コロナウイルスの影響でロックダウンが続く中、クラブやライブイベントは営業の自粛を余儀なくされている。
そんな中、ある統計では、3月に入ってネットにアップされたストリーミングが大幅に増加したそうだ。このような状況下に置かれてなお世界中のDJがライブストリーミングを通じて、日夜パーティを届けているのだ。
そんな時流を受け、DJミックスの配信プラットフォームであるMixcloud(ミックスクラウド)は新しいライブストリーミング用のプラットフォームMixcloud Liveを発表した。この記事ではMixcloud Liveの紹介に加え、これからDJストリーミングを初めてみたい方向けにクオリティ高く配信するためのアイディアをまとめてみた。
このリリースの革命的な点は、Mixcloudとレーベルが契約を結んでいる点だろう。MixcloudはDJに代わってユニバーサルミュージックやワーナーミュージックグループとライセンス契約を結んでおり、配信するDJに代わって楽曲の使用料を払っている。またチャネル登録者への課金などによりプレイした楽曲のクリエイターと、配信者であるDJの双方がマネタイズできる。
※2020年5月12日編集部追記:
公開当初、記事内で「Mixcloudとレーベルがライセンス契約を結んでいるため、著作権がクリアになる」と表記していましたが、Mixcloudがライセンス契約を結んでいない楽曲使用に関しては著作権者がDJ使用を承諾したとは言い切れないというご指摘をいただき、該当部分を削除させていただきました。訂正してお詫びいたします。
DJライブ配信での著作権に関しては、以下のnoteが詳しいため、参照ください。
▶https://note.com/eisukemizuguchi/n/n932136d2c9e4
この新しいライブ配信機能を利用するにはMixcloud Proの課金が必要で、現在は90日間の無料トライアルがついている。トライアル後は月額$15で利用可能だ。
Mixcloud Liveは他の一般的な配信プラットフォームと同じくストリームキーが発行される仕組みなので、ライブ配信ソフトのOpen Broadcast Software(OBS)やWirecastを使った配信ができる。
現在はベータ版ということで、バグやエラーが発生する可能性があるとのこと。今後のアップデートのためにも、まずは試してみたいところだ。
たくさんのDJの中から視聴者を獲得するために、ライブ配信のクオリティへも配慮してみよう。
初めてのライブ配信では、おそらくiPhoneやスマートフォンのフロントカメラを利用する自撮りの様なスタイルでもいいだろう。ただ、このやり方では画質や音質があまり良くないので、継続して視聴者を獲得するために少し工夫をしてみよう。
スマートフォンからであればRolandから発売されているGO:LIVECAST(ゴーライブキャスト)を利用して、手軽に本格的なストリーミングができる。マイク入力やライン入力も備えているので、マイクで話しながらオーディオを入力するというDJ配信にはぴったりの入力を備え、別のスマートフォンをサブカメラにして切り替えられる機能もついている。オーディオのインプットと2カメ配信が手軽に実現できるので、初心者にとって強力な機材になるだろう。
iOSとAndroid両対応、動作確認済み機種はこちらで。
上述のGO:LIVECASTは手軽ながらもかなり本格的な配信ができるが、選べるハードウェアやソフトには制約がある。
PCを母艦にして配信する場合は、配信ソフトや高品質なオーディオインターフェースの利用、カメラ、映像挿入などハード・ソフトの両面でPCに軍配があがる。DJ配信でクオリティを追求するのであれば、PCでのセットアップにチャレンジしよう。
ちなみにPC DJの場合はDJ用のPCと配信用のPCを分けて2台のPCを使う方法もあるが、1台のパソコンしかない場合、PCDJ用のソフトVIRTUAL DJ(ヴァーチャルDJ)であればDJプレイに使っているPCでそのままライブ配信することもできる。VIRTUAL DJは映像ミックスの機能も搭載しているので、PCのスペックに問題がなければ現実的な選択になるかも知れない。
PCを使う場合でも、PCの内蔵カメラや低価格のWEBカムよりもスマートフォンのメインカメラを利用した方が画質の面で強力な配信になるだろう。OBS cam(オービーエスカム)やEpocCam(エポックカム)、iVCam(アイヴイカム)というアプリを利用すれば低予算でスマートフォンをWebカメラ化してPCで制御することができる。各OSや配信環境との互換性については、ネットで確認できるので気になる人は調べてみて欲しい。
設定や機材などはスマホ配信に比べレベルが上がる分多少難易度も上がるものの、OBSなどは広く普及しているソフトで、解説動画なども多く上がっており、無理ゲーというほどのレベルではない。OBSはこちらで無料でダウンロードできるので、まずはこれから試してみよう。
こちらはYouTube Liveでの例だが、OBSでDJ配信する際の動画も公開されていたので参考にしてほしい。
また、DJプレイの映像に枠などの映像素材を重ね合わせたりGIF(ループする映像)を挿入するテクニックは簡単な割にインパクトもありプロっぽい印象にみえるだろう。Fiverr(ファイバー)などのサイトで、配信用の素材屋さんを見つけてみよう。アニメーションロゴでも単体であれば数十ドル(数千円)からで意外とリーズナブルだ。自分のDJネームのアニメーションロゴや動く文字のメッセージ、自分の世界観に合った素材を揃えることができれば注目は高まるだろう。映像のエフェクトや素材は、VideoHive(ビデオハイヴ)などのサイトに課金すれば手に入りやすい。自分の世界観をアピールする素材を集めてオーディエンスを盛り上げよう。
Fiverr:https://www.fiverr.com/
videohive:https://videohive.net/
現在、在宅で音楽へのニーズが上がっているので、DJとしてライブ配信を開始するには最適なチャンスだ。とはいえライバルが増える時期でもあるので、機材や映像の一工夫で効率よく伸ばしていこう。
written by Yui Tamura
source:
https://help.mixcloud.com/hc/en-us/articles/360013059079
photo:
https://blog.mixcloud.com/2020/04/20/mixcloud-launches-live-streaming/