毎週木曜日夜9時、block.fmで生配信中される、国際ジャーナリストでDJのモーリー・ロバートソンさんの番組の『Morley Robertson Show』。今回語るテーマは「優生学」。社会ダーウィン主義、社会進化論の影響力を、「生産性がないから」発言が物議を呼ぶ今の日本と照らし合わせて語る。
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「Morley Robertson Show」
生配信:毎週木曜夜 21:00 - 22:30
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どうしようかな? 前立腺と優生学とどっちの話に行こうか? 優生学行こう。
優生学っていうのはね、「Eugenics(ユージェニックス)」って言って1910年代に結構大きくなったの。なんでかっていうと、若い人たちが第一次世界大戦で人があまりにも死にすぎて……第一次大戦って最初に機械化された大きな戦争だったのよ。だから「大戦」ってついてるのはあまりにも短期間に両側で多くの人たちが死にすぎたんですよ。で、どの国も第一次大戦を始める時にここまで人が死ぬって思っていないから、結構気楽に徴兵してどんどん素人の若者を送り込んだの。
それで銃とかが素人でも使えるようになったのと、あと鉄道ができたんで前線まで馬とかに乗って行かなくていいからすぐに若者をもう「Conscript(徴兵)」して、ちょっと適当に訓練して銃が撃てるぐらいにして、すぐに前線に送ることができたの。
で、相手もそれをやるから、ものすごい速さで人が死ぬんですよね。
両側でトレンチって呼ばれる塹壕を掘って、その中から頭を出してモグラたたきみたいに向こうを撃つんだけども、まあこれのね、みんなの死ぬ率が高いわけですよ。致死率が。それで結局、人が死にすぎた。
「なんで世界は自分で自分を文明がここまで発達しているのに、それを武器ばっかりに使って人間は殺戮をしているのだろう?」って、ヨーロッパの大惨事を経験した人たちで敗戦国のドイツ国民は結局、「共産主義かナチズムか?」っていうどっちかの左か右のラディカリズムに行ってナチズムを選んだわけだけど、イギリスとかの心ある文学者や若者たちはどこに行ったかっていうと、ユージェニックスに行ったんですね。
それでユージェニックスっていうのは「人間は遺伝によって愚かな行動を取るから、掛け合わせで理想的な人間を遺伝で作っていけばいい」っていう。
たとえば、ブランド米を作るような感じ。あるいは黒毛和牛の美味しい肉を作りましょうみたいな、品種交配によって人間を最適化させる。そうすると悪い遺伝が抜けていって、たとえば統合失調症のような病気も出なくなるし、殺人犯になる傾向も最初から抑止されるし、顔立ちも美しくなるみたいな、まあいろんな尾ひれは……これ疑似科学なのね。結局全然その後、統計学的に嘘だってわかったんだけど、1910年代、ちょうど100年前ぐらいに優生学がむっちゃ流行った。
それで、その時にもうひとつ掛け合わさったのが「ソーシャル・ダーウィニズム」って言って。「社会ダーウィン主義(社会進化論)」って言うんだけども。
ダーウィンは「遺伝だ」って、亀とか昆虫とかそれの遺伝の話をしたのに、いきなりそれを当時のお金持ちとか権力者が自分たちの正当化に引用したんですね。で、「自分たちがそもそも支配層であること、自分がたとえばイギリスだったらイギリスの中のお金持ちのアッパークラスっていうのは、そもそも遺伝的に優れてるからそういう立場に立っているんだ。それをダーウィンの学問が示しているじゃないか!」みたいに後付けし始めたの。
でもそれだけやるとイギリスのお金を持っていない人たちがどんどん格差社会で怒るから、彼らは共産主義革命に向かっていくんで、それだと困る。お前らに分け前があるんだ。
たとえば、日本ボクシング連盟の山根会長がいろんな不透明のお金を動かしていて、「それ、どうなの?」って聞かれた時に、「やっぱりみなさんにコーヒーの一杯ぐらい私もおごってあげたいわけですよ」っていう音声が流出したんですね。
結局ソーシャル・ダーウィニズムを唱えたイギリスのパワーエリートはその国民一般に対して「いや、君たちにも一杯のコーヒーが来るんだ。なぜなら、見てごらん。あなたたちは顔が白いんだよ。白人だよ。白人は非白人のインドとかアフリカ大陸、カリブ海で植民地を作ってるでしょう? そこで色が白くない人たちに文明を教えてあげている。しかもキリスト教的な道徳と倫理観でみんな働いて頑張ってるから、それはやっぱり報われるよ。それはダーウィン的にも遺伝で決まってるんだ」っていう。
それまでは、どっちかというと聖書に基づいて自分たちのマニフェスト・デスティニーっていうか、使命感とか自分たちが世界の覇者になるという植民地の正当化が哲学的にあったが、いきなりそこに疑似科学入ってくるわけよね。
そういう社会、ダーウィニズム、つまり「植民地主義はいいことで、それは白い人たちが文明を元々遺伝で、サイエンティフィックで……そして見て当時の清朝の中国人を見てごらん。彼らはアヘンを吸っている」って。まあイギリスが売りつけているんですけど。
アメリカだと白人が黒人にドラッグを売りつけて。「ほら、黒人がドラッグをやってるじゃねえか!」みたいな。銃を渡しておいて撃ち合ったら「ほら、銃を撃っているじゃねえか」みたいな。
そういう感じで「Self-fulfilling prophecy(自分を満たす予言)」。つまり、「We are the winners because we were design to be.」と言って、そして「Winner(勝者)」になった途端にルールを変えて非白人が勝てなくするっていうのが小ズルいよね。植民地主義っていうのは。それは階層社会もそうですよね。上に行った人たちには減税をして、真ん中にいる人たちに税金を課しておけば、その人たちの税金や資産が国に還元されます。「あなたの街の道路ができます」とかって言ってるくせに、実はお金持ちにばっかり流れてみんなシャンパンやってるっていう。
で、上にいる人で余裕のある人たちはユートピア思想になって、シャンパンリベラルになって、「いやー、やっぱり労働組合は作らないと……」みたいに、お金持ちのボンボンが労働組合論を唱えたり、ユートピア論を唱えたり。そんな時代なんですよ。
その時代の中に、優生学が流行ったわけね。心がある若者、その中の1人は病弱で弱視でほとんど視界がゼロに近いけど、ぼんやり見えているオルダス・ハクスリーっていう人がいたんですね。
この人はね、第一次大戦の時に療養して戦争に行けなかった。っていうか行かなくて済んだんですよ。視界が悪いから、目の病気だからっていうことで。そしたら、彼と一緒に療養していた多くの人たちがアーティスト・コミューンみたいなところで暮らしていて、そこでむっちゃ優生学が流行ったらしい。
で、優生学っていうのはつまり、人類が結局こういう風に愚かなことをするのは「Animal Impulse(動物的本能)」に人間が勝てないから戦争しちゃったんだ。だからこれからは人間を品種改良して、お互いにそういう動物的な闘争本能にかられない、理性的な美しい人間を作りましょう、みたいなことで。
そういう願いとか、その優生学運動に傾倒して、たぶん失望した部分もあると思うんですよね。それを『Brave New World(すばらしい新世界)』っていう小説で描いた。そこで描かれている世界っていうのは何百年後かの世界で、みんな地下に住んでいて。いちばん遺伝で上の階級の人たちは哲学やマネージャーをやってるんですよ。全体の機械を動かす。
段々と人間は位で分かれていて、より動物的に品種改良された人間はIQっていうか知能が最初から低くて、まあ奴隷労働に近いことをやっているけども、地下でマグマか放射性物質かなんかをマイニングしているのね。地下深くに行って。
で、彼らには万能薬の麻薬があって「ソーマ」って呼ばれているんですけど、ソーマを食べさえすれば幸せって「ああ〜!」って。だからいまのテレビなんですよ。それをあの80年、90年前にもうビジョンしていて。「ああ、テレビと優生学をこうやって組み合わせるのか!」みたいな、そういう感じね。
これは全て杉田水脈議員の発言に俺はいま、つなげようとしていることは、毎日新聞の読者なら分かってもらえると思う。毎日の中で杉田議員が発言している「LGBTには生産性がない」っていうことなんですけども、同性愛者が生産性はないんだったら、じゃあ老人はどうなの? 生産性ないだろうと。
あとは石原慎太郎さんがかつて「産めなくなった女性はもう罪深い」みたいなこと言ったらしいんですよね。それその時に「フェミババアと戦ってる石原」みたいに右の人たちが喜んだらしいんだけど、いまやなんか脳梗塞だったかな? 1回倒れて、それでろれつが回らなくなって、記憶がなくなっていくことの恐怖を石原さん語っていて。「ねえ、いまどんな気分?」みたいな。
それを突き詰める毎日の記事があって、毎日のとっても直線的な思いやりと真心のあるモラルも感じられて、心苦しくて。その文章をいたいけに「これを書いた人を傷つけちゃいけないんだ」って思いながら読みました。
要は社会にとってどれくらいユースフルで生産性があるのか?っていうことになってくる。
優生学が入ってきて、「じゃあ重度の障害を持って生まれた人たちっていうのは、やっぱり最初から生まれなかった方が良かったんだ」とか。もうそれが、たとえば胎児の状態で超音波かなにかで「ああ、これは形がおかしいな」ってなったらもうそこで「プチッ!」とかっていう風にやるべき、みたいなのが優生学なんですよね。
それで、今度はたしかデンマークでもやっていたと思うけど、北欧の福祉国家でもいわゆる知的障害者に生まれた人たちが子孫を残さないように「断種手術」っていうのをやってたんだよね。
日本でもハンセン病の人たちにやったっていうことがいまごろ告発されてるんですけども、結構それは世界中にあったの。
結構、戦後も優生学思想っていうのは残っていたんですよ。要は「スタンダードで望ましい人間」というのがあって。その人はホモセクシャルじゃなくてヘテロセクシャルであり、普通に家庭を目指して中産階級を目指す人が望ましい人だとすると、その「Median(中央値)」から離れれば離れるほど「生産性がない」とか「社会とって危険だ」と見なされて。
これをナチズムはまとめて殺害すればいいということで。LGBTの人たちはドイツでまとめて捕まえられて、特別な収容所に入れたんですよね。その時に彼がつけられたのはピンク色の三角形、ピンクトライアングル。それで、それが80年代にアメリカでゲイライツが生まれた時に、その中から結構ラディカルな人たちが「ピンク・トライアングル・ムーブメント」っていうの作って、ピンクの三角形をワッペンにして付けていましたよ。
その中に文字が印刷してあって、「Silence = Death(沈黙は死)」って書いてあって。「こいつらなんかえらい左がかってるんだけど、なんだよ。別にいいじゃん。ゲイの人と共存すれば……」って当時、思っていたんだけどね。その直後、ピンク・トライアングルが出た後にHIVが広がったんだよね。それでレーガン政権が「ざまあみろ!」みたいになって。
もともと、レーガン政権を支持しているのは福音派で、そういう人たちは「神に背く地獄に行くホモセクシャル」って思っているから、そのホモセクシャルの人たちがどんどんどんどんエイズになってくれると、そうすると福音派が「やった! 神罰だ。ざまあ見ろ!」って。その「ざまあ!」っていうセンチメントをちょっと煽るようにレーガンはHIV・エイズに関するいろんなこのリサーチに予算を拠出するのを渋ったと言われているんだよね。
それでもって、いろんなゲイライツの人たちが「レーガンは俺たちをまとめて殺害する。これはもうゲイホロコーストだ!」みたいになって。それが「Silence = Death」だったんだけど。
その頃、もうみんなパニックしちゃって。それで結局、エイズが最初は「Gay Cancer(ゲイ・キャンサー)」って呼ばれていて、ゲイの人がかかるガンだと思われていて。まあ、それは間違っているんだけど。それがどんどんどんどんいろいろと広がっていくと、どうも同性愛者ばっかりがかかっていく。「ああ、わかった。肛門でセックスしたからなんだ。それは天罰だな!」みたいになっていったわけ。フェラチオもダメ、みたいな。なんだけど結局、HIVはウィルスですから当然ゲイ・コミュニティーの外にも出るわけですよ。
それで、セックスを通じて広がった場合もあるし、麻薬の注射で注射器の回し打ちをしたとか、それ以外に輸血に入っちゃったわけ。で、ナースが病院で院内感染をして、その院内感染がどうして起きたのか、血液から行っているってわからず、それを誰かに輸血して伝染しちゃったとか。
どんどんどんどん。その頃はね、まだエイズは「Air-borne(空気感染)」になるんじゃないかって。エボラみたいにどんどんどんどん、エボラの速さで、科学が追いつかない速度でキラーウイルスが突然変異して。最後は「ゴホン」という咳やくしゃみで広がるんじゃないか、みたいなそういう恐怖感があったんですよ。
それでそこをふんだんに当時の共和党系の政治家は「とにかくこれは神が仕組んだ不道徳な者への罰なんだ!」みたいな。30年後のいまだと本当に信じられないようなことを言っているんだけども。そこにやっぱり、妙な優生学があるわけ。ウイルスのアウトブレイクがあった時に「これは神が仕組んだもので、望ましいアメリカ人はこれによって生きるけれども、望ましくない人たちがノアの洪水みたいに淘汰されて。クレンジングなんだ。これは社会を浄化してくれるウィルスなんだ」みたいに思い込む人がいて。まあ、そういう人たちの娘がエイズになったら「ざまあ!」っていう話ですよね。
まあ、そういうことだったわけよ。要は現実と向き合えず、そこに一種の疑似科学とすら言えない聖書に基づいたイデオロギーの「Superstition(迷信)」をかぶせていた。だからそういう優生学っていうのはたびたび、100年ぐらい前からここ一世紀ほどで出てきた。
たとえば反ユダヤ主義として使われたこともあったし、反黒人主義になったこともあったし、日本だと大東亜共栄圏で「日本は朝鮮人や中国人やベトナム人の上に立って、アジアの盟主なんだ。アジアを白人の支配から解放して結果、東洋人の人種……黄色人種、黄色い人たちの中で日本人はいちばん上。なぜならば天皇陛下がいて、八紘一宇だから!」みたいな、それもいまから見ると滑稽なぐらいにゴテゴテな適当な理論……だから社会ダーウィニズムの遅れて帝国主義に突っ走っていった日本版なわけですよ。
だから本当になんなの?っていうのがあるわけ。だけど、それが結局じゃあ原爆を落とされて、アメリカに敗戦して。なぜかその後、アメリカとちゃっかり軍事同盟を組んだ日本。まあ、ソ連になるよりはいいやっていう選択だったんでしょうね。それでアメリカの基地が駐留して、それで憲法9条が成り立っているっていうすごい相互依存的、共依存的な日本。
その中ですね、何が残ったかっていうと今度はハリウッドの映画がですね、多分CIAのお金が日本の芸能界に流れたっていう噂もよく聞きますので、日本の楽しい歌謡曲は親米世論を作るために結構先導としてやっていた。米国のプロパガンダ資金から出ていたっていう話もあるわけ。
で、これはプロパガンダであってフェイクニュースではなくて、誘導です。で、そういうジーンズとかロッケンロールに至る5、60年代の、まあ『ピーナッツ』の時代ですよね。アメリカがすごく輝いて見えた、ハリウッド時代。
そのころにハリウッドっていうのは、アメリカ独自の優生学的なものがあって。「Blonde is Beautiful」っていうのがあったんですよ。『Blondes Have More Fun』。これはロッド・スチュワートの歌にもなっているんだけども、金髪女の方が人生を楽しく生きている。なぜなら、モテモテだから。
で、本当にね、ブルネット。髪の毛が赤かったり黒かったりする女性はみんな金髪にコンプレックスを持ってた。たとえばヒッチコックの映画でも、ブロンドのウィッグが何通りも楽屋に置いてあったりするのね。だから主役はみんなブロンドなんですよ。『サイコ』とかも。
だけど実は女優たちは普通の色の、ブロンド以外の髪の毛もいろんなグラデーションで。それでブロンドのウィッグをつけていて。なんでか?っていうと、「銀幕」って呼ばれていて白黒映画だったでしょう? そのグレーのトーンで美しさを見せる。そうすると、カラーフィルムじゃないフィルムのストックで、ブロンドがたまたまよく見えたっていう説もあるわけよ。
ですから、そういう妙な文明が広がる過程で、ある種の誤解ですよね。
逆に、歴史的にはありえないんだけど、たとえば黒人だけがかっこよく見えるフィルムが先に開発されてたら黒人、アフリカ系の顔っていうのがビューティーのスタンダードになったかもしれないし。
逆に浮世絵が世界に広がっていたら、なんか見返り美人みたいなちょっとおたふく顔のふっくらしたやつが良かったかもしれないし。そこらへんは本当に歴史のいい加減さ、曖昧さを感じるわけですよ。恣意的っていうか。
ところが、アメリカの優生学で「ブロンドがいちばんいい」っていうちょっと優生学心理とでも言うのかな? みんなブロンドに憧れていた。それでブロンドに生まれた人たちはイヴァンカ・トランプみたいな人がいちばんきれいっていう。
まあ、たしかにイヴァンカはきれいだけどね。イヴァンカってあれ、そうなるように結婚したのかな?って俺、ちょっと思うわけよ。ちょっとパーフェクトすぎてやばくね? みたいな。
でも「全部染めてました」ってある日、急にカミングアウトされたら、それも認める。それも多様性だよ。「イヴァンカ、いままでよくがんばったね。これからは正直にブルネットで生きよう!」みたいな。まあ、それは置いておこう。
それで、日本の親父たち。いまの70歳、80歳の人たちですよね。銀幕を見て、「ギブミーチョコレート」な子供だった人が育っていく過程でね、自分たちのギラギラとした、日本の経済成長とかフェニックス日本。経済成長していく中で憧れのマリリン・モンローみたいなものなわけよ。そうすると、ブロンドの女とかボインちゃんがいちばんいいということになったわけですよね。その後にツィッギーがやってきて、今度は痩せているのがいいみたいな、もう無節操に変わっていくんだけど。
で、そういう時期に日本人がね、「自分らはアメリカには戦争で負けたけど、中国も朝鮮も仕切ってたからアジアの中ではいちばん上だ」と。しかも戦後の状態で韓国は独裁政権。それで北朝鮮。貧しいでしょう。向こうにはソ連がいて。それで中国なんて飢えていたからね。何百万と餓死者を出していたから。大躍進の政策なんかやってる頃。人民公社とか。
だからその頃には日本というのは名実ともにアジアの盟主面をできたわけですよ。見るからに彼らが「Fail(失敗)」しているから。その「Failure(失敗)」には自分たちの帝国主義の爪痕もあるんだよ。だけども、見るからにもうマナーも悪いし、水洗便所もずっと日本より後だし。行ってみるとなんか街も臭いし。物資もないし、変なも食べてし……みたいにね、すごい優越感を持っていたの。
そうすると、そこでソーシャル・ダーウィニズム、優生学的になるのは、「自分らは名誉白人なんだ」っていう。マリリン・モンローに生まれ変われるようにいま、日本人は頑張ってます。そのうち、みんなで英語覚えて「ジスイズアペン!(荒井注)」みたいな。そのさらに向こうに行ける、みたいな感じでその白人序列みたいなものが日本社会に定着したと思うのね。
同時に、東洋人に対する蔑視ですよね。反動。陰と陽です。「Yin and Yang」です。「白人が素晴らしい」って自分がなれない白人に憧れるっていうことは、同時にそのコンプレックス(劣等感)を抱くことになるから、その劣等感を中和して癒してくるのが自分が見下せる朝鮮人、韓国人、中国人、タイ人なんですよ。
つまり、「こいつらが自分より下で、アンダークラスがいるから自分は頑張れる」っていう。これこそが社会ダーウィニズムで、元々植民地時代にイギリスのアッパークラスが中産階級にアポロジーとして、申し訳として見せた世界観。
「お前ら、頑張っていれば俺たちになれるから頑張れよ。お前らには一杯のコーヒーが行くようにするよ」っていう、あのボクシング連盟の会長さんですよ。
そういうことを信じちゃったわけだ、多くの日本の親父さんたちが。それでね、なんか白人崇拝みたいな形で。今度はその後でね、ハーフ・外タレブームが来るんだよね。飛んで3、40年後。最近はちょっと少ないですけど、数年前はなんでもハーフじゃなかった? ピーチジョンのカタログとか。むっちゃハーフっぽかったよね?
そのハーフの恩恵を受けてるのが55歳の他ならぬ俺だよ。もう生まれてこの方、いい思いしかしたことがない。
あのね、在日外国人の特権を問題にするんだったらね、まずモーリー特権をまず問題してからにして。日本の中にいて在日コリアンが不当に生活保護を受けているとかっていうのは、あれは陰謀論だと思う。むしろ、顔つきが日米ハーフだっていうだけで、なんでこんなに俺はいい思いするんだ?っていう。
で、一方では排除されるんですよ。ちょっとでもアメリカ人らしきことを日本の学校でやるとダメだ。英語の時間は英語がしゃべれても、何でもいいから全部ちゃんと「This is a pen. I'm Mike.」ってやれ! みたいな。何百時間の自分の時間、返せですよ。
それはいいのよ。ちゃんと受験もした。日本人らしく普通に東大に通った。ハーバードにも通った。「ああ、あなたは超人だったんだ」みたいに。「カーゴ・カルト(Cargo Cult)」。カーゴ・カルトっていうのは島の上を飛行機が通った時に、なんかたまたま荷物が落ちてきたのね。そしたら「これは神がもたらしたことだ!」っていう風に、それをもとに宗教が作られたことがあって。「カーゴ・プレーン(荷物運搬用飛行機)から何か、将来自分らの全ての万能薬が降りてくる。そこから超人が降りてくる。パイロットが神なんだ!」みたいな、そういう宗教って実際に太平洋の南の方のちっちゃい島にあったりするんですね。それでそれをカーゴ・カルトって呼ばれるんですけども。
まさにね、カーゴ・カルトの私はあれですよ。卵から生まれたエッグマン。エッグマンっていうのはたしかイースター島で卵から生まれた人がみんなを救いに来てくれるから、それを待ちましょうってみんな、自分の畑を潰したの。「そういう状態で待たないといけない」っていう神託があったんだろうな。
で、結局みんな餓えて死にました、みたいな。エッグマンは来なかった。でもモーリーさんは東大とハーバードに入って、ハーフじゃないですか。そうすると、日本を救うエッグマンなんですよ。そういう優生学的に考える人たちの中では。
それで思ったのは、こういう「LGBTは優遇されすぎ」から始まって「それはなぜかって言うと」っていう詭弁ですよね。全く論理としてはズタズタなんですよ。だけどそこで「生産性がないから。社会にコントリビュート(貢献)していない。それは子供を産んでいないからだ」っていうことになると、「女性で子供を産んでない人は生産性がない」というところに横滑りしますし、同性愛やセクシャリティーの問題だけじゃなくなる。
あとはね、自民党の議員で「LGBTって趣味みたいなもんだから……」ってAbemaTVで言った人がいて。「ああ、趣味だったんですか? では、あなたのご趣味は?」みたいに。なんかその人をHypnosisっていうか催眠術にパッとかけて、自分のいままで見てきたヤバいポルノとかを全部、履歴とかを出してもらって。「はい、これです」とかって。それでみんなが「うわっ! おぞましい!」って思って。そえで催眠術を解いてみんなが引いてるから、「えっ、どうかしたの?」みたいな。
その人にとってその失われた5分の間に人生が変わりました、みたいな。そういうイタズラなんかを俺も考えちゃうんだけどね。それでね、要はちょっと恐ろしいことを考えたのはスティーブン・バノンなんですよ。バノンがとっても、この優生学とはちょっと違うんだけれども、弱肉強食の美しい世界観というものを描いていて。それがですね、トランプの言ってることにすごく影響を与えているっていう、そういう気配がしているんですね。ということで、俺はいったい何十分しゃべっているんだ?っていうことで、1曲聞いてもらおうかな。
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▷ 「Morley Robertson Show」
https://block.fm/radios/28
生配信:毎週木曜夜 21:00 - 22:30
モーリーのアンテナがキャッチする波動は、ひと味違う。あなた自身が住んでいる「不思議の国」を味わってほしい。気が付いたら、地球防衛軍に入隊していたとしても、不思議ではない。ここでは毎日が入隊記念日。いろいろな旅をする人のための時間。いっとき、モーリーの視点から世界をのぞいてみてください。
written by みやーんZZ