毎週木曜日夜9時、block.fmで生配信中される、国際ジャーナリストでDJのモーリー・ロバートソンさんの番組『Morley Robertson Show』。今回の番組ではカナダの大麻全面解禁について特集。90分間に渡って話したトークの第一弾は第二次大戦後日本の大麻取締法成立の背景、そして1970年代アメリカの大麻取締りの厳罰化の流れについての解説です。
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生配信:毎週木曜夜 21:00 - 22:30
モーリー:こんばんは、モーリー・ロバートソンです。とうとうその日が来ました。カナダにおいてカンナビス、リーガライズしちゃいましたよ。「自分の人生の間にこんなことが起きるなんて!」と50代になる人かですね、インタビューに答えてる映像が今朝の日テレ『スッキリ』でも流れて、私はそれをスタジオで見ていました。そして「えっ、僕は『スッキリ』の中で大麻の解説はさせてくれるの?」っていう目で周りを見ていたら、特になしみたいな。なるほど。大丈夫、その時を待て……みたいな風にがんばっております。皆さん、いかがお過ごしでしょうか?
あの今日はですね、ちょっと特別編成でこの番組の間中、皆さんとですね……「この番組の間中……」とかってもうラリってんの、モーリー? みたいに。そうだね。頭ん中でね、昔「ストーンド(Stoned)」になったのを思い出して、それをサンプラーで呼び起こす。そういう記憶能力っていうか術を持ってるんで、私はいつでもなりたい時にこう、とろーんと……いまのダジャレ、分かってほしかった。「トロント」なれる。ということで今日は最初から絶好調でございます。今日はね、皆さんから大麻に関する質問を、基礎的なことも含めてバシバシ受け付けておりますので、「#blockfm」にお寄せください。インタラクションでこの番組、ディスカッションを進めていきましょう。
まあとにかく、カナダでは嗜好目的、そして医療共に大麻、カンナビスが解禁となりました。結果ですね、徐々に徐々にカナダの州によって全然規定が少しずつ食い違っていたりするんですけども。まあいまから半年、1年後ぐらいには「ハッシュブラウニー」といって大麻の入った食べ物を売ってもよくなるし、あちこちにも普通に皆さん、カフェみたいなところで「ワーッ!」って。アムステルダム状態になっていくと思います。さあ、いまから1年の間に何百万人の日本の若者がアメリカ、北米。北アメリカに旅行するのかなあ……なんてことも考えつつ、これがじゃあ日本人にはどういう影響を及ぼすのだろう?
そんなことをいろいろ考えながら、大麻の基礎から今日はお話をしていこうと思います。まずはご機嫌な1曲で今夜のトーンを決めていきましょう。Zomboyさんの『Saints & Sinners』。ブリブリテクノ! あはーん! You can get high, if you want to!
Zomboy『Saints & Sinners (Eliminate Remix)』
ということでですね、もう音を聞いてると自分の中で1980年代……つまり30年以上前に世界最強のTHC含有量の、初めてのあのストーンド体験をした時が思い出されてですね、音に誘発されて自分1人でこう、とろーんと、してしまうんですね。それでね、いつもだったらここであまりにも気持ちいいから「ああ、もうイクーッ!」みたいに次から次へと曲が目の前に現れてきて、「次はこれをかければいいんだ」みたいに、そこでだけコミュニケーションを取ろうとしてんだけど、これをやると大麻リテラシーがとっても高いこのヴァイブス。超能力が作動してる人しかこれ、伝わらなくなるんですね。
「ああ、モーリーさんはなんか天才の表情で、いろいろチベットのモーツァルトみたいになんか作曲するかのようにDJしてる!」っていうことは映像にも映ってはると思うんですけれども、実際に大麻についての議論はリテラシーとして皆さんにSDカードでピッと入ってないと、同じ波長になかなかなれない。っていうことで今日は、「曲を繋ぎたい! イキたい!」っていう気持ちを我慢して、特に前半はきちんと大麻について話をしながら脳内ではだんだんバターがとろけていってね。ホットケーキの上で。
すごい神保町に最高のホットケーキの店があって。まあ並ぶところがあるんですけども。オーブンでね、30分。お父さんが作ってくれるまでずーっと待っていて。どんなに混んでてもこうやって座ってホットケーキ待ち。できるまでに30分、食べる20分。「あ、しまった。週プレ! すいません、ホットケーキ食べてるんで30分遅れていいですか?」って、よくやるよ、モーリー。ごめんなさい。そういう毎日なんですけれども、そういうホットケーキのトロトロのバターみたいに僕の脳がだんだんと「えへー、でへへー」ってなっちゃったら、もう喋る言葉のろれつがだんだん回らなくなって。何か「日本をとりもろす!」っていう感じになってくるのかもしれないけども。
で、要は大麻っていうのがどうしてこう……芸能人がラッパーとかですね、まあ高野政所さんもお捕まりになり、高樹沙耶さんもお捕まりになってるんですけれども。なぜ、それが社会で「害悪」とされるのか? それでシャブと同様に憎しみを持って報じられ、まるで社会的になんか「公民権剥奪!」ぐらいになる。それはどこから来たのか?っていうことなんですけども。どうもですね、戦前までは主に繊維とかの利用目的。あるいは天皇家に通じる伊勢神宮とか、そういうところに「神宮大麻」とかがあったりとか。繊維の大麻とか、麻っていうのは昔から日本のスピリチュアリティですね。神道の中でも大事な役割を果たしてきたし、まあそういうところで日本人は非常に麻は縁があるわけですよ。
で、麻と大麻はほぼ同じなんですけども、その中のインディカ種とかいろんな外来種とか、細くDNA鑑定をしていくと、それは違うんでしょうけれども。基本的に「麻酔い」がそんなに悪いことではなかった日本の近代化する前の時代というのがあったと思うんですね。鎖国中までは。で、これが欧米化が進んで近代国家ができた中で、だんだんと国家ですね。日本の国民ではなく、それまでは日本人とすら自分のことを考えていなかった。「加賀の国の人」とか「備後の国の」とかね。ビンゴ!(笑)。それとか「備前の国」とか、そういう風に藩の人たちだった農民とかお侍が、いつしか日本という国家。西洋型の国民国家が作られて、その枠がまずそこが人工的なんですよね。
で、さらにこれが無理をして西洋化とか、あるいは帝国主義の真似をして朝鮮併合したり、満州に開拓に行ってね。別に中国人には「来てくれ」っていう風には言われていないのに、侵略してるわけですよ。それで破滅的な戦争に向かって、ファシズムは失敗しました。それでアメリカのGHQもですね、占領されてる間に実は正式にあの大麻を禁止されるんですね。ここが非常に興味深いところで、「大麻取締法」。現在に至る大麻を取り締まっている、そういう芸能人が捕まった時に適用される法律なんですけれども。まあ、噂レベル。ストリートレベルだと、いまのいまだともう、パクられても1回目は書類送検? でも留置所には入るのかな? いろいろとでも、そんなに……一発目では懲役には、密売してない限りならないっていうのはストリートレベルの定説なんですけども。それにしても刑事罰の対象になるわけだから、非常に先進国の中では厳しいわけですよ。
それで、その元々っていうのが非常にキリスト教の倫理観や道徳の強かった、プロテスタント的なキリスト教観が強かったGHQというものがあったのね。だから、太平洋戦争で日本と戦ってるアメリカっていうのは民主主義を守っているだけではなくて、クリスチャン・バリューズ(キリスト教的価値観)を守っていた部分もあるわけですよ。そのアメリカ向けのプロパガンダっていうのは「我々のキリスト教的な文明と倫理と民主主義を……」っていう。その民主主義はクリスチャニティから生まれたっていうのがアメリカの大義名分なんですよ。それを抜くと先住民に対して申し訳が立たないとか、黒人奴隷に対して……ねえ。いまだに落とし前がつけれてないよね。トランプさんも反論をして反動的になっているわけで。
まあ、とにかくそういうアメリカの1945年時点に時計を戻したいんですけども。その時点で、アメリカのクリスチャン・バリューで自分たちの日本に進駐している兵士、米軍。GIがですね、 「おっ、そこに麻が生えているじゃねーか。やった! Reeferじゃねえか!」って吸ってしまうと、これはイカン。すでに第二次大戦の前からですね、『Reefer Madness』という映画……これはYouTubeで検索していただければ分かりますけども。もう1回大麻を吸っただけでそのまま窓を突き破って、2階から飛び降りて死んじゃうぞ!っていうぐらい、大麻に対して悪魔化するキャンペーンがアメリカの中であったんですね。
『Reefer Madness』
で、その悪魔化キャンペーンっていうのは元祖ポピュリズムとも言えるもので、メキシコ人の労働者が大麻を持ってきて。メキシコからアメリカの国境を超えてやってきて日雇いで働いて、タバコを買うお金がないから畑の横に自生させた安価な大麻を自分で吸っていたっていうのが、「非白人のメキシコ人がやること」みたいな、そういう差別でもって、そのレイヤーの中で「Reeferがよくないことだ」って悪魔化するキャンペーンを……だから、人種差別と重なっていたっていう、そういう側面もよく指摘されるわけですよ。
で、それのみならず、ちょうどそれよりもうちょっと前にね、中国人や日本人、日系人に向けられた「Yellow Peril」ってご存知ですか? 「黄禍論」。黄色人種が白人の社会に増えすぎると、彼らはそもそも人口が増えるの早い……まあ、それは当時では事実だったんですね。加えて、白人と結婚するかもしれない。そうすると当時の言葉だと「mongrel」っていうんですけど。「あいの子」っていう言葉をもっとちょっと「劣等人種が生まれる」みたいな。そういうのがあったのね。
ヨーロッパではナチズムが吹き荒れる直前の時代だったんですけど。まあ、ある種間違った優生学とか。この前、優生学についてはさんざんね、「杉田水脈さんのいろんな発言から優生学が導き出されるじゃないか」みたいに、『新潮45』の時にさんざん語ったわけですけども。
モーリー・ロバートソン、「生産性ない」問題と、コンプレックスのある日本人を語る
https://block.fm/news/morley_robertson_Eugenics
そういうの源流、人種差別、レイシズム、白人至上主義。「白人の人種をメキシコ人や東洋人、日本人、中国人から守れ!」っていう、そういう政治的な動き。人種を小道具にした政治っていうのは、もう20世紀の始まりぐらいからあったわけ。で、ある種その枝葉というか、その曲の選曲の乗り換え、あのテックハウスからビッグルームに乗り換えるような感じで(笑)。4つ打ちから4つ打ちに乗り換えるように、Reefer Madnessキャンペーンっていうのがあった。そして1945年に日本に、晴れて戦勝国となったアメリカが進駐をするんだけども、そのGIが既にアメリカではさんざん「大麻は吸うなよ。大麻は絶対吸うなよ!」って言われていて、若い人たちはこっそり吸いたくなるわけですよ。
ところが、そこに堂々と自生しているから「ウホッ、やった! 日本に進駐してヒャッハー!」になったわけですよ。それをGHQが早速「ダメーッ! すぐに全部切りなさい!」ってなって。当時の議会の答弁の議事録みたいなものをどっかのサイトで読んだことがあるんですけれども、「なぜ麻を我々が処分して焼却しなきゃいけないのか、わからないけど、とりあえずアメリカの本部。GHQ本部のお達しではありますので……」っていうことで、敗戦国としては唯々諾々と受け入れるしかなかったという。「はーい……」みたいに。それが大麻取締法。
それで同じ頃にですね、そのクリスチャン・バリューズがなんで生きてくるか?っていうことなんですけども。もうひとつはですね、そのセックスについて。つまり、大麻とセックスっていうのは非常に近いとこにあるわけね。快楽的である。「ああー、ぶっ飛ぶ!」って。そうすると、女性がいやらしくなって、「ああーん、抱いていいわよ」みたいに。それでキメセクなんですけども。コカインをクリトリスに塗って、それを自分の鼻につけてこうやってコショコショってやると「あはーん! 違うイキ方するわー」みたいな。それは冷たいイキ方なんですけど、こっちはあったかいイキ方みたいな。まあ、同じキメセクでもね、右と左。陰と陽。
それで「お酒を飲んだ女の人だったらセックスはできるけど、大麻を吸ったした女の人とセックスなんかできるわけないだろ!」って今日、反論ツイートが日中きまして。それで「それはあんた、やったことないからだろ?」って言うといろんな女性から「いいね」がついてましたね。まあ、ということでそういうこともあったりして、要は性的にみだらななことと大麻の酩酊や気持ちよさ、ヒャッハー!っていうのはだいたい似てるところにある。それでクリスチャン・バリューズに反するわけですよ。だから「Devil」なんですよ。「サタンがあなたがここに入ってきてしまう。そうすると、地獄にいくぞ!」みたいな、そういうのを真面目にアメリカの白人倫理観っていうか、GHQh信じていたところがあると思うのね。
それで、その中で赤線もダメだったの。GIが。それで赤線ができた背景も、ここらへん私もあんまりがっつり調べてはいないけども。要は米兵が来てすぐに、やっぱり戦争ですからレイプがあるわけですよ。敗戦国の若い日本人の村の娘さんを、屈強な男が乱暴をしたっていうニュースがしょっちゅうあったんだけど。「米兵」とか書けないから。GHQに新聞は検閲されるので。だから「大男が……」とか「屈強な男」みたいに関節表現をつかって、それを読んだ敗戦国の日本人は「ああ、また米兵に我々の娘が1人、レイプされたんだ」って納得……みたいな。で、それをあんまり暴力が起きないように、そういうその郭地区、赤線みたいなものを日本の側からわざわざ作ってあげたっていうような経緯もあるみたいなんですよね。
ところが、クリスチャン・バリューズ、GHQからすると大きなお世話で、「ダメダメダメ! 性を商品化しちゃダメだろ!」みたいに。で、もうひとつあったのは梅毒。米軍の側では梅毒の心配があったんだよね。だからいろいろあったので、とにかく禁欲的すぎた。だから大麻のようなものも「やめなさい」ということで日本に大麻取締法をやらせ、そして風営法。風営法っていうのは赤線でダンスホールでお客様が「じゃあ13番の人と踊りたいです。上に行きましょう」「9番の人……チェンジ! 10番、ああ、いいね。上に行きましょう」みたいに、そういうダンスホールという形態を取って実は郭が運営されていたので、そこを取り締まるのが「ダンス」に対する規制だったんですよね。
で、そこも面白い話で、それが結局いまだもって、まかり間違ってですね、いまの風営法の問題……クラブがね、要は深夜営業できませんっていうあの騒動。いまだに風営法っていうのはたしかあまり改善されていなくて、条例で特例を設けているのかな? 渋谷とかは。だけど、端っこにあって、その特別に指定された区画から離れた「青山蜂」っていうクラブは適用されちゃったわけですよ。だからもう全然、その2020年のインバウンドに備えていません。
で、しかもこれら、その風営法であるとか大麻取締法。要はクリスチャン・バリューズで作られた、GHQによってインストールさせられたこの法律が、GHQがいなくなった……日本は主権を回復し、そして経済成長も遂げた。その間、なぜかの琥珀の中の蚊が1億年間「ジュラシック・パーク」してるみたいに。その時に吸った恐竜の血のDNAをね、琥珀の中の蚊が持っていて。それをクローンでまた復元しようっていうのが「ジュラシック・パーク』ですけども。あの琥珀の中の1億年前の蚊ですよ。そういう状態で大麻取締法と風営法のそのスピリットっていうのが生きているんですよね。
で、どこか禁欲的でそういうフラフラみだらに、みだりにやっていることが嫌いっていう、日本人のその非常に保守的な部分……でもその日本人の保守的な部分も江戸の浮世風呂とか郭とか若衆っていう時代は全然違ってて。やっぱりどっかでクリスチャナイズしたんだよね。それが先進国で良かれと思った。だから要は日本人の本当の原風景……たとえば開国したての頃の日本人の「ええじゃないか」的な原風景はレイヴだったと。それをいろいろと、なんだろうな? 欧米の真似っこをして背伸びをして脱亜入欧しようとしてるうちに、いつしかクリスチャニティをどこか接合しちゃったんだよね。ところがそれがどうも、もともとある日本人の元の気質とうまく反りが合わなかった。
これがいちばん大きなテーマだと思うんですよ。それでもうひとつは、そのクリスチャン・バリューの延長で、アメリカで60年代に結局「ザ・ウォー・オン・ドラッグズ(The War On Drugs)」が始まるわけですよね。60年代にサマー・オブ・ラブがあって。これはベトナム戦争に対する反対なんですけども。その時、そこらへんの60年代のアメリカの激動の政治はもう皆さん、個々に調べていただくとして、そのひとつの出てきた副作用がニクソン大統領によるザ・ウォー・オン・ドラッグズだったんですね。麻薬との戦争。
それでこの麻薬との戦争っていうのはどういうことをしたかっていうと、ヒッピーたち。要はアメリカの政府に楯突いて反戦運動を展開している人たちですね。で、なんで反戦運動や市民の不服従みたいな非暴力……時には暴力化しましたけど、ほとんど非暴力だったアメリカの反戦運動っていうのがなんで起こったかっていうと、それはそうですよ。若い人たちがお金持ちのために前線に送られて行って、命に序列があって。しかも、なんのための戦争か全然分からない。最初は朝鮮戦争で韓国人と朝鮮人……まあ朝鮮人同士ですよね。まだ韓国ができる前。大韓民国とかができるきっかけだから。
要は朝鮮半島の人たちをお互いに民族で抗争させあって、こっちはソ連。こっちはアメリカみたいに北と南で支援して、最後アメリカ軍も入っていったんだけどね。そういう戦争があって。でもその頃にはまだ原爆をマッカーサーは使いたがって。でも「やっぱりやめよう」みたいな。で、これが今度はインドシナ半島に移るわけですよね。そうすると東南アジアでベトナムの戦争があって。その時に北側をソ連、ロシアが応援をしていた。そして南側はアメリカが応援をした。で南側は圧倒的に劣勢だったので結局アメリカは徴兵制を敷いて……「ドラフト(Draft)」って言うんですけども。ドラフト会議のドラフトと徴兵のドラフトはたぶん語源が同じです。
それでそのドラフトで連れて来られた『フルメタル・ジャケット』の映画にも描かれているように、もう田舎から出てきた白人の子が急にぬかるみのマラリア蚊がいるようなところで戦争をさせられて、もう「ウワーッ!」ってなっているわけですよ。それで、カラーテレビと『LIFE』っていうカラーの四色刷りの報道雑誌が大変ヒットしてた時代だったんですね。それで『LIFE』とかカラーフィルムで結局そこで行われている残虐な行為であるとか、あるいは虐殺があったんですね。ソンミ村の虐殺をはじめとして、興奮した米兵士が極限の恐怖の中で、そこに村人を全員虐殺するとかいう事件があったりとか。
あとはZippoのライターでわらぶきの村民・農民の家に、なにげにタバコを吸ってライターッて火をつけて放火している写真とかが報道で流れちゃったんですよ。で、そういうのをずっとアメリカは、その第一次・第二次大戦、そして朝鮮戦争では知ることがなく、美化されたプロパガンダしか受けていなかったのが、急にリアリズムを知るようになったこともあり、そういうマスメディアが発達することによって若者たちが「俺たちを勝手にすりつぶすじゃねえよ!」みたいな風になって、戦争反対になったの。で、その戦争反対が「肌色賛成!」っていう、ツインズ・双子がいてですね。それで「戦争反対! 肌色賛成!」っていうのはフリーセックス。そしてそのセックスを開放するのがまたキメセクなんですよ。
またここで大麻が入ってきて、大麻に付帯してマフィアが配っていたいろんなドラッグ……ヘロインとかコカインも出てくるんですけども。南米のコカインとか、あとはヘロインはケシだから黄金のデルタ地帯ですね。で、その黄金のデルタ地帯も結局、中国の政府ですよね。毛沢東との争いに負けた蒋介石がアヘンを作っていたんじゃないかな? だからいろいろあるんですよ。歴史に全部由来していて非常に興味深い。ドラッグの歴史っていうのは。
それで、その時にもうひとつ出てきたのが、大麻だけじゃなくてLSDだったという。あの……ついてきてくれてない人もいますか? 私の中ではもう当たり前のように「このリンク、このリンク、このリンク……」っていう感じなんですけども。ちょっとスローダウンした方がいいかな? で、要は60年代に若者がとにかく「大人の世界を疑え!」ということで、大人の世界のルール、いわゆる公序良俗というものを1回、全部否定して。まあヒッピー的な運動もあったし、左翼になった時代もあったし。要は反戦運動だった。そして黒人も白人と同等の権利を。そして女性も男性と同等でフェミニズム……みたいに公民権、フェミニズム、反戦。これが全部ひとつの三本の矢になって、「リベラル」っていうものができたんですね。いまのリベラルっていうものの原型がそこらへんにあると思います。
で、その若々しいもうハタチ前後の平均年齢のリベラルの人たちというか、本人たちはもう「革命だ」って言っていたんですけども。その時に、大麻もコカインもヘロインもLSDもブワーッ!ってやっていて、意識をぶっ飛ばして「もうこういうアメリカや資本主義から解脱しよう! むしろ東洋思想の方がいいんだ!」って言って、一部はラジニーシについていった人もいる。で、その時にですね、ニクソンは……いまの大きな大風呂敷はこのザ・ウォー・オン・ドラッグズ(麻薬との戦争)の前哨戦なんですよ。
つまり、ニクソンは本当はヒッピーを政治犯として捕まえたかった。ところが、それをやっちゃうと独裁の……要は共和党独裁でしかなくなるんで、ソ連と戦うために戦争をやってるのに、「あっちは独裁でこっちは民主主義」って言えないですか。建前上は。ということは、民主的な手続きで彼らを自由に逮捕できる法律がほしかった。それがアメリカ版大麻取締法であるザ・ウォー・オン・ドラッグズなんですね。そして大麻をヘロインとかそういう危険な中毒性が高い薬物。劇薬と同じレベルの「スケジュール・ワン」っていう厳しさにわざと設定をした。
つまり、大麻でいつでも別件逮捕をして、しかも厳罰。刑事罰を科すことができる。これがたぶんザ・ウォー・オン・ドラッグズの当初の発端だったんですよ。反戦運動、反体制運動を潰すために別件で、麻薬で言いがかりをつける。そして大麻が体に悪いとはたぶんニクソン自身は思っていなかったと思う。一応彼は自分の支持者に向かってはね、「そんな体を汚すような危険ドラッグはいけません!」とかって言ってたんだろうけども、共和党が本当にやりたかったのはヒッピーを、とにかく大麻を持ってるんだったら……誰でも持ってたから。中毒性も何もないし。だから大麻でだったらいつだって若者を引っ張れるわけですよ。
だからずーっと監視しつづけて、「そろそろこいつは元気になってきたから、1人見せしめに捕まえよう」っていう時に大麻で捕まえればよかった。そして大麻で捕まえてスケジュール・ワンだからもう「塀の中送りね!」っていうことで、まあ収容所に入れるようなもんですよ。中国がウイグル人を収容場に入れてるのよりはまあ少しマイルドで。中で拷問はしなかったと思うけれども。中国がやってるようにね。だけど、結局そこらへんにザ・ウォー・オン・ドラッグズという最初の矛盾が生じるわけですね。
で、これがですね、その後の大統領選とか共和党・民主党がどういう風に有権者の票を得たか?っていうことにも繋がっていく。ちょっとそれは複雑なアメリカの政治地図があるんですけども。要はザ・ウォー・オン・ドラッグズ、とにかく何度も何度も共和党の票を得る器として、フィクションだったんだけどもとにかく役に立つ小道具として何十年か続いたんですね。そして、そこには今度は80年代になってくると、福音派という、いまもトランプさんを支持している熱烈な原理主義のキリスト教徒の人たちがいて。
この人たちはバイブルに書いてあることが文字通り起きる。そしてイスラエルの首都がエルサレムに移転すると、そこからトリガーが起きてハルマゲドンが訪れて、最終戦争の先によきキリスト教徒だけが救われる。それでユダヤ人も全員キリスト教の福音派に改宗するという、すごいことを信じている人たちがいるんだけど。その人たちの政治的な結束力が強いんで、レーガンとかはそこを操って、レイシスト、福音派、反中絶……みたいな人たちをガッとひとからげにして。で、その人たちが共通で憎んでいたのが大麻で酩酊した「デヘー……」っていう非白人的なものっていうのがあったわけ。
「Christian Work Ethics(キリスト教徒の労働倫理)」。これを逸脱したヒッピーみたいな人たちがいちばん嫌い。もう白人なのに「裏切り者!」みたいな。だからそういうところに小道具として絶えずこうやって……だからCIAOちゅ~るだったんですよ。共和党のCIAOちゅ~るがザ・ウォー・オン・ドラッグズ。で、これは80年代はすごい。90年代もすごかった。だけど実際にコロンビアにたしか、軍を送ったんじゃないかな? コロンビア軍を支援してアメリカも特殊部隊を送ったと思うけど、そのメデジン・カルテルとかのコカインをいっぱい作っている人たちと戦っても戦っても結局、アメリカ人にドラッグがいっぱい蔓延したことは防げなかったんで、まあ失敗したわけですよね。
で、これをずっとやり続けると2時間半になるんで、ここらへんで一旦区切りますけども。要は「ザ・ウォー・オン・ドラッグズが失敗した」と、オバマになって認めちゃった。「あれは”Failed Policy”だった」と。オバマさんも「Choom Gang」って……大麻を吸うことを「Choom」っていうんですけども、Choom Gangっていう友達同士で高校生の時にみんなで大麻を吸ってフラフラになってバスケットボールをやるのが楽しいなっていう、それが自叙伝に書いてあるんですよね。で、それを書いてカミングアウトして、「コカインもやったけど、ヘロインはやってないよ」っていうことを言ったら、それかごく普通のアメリカ人がやってることっていうのである種の「#MeToo」ですよね。すごく共鳴を得て2008年に大統領なるわけですよね。
それでそこから二期・8年間、すごく多様性が推進されるアメリカっていうのがあって、その中でも最初は医療大麻の合法化だった、州レベルだったのが、だんだんと連邦レベルでも解禁していいんじゃないか?っていう風にオバマの時代にずーっとこの機運はあったんですよね。で、大統領選、トランプが勝ってしまいましたけれども。まあトランプが勝っちゃって「あーあ……」っていう感じなんだけど、その時にカリフォルニアで州民投票が、たしか大統領選の時に重ねていた気がします。それで州民投票っていうのはアメリカではとても大切で、州の自治っていうのは連邦法とイコールなんですね。
で、カリフォルニアという世界で何番目かのGDPを持つ、ひとつの国家に相当する州が州民投票によって、いままでに何度か否決したんですけども、医療だけではなく嗜好大麻も合法化しましょうということになったので、「うわーっ、さあ大変だ! これは行くしかねえ!」っていうことで、カリフォルニアが晴れて最近。今年かな? 合法化されたわけですよ。そうするとカリフォルニアも合法化しちゃっている。オレゴン、ワシントン州、アラス……みたいに西海岸はビーッと合法化州がいっているわけですよ。で、その国境の下にはメキシコがあるんですけど、メキシコも少量の個人所持をどんどんと合法化する方向に向かっている。
それは麻薬カルテルがいるから。で、次は麻薬カルテルと非犯罪化っていうのがどう結びついて合法化に結びつくのか?ってうい話をしなきゃいけないので、その前にあなたは本当に私の友達ですか?っていう問いかけで。『Fake Friends』 by LAXXを聞いてください。なんか俺、今日ノリノリだな。ニコ生っぽくなっている。いやーん、ニコ生はやめたつもりなのに。俺を引っ張り戻すんじゃねえ。俺はいつでも脱皮して次の段階に行きたいんだよ。みんなからの「#blockfm」での問いかけ、お問い合わせ、待ってます!
LAXX『Fake Friends』
番組情報
「Morley Robertson Show」
生配信:毎週木曜夜 21:00 - 22:30
モーリーのアンテナがキャッチする波動は、ひと味違う。あなた自身が住んでいる「不思議の国」を味わってほしい。気が付いたら、地球防衛軍に入隊していたとしても、不思議ではない。ここでは毎日が入隊記念日。いろいろな旅をする人のための時間。いっとき、モーリーの視点から世界をのぞいてみてください。
written by みやーんZZ