊藤修平 編曲 伊藤修平
03.無重力
作詞・作曲・編曲 tofubeats
04.SAIHATE
作詞 ・作曲 大比良瑞希 編曲 伊藤修平
05.RESCUE
作詞 根津まなみ 作曲 大比良瑞希 編曲 伊藤修平
06.In a small lake
作詞 ・作曲 大比良瑞希
07.ムーンライトfeat.七尾旅人
作詞 大比良瑞希、七尾旅人 作曲 大比良瑞希 編曲 伊藤修平
08.いかれたBABY
作詞 ・作曲 佐藤伸治 編曲 伊藤修平
09.ミントアイス
作詞 ・作曲 大比良瑞希 編曲 伊藤修平
10.からまる feat. 大比良瑞希/KERENMI
作詞:田中秀典 作曲/編曲:KERENMI
11.Somewhere
作詞 伊藤修平 作曲 大比良瑞希
12.Real Love -熊井吾郎Remix-
作詞 ・作曲 大比良瑞希 伊藤修平
大比良瑞希
東京出身のシンガーソングライター。
2015年、ミニアルバム「LIP NOISE」のリリースでソロ活動をスタート。
2016年、1 stフルアルバム「TRUE ROMANCE」をリリース!
2017年「アロエの花」「Real Love」「見えない糸」の連続配信が人気を博し数々のプレイリストに選ばれバイラルヒット!いまだに人気衰えず今年 1月発売のDISH//のメンバーとして活躍中の橘柊生、2作目となるミックスCD 、DJ To-i『TOY BOX Ⅱ-All Night Mix-』にも大比良瑞希の「アロエの花 (tofubeats remix) 」が収録された。
FUJI ROCK FESTIVAL、SUMMER SONICGREENROOM FESTIVALなど、大型フェスへの出演も多数。CMへの楽曲提供やtofubeats、LUCKY TAPES、Awesome City Club等様々なアーティストのサポートなど多岐に渡って活躍。
2019年4月テレビ東京・木25ドラ「電影少女-VIDEO GIRL MAI 2019-」で蔦谷好位置氏のプロジェクト・KERENMI(ケレンミ)の目に留まり、主題歌「からまる」のフィーチャリングボーカルに大抜擢!
同年、アルバムからの先行となるtofubeatsプロデュース楽曲『無重力』が配信されバーニーズ ニューヨーク銀座本店15周年を記念したスペシャルミュージックビデオ、ファッションモデル・女優のモトーラ世理奈をキャストに迎えたMVと共に話題を呼ぶ。続いてオリジナル楽曲『Eternal My Room』もクリスマスに配信されいやがうえにもアルバムへの期待か高まる。
そのクールネスとパッショネイトが交錯するスモーキーな歌声と、エレキギターを爪引きながら歌うスタイルは、明るくも物憂げな唯一無二の世界観を醸し出し、ソウルフルかつオルタナティヴにな新時代のシティ・ポップを紡ぐサブスクリプション・ストリーミング時代を体現する次世代型シンガーソングライターとして注目を集めている。
大比良瑞希オフィシャルHP: https://ohiramizuki.com/
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カワムラユキ「shibuya OIRAN warm up Radio」
毎週金曜日 20:00-21:00放送