【ラジオ書き起こし】モーリー・ロバートソンが解説 陰謀論を信じる日本人とTwitterで仲良くなる方法

CIA工作員コードネーム・ポダムこと正力松太郎から、ディベートできないアジア人までを語る。
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2018.08.29 23:00

毎週木曜日夜9時、block.fmで生配信中される、国際ジャーナリストでDJのモーリー・ロバートソンさんの番組の『Morley Robertson Show』。今回の番組では、Twitterで絡んでくる一般ユーザーとのやりとりから、モーリーCIA工作員疑惑? に話を拡張して、アメリカ現地の学生時代のエピソードを振り返ります。


毎週モーリー・ロバートソンのラジオが聴ける番組は、こちらをチェック。

 「Morley Robertson Show」

https://block.fm/radios/28

生配信:毎週木曜夜 21:00 - 22:30


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モーリー:モーリーさんが世界に向けて陰謀論を話す、マインドコントロールを脱却しようっていうそんな番組をやっております。さあ、ここから今日のスペシャルを行きたいんですけれども。


先日、Twitterでですね、まあテレビに出すぎてるせいなんだけれども、だんだんとザコが増えてるのね。レスポンスを送ってくる連中、やつらの中に。自分の視聴者の中の一部の連中がいるわけですよ。どういう輩か?っていうと、本当に無責任なマスコミ全般や社会に対する憤りを、なぜか有名な人を見つけてその人にぶつけてくるわけ。


よく考えるとそこのアキュゼーションっていうか、相手を攻撃してる内容っていうのは答えの出ない内容だったりするんですよ。自分も顔を出してテレビに出て議論しなよ!っていうのことをぶつけてきて。


先々週の女子を(入試で)減点していた大学(東京医科大学)の問題だったりとか、LGBTの同性婚であったりとか、杉田水脈議員に関してだとか、なんかすごい大風呂敷で批判を送るわけ。で、そんなね、顔も見えない、ほぼ卵アイコンのTwitterアカウントがなんかをぶつけていってさ、それに有名人が応じてくれるわけないじゃない?


ところが、モーリーさんのアカウントっていうのはセコくエゴサしながら微分法で1日100フォロワーとかを日テレのバラエティーに出た時にうまく取り寄せたりする。なんて言うのかな? 大きな氷山からかき氷をちょっとずつ小さなスプーンでフォロワーを増やすっていう技を使ってるんで。そういう輩に一種のファンサービスとしてわざわざ答えてあげるわけ。それでそれを見ると、ちょっとみんな上がるっていうか。「面白え!」みたいのがあったりするんで。私の方でもやらかすわけですよ。無視すればいいものを。


で、直近で心に残ったのが「あなたはCIAから派遣されている。私はあなたの高校のOBなんですけれども、自分の高校からそんなCIAの手先は出るのは嘆かわしい」みたいなことが書いてあって。「いや、正気か?」ということで。


(そのアカウントのツイートを)見に行ったのね。そしたら「ポダム」っていう言葉を使っていて。「これ、どっかで聞いたことあるな……」って。そしたら、2ちゃんねる的な陰謀論の中にポダムっていうのがあって。ポダムっていうのはどいうことかっていうと、富山県出身の正力松太郎っていう読売新聞を始めた人がいたんだけど。


その方は戦犯で捕まって巣鴨プリズンに入れられたんだけども、何らかの取引をGHQとすることによって、情報提供者になるのみならず……日本の世論が戦後、原爆まで受けた日本が親米に変わって行った。それはおかしい。つい最近まで敵対国家だったのに、今度はアメリカの核の傘に1950年代には入り、そして神武景気で儲けさせてもらって、まあ非常に忠犬ハチ公だ。アメリカの「Lap Dog(ポチ)」になったんだ。それを促した黒幕がポダム。これがCIAに与えられたコードネーム「ポダム」っていうことで。それを調べていくとですね、まあ記事なんか載っていないし、あるとしたらウェブメディア「TOCANA」(トカナ)なんですよ。


で、TOCANAさんは面白い記事、アトランティスとかムーとかそういう記事も書いてるから、まあ見に行ったわけ。そしたらまあ、細かいことがいろいろ書いてあって。その正力松太郎という人は読売新聞を始めて、あと野球を盛んにした。そして広島にカープという球団を作ったため、原爆で被爆したにもかかわらずそのカープに熱狂した広島っ子たちは被爆したことも忘れて、アメリカの文化を肯定するようになったとか。まあ、諸々あるんですよ。あとはロカビリーの時代から歌謡曲にCIAの金を上手くパイプになって渡すことによって、日本の歌謡曲を極めて西洋風の軟弱なものにしていったとか、要は日本人のマインドコントロールが正力松太郎という人を通してなされたといいう。まあ、読売ですよ。読売ジャイアンツしかり、そして日テレです。


CIAの日本人スパイ「ポダム」の正体は超・大手メディアの社長だった! 原爆投下の広島を“親米”に変えた男(TOCANA)



その日テレで、私が好視聴率の番組にいま、出ているわけですよ。『スッキリ』しかり、『1周回って知らない話』しかり、『誰だって波瀾爆笑』しかり。これで将来、もしかしたら帯の番組を自分メインで持つかもしれない。そして報道、世論に訴えかける。報ステにも匹敵するような影響力を持った僕は第二のポダムなんだ、みたいに正力松太郎……これ、高岡高校ですよ。富山県高岡の。もう越中マフィアなんだ!っていう風に点と点が空の星座がつながっていくわけですよね。「ああ、あそこにひしゃく型が見える!」みたいに。



それでね、このアノニマスくんにどうやって答えればいいのか? どうも年齢が自分よりも上で、還暦すぎて引きこもっているみたいに見えるし、富山県を出たことがないのかなとも思うし。「生かさぬように殺さぬように……」じゃないですけども、「ビッチ、マザーファッカー!」ってみんなの前で言って、「こいつ、みんなでいじめようぜ!」ってやってみたくなる気持ちもあるけど、それをやると心ないし。せっかく最近白くなってるのに、意地悪しちゃダメだよねっていうことで散々考えた挙句、ポダムを調べたのね。


そしたら結局わかったのは、ポダムとか正力松太郎の陰謀を信じてる人は、そこから原発推進も読売が押したから、中曽根康弘と組んで原発も正力松太郎、つまりCIAが日本に持ってきて。そこにモーリーはほら、ABCC(原爆傷害調査委員会)の研究員の息子でもあるから、第ニポダムとしてはちょうどいいわけですよ。


それで俺、思い立ったわけ。「俺、もしかしてそもそも広島にいたのも、そして自分の力で小学校の時に中学受験をして修道中学に入ったんだけども、あそこらへんってみんなCIAがポダムについて動いてたのかな? 東大に通った時も俺、加点されていたのかな?」とか、いろいろと考えたわけですよ。


で、ずーっと自分の胸に手を当てて考えたんだけど、いや、俺多分ね、行かなくていいところに行っているし。あの矢沢永吉が好きでそれを否定されたから逆ギレして受験を受けて。ハーバードは何の気なしにやったら……なんだろう? 


アメリカの学校に中学からそのままずっといたら僕、日本の学校から移っているからよくアジア系移民一世。香港から来た人とか、当時は香港、韓国、ごく一部の日本人が東アジアから移民していて。中国大陸からは人は出られませんでしたからね。70年代は。その時期の自分を思い出してたわけよ。「俺はポダムだったのかな?」って。


でもどう考えてもおかしいのは、僕は中学2年で最初に修道からですね、アメリカのノースカロライナに移った時。まあ詳しいことは自分の自伝でも書いたんですけど、紆余曲折あって飛び級して私立の学校に行ったんだけども。そこでは「中絶の是非」をすでに、セックスもしたことがない学生に討論させ合っていたわけ。中絶はいいことなのか、悪いことなのか。


南部の州で、元は奴隷制やってた州。南北戦争で負けた側なんで、非常に保守的であるという。それでクリスチャニティ、エヴァンジェリカル、ボーン・アゲイン・クリスチャンの延長で、要は胎児もコンセプションの瞬間、精子と卵子が受精した瞬間からそれはもう人間としてみなした方がいいから絶対にレイプであっても何があっても……体に命の危険が及んでも中絶はダメ!っていうガチンコな福音派の人がいるのね。


それは聖書に書かれた通りだからっていう人と、いや、母体をどうするかは生まれる前の瞬間まで女性が自分で自分の体……「Our Bodies, Ourselves」ということで判断すべきだというフェミニズムのディベートが70年代にアメリカの中で熱になっていたわけですよ。レイジ・オンしていたわけ。


それを決めるのは最高裁なのね。で、それを決める最高裁判定っていうのは73年の「Roe v. Wade」っていう判例があるんですけども。その「Roe v. Wade」の最高裁判定を覆すべきかどうかっていうのがアメリカの社会でレイジ・オンしていたわけ。



それを中3に飛び級したモーリーさんは授業時間に、その中絶はいいことか悪いことかとか、どこで……(妊娠)5週間目で人間とみなされるべきなのか。つまり、その段階で中絶手術をしたら殺人になるのか。それを憲法が認めたら、国家による殺人じゃないか、みたいな。その憲法解釈を憲法裁判所がやるわけ。


で、アメリカの憲法裁判所、最高裁っていうのは「Supreme Court」っていうんだけども。判事が9人いるわけね。なんで9人いるかっていうと、8人だったら4対4で片方が与党、片方が野党みたいにみんな意見が真っ二つに分かれて。それで「決められません!」って言って逃げることができるわけ。だから決めると国民から反発がありそうな事案に関して、最高裁が8人だったらうまく忖度し合って目配せで4対4にして逃げることができるわけ。



日本の政治って全部先送りじゃないですか。憲法9条にしても原発にしても、なんでも先送りにする美徳があるけど、ああいう風にならないようにアメリカのデモクラシーは最初から「白黒つけなさい!」ということでやるわけ。


ところが、大統領選挙は4年ごとのサイクルで変わるし、中間選挙も含めると下院は2年ごとに変わるんですけれども。まあ、そういう仕組みがいろいろとあって、いろんな違う時計で動いてるけども、最高裁の判事に限っては「一生」なんですね。認知症でもうボケて動けなくなるまでずっと最高裁判事でいられるということで、要は賢者によって独立した司法というものを統治していこうという考え方。三権分立ね。


で、その三権分立の中で9人目が最近のトランプがニール・ゴーサッチっていう人に入れ替えたんだけども。ゴーサッチ判事を入れちゃうとですね、今後「Roe v. Wade」を覆す可能性があるわけよ。で、最高裁で前にあった判定、解釈を覆してしまうと、これは州のレベルでの立法にも関連していって。


「ああ、そうなんですね。『Roe v. Wade』が覆りましたね」っていうことで、たとえばシングルマザーが中絶手術を受ける時に貧しい人にいろんな福祉のようなお金が出るわけですよ。入院費用とか。それを出さなくていいというような中絶反対の州……たとえばテキサスやアラバマみたいなところでそういう立法が可能になってきて。いろいろとドミノ倒しというか波及するわけね。




なんで、最高裁の判定はとっても大事なんですけども、その最高裁の判事が結局「Roe v. Wade」を支持すべきかどうか、みたいなことを、日本の学校からやってきて中2から中3に飛び級して、女の子の手も握ったことがなくてチューもしたことがないし、もちろんファックもしたことがないし。間違えて妊娠もしたことがないこの俺にさ、どう意見を言えっていうわけよ? 


そういう状態で「意見が言えましぇーん」みたいなっていって。まあ40年前の話だから思い出しているんですけど。「自分は決まりをきちんと教えてくれれば、それを守ります」みたいなことを言ったのね。


だからみんなが「共和党だ!」「いや、民主党だ!」って言ってアメリカの学生同士でワーッ!ってお互いに騒いでいる、ディベートしてる最中に「日本から来たモーリーくんはどう思うの?」って自分の順番を先生に与えられた時に「いや、僕はルールがきっちりとしていれば、郷に入っては郷に従えということわざが日本にあるので、みなさんが決めたルールに争わずにちゃんと従いますよ。それが私の正義です」みたいなことを言ったら、「お前は自分で考えることを放棄しているのか!」みたいになったわけですよ。


その状態で、それに反発して。公然引きこもりじゃないですけど、ディベート引きこもりっていうか。ディベートをあえて避けた。あるいはこれは実は東アジアから移民した一世の……若い人たちで一世で家族と一緒に移民した人に結構顕著に見られるらしいんですけども。


エイジアン・アメリカンはですね、選挙に行かない。そして政治の話をしない。


ひとつの大きな理由は母国で……たとえば中国とかだったりすると、迫害されているから。要は政治について口を開くと、後で政治の流れが変わった時に「お前、あん時に反対側だっただろう? 非国民め!」みたいに糾弾される。文化大革命みたいなのがあるんで、とにかく政治については曖昧な態度をとるか、一切口にしないのが良しとされる東アジアの歴史があったりするわけですよ。韓国にしても朝鮮戦争にしてもね。


だから「Fresh off the boat(FOB)」って呼ばれたんだけども、ボートから降りたばっかりの移民たちは親から「政治の話はするな」っていう生きるための知恵を授かっているし、お母さんもお父さんも話さないわけよね。


あと当時、もうひとつあったのは、一歩踏み込んで憲法の中で男女は完全に同権であるという、たとえば兵役も含めて同権であるとする男女均等の憲法修正案っていうのがあるわけよ。


たしか「ERA(Equal Rights Amendment)」。「Amendment」っていうのは「憲法修正」ですよね。「Second Amendment」は「銃を持っていい」っていうやつで。「First Amendment」は「表現の自由」。みたいなのがいろいろあるわけ。ええとね、「Fifth Amendment」は「I plead the fifth.」っていって黙秘権。


それで、そんな中で結局男女のイコール・ライツのアメンドメント、ERAをやれ!って。僕がアメリカに行った76年。建国200年で大騒ぎしていたわけ。で、全然加われないわけですよ。それで東アジア系の移民によくありがちな、政治を避けてひたすら「Math and Science」だったんですね。


とにかくあの分子であるとか原子であるとか原子核であるとか。数学、代数幾何学あるいは線形代数みたいなことを人よりも……もうアメリカの平均的なアメリカ人よりもオリンピアン、オリンピック級にやっておけばいい大学に入れるって、そういうストラテジーをほとんどのアジア系移民の子たちは選んでいたんですね。


まあ、インドから移民した人ってまだ南アジアは当時、すごい少なかったんだけど。そういう人たちは主に70年代、80年代は大英帝国の植民地だったこともあって、イギリスにエリートは移民してるんですよね。それで数少ないインド人やパキスタン系の人はもしかしたら非常に政治的な背景があったからアメリカに行ってディベートの達人になった人も同世代でいたかもしれないんだけど。


僕がいたところは、アジア系が学校の中に2人しかいない状態だったんで。全部白人と一部のほんのちょっと、お情け程度に入れた黒人たちみたいな。そういう環境の中でディベートから引きこもっちゃったわけですよ。


それで、あのまんま高校2年、3年で行ってアイビーリーグにアプライしていたらたぶんね、UCバークレーに入っていたんだよね。当時の僕の世代の人、アジア系の人はみんなUCバークレーに行っていたんで。


UCバークレーはやたら理数系が強いんだけれども、そういう社会的なディベートに一切興味のないギークな理系の人たちを「みんな、おいで!」っていう風に、移民だらけ。東アジア系移民だらけの学校になってました。巨大なマンモス大学。


そこに行っていたかもしれないわけよ。ところが日本に行って富山県にいながらハーバードへの書類審査をしたために、そこでの日本の受験をたまたましていたから古文漢文をやらされていたわけね。


で、吉田兼好の『徒然草』の概念だとか侘び寂び、銀閣寺みたいな話を自分のアプリケーションに書いたわけですよ。


たぶんそれがハーバードの裁量の範囲で思いっきりビンゴしちゃって俺はハーバードに呼ばれているわけよ。だからこのこの長ったらしい物語をしたのは、決して私がポダムではないっていう、まずその陰謀論を書いた人の浅はかさを指摘したいのがひとつ。これが前半。後半はここから、そのポダムではないモーリーがとうとうと話す真の陰謀論へと向かって行こうと思いますので、1曲はさみます。





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▷ 「Morley Robertson Show」

https://block.fm/radios/28

生配信:毎週木曜夜 21:00 - 22:30


モーリーのアンテナがキャッチする波動は、ひと味違う。あなた自身が住んでいる「不思議の国」を味わってほしい。気が付いたら、地球防衛軍に入隊していたとしても、不思議ではない。ここでは毎日が入隊記念日。いろいろな旅をする人のための時間。いっとき、モーリーの視点から世界をのぞいてみてください。




written by みやーんZZ


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