物を持たない生活を送る人のことを指す”ミニマリスト”は、2010年頃に海外から始まったものである。徐々に日本でも浸透しつつある新しいライフスタイルであり、憧れのライフスタイルとしても注目されているが、どのようなメリットがあるのだろうか。
ミニマリストとは、「最小の」あるいは「極小の」を意味する英単語、minimal(ミニマル)からなる造語である。その名が表している通り、物を最小限まで減らして生活を送るというライフスタイルで、個人において必要な物、本当に必要な物だけを持つ暮らしは、不便ではなく豊かだ、とする概念とも言える。
大量生産と大量消費を繰り返してきた時代に対する反動か、たくさんの物を所有しても満たされない虚しさや、溢れる情報に翻弄されることに疲れた人達が始めた、新しいスタイリッシュな生活法として支持をする人も多い。本当に必要最小限まで物を減らすため、服は着まわせる程度の2、3着、ひとり暮らしなら食器は1人分、つまりお皿であれば大皿・小皿各1枚、お箸やスプーン、フォークなども1つだけ、という徹底ぶりだ。テレビを持たない、という人も多く、家族で暮らしている人でもテレビをリビングに置くのをやめたけれど、差し障りは無いと言う。
BGM代わりにテレビを付けっ放しにしていると、無意識に要らぬ情報が目や耳に入ることもあり、それが情報の過多に繋がることもあるのはよくある話で、単純に家族の会話が増える、というメリットだけでは測れないかもしれない。そして現代はスマホやPCが一家に一台はある時代なので、欲しい情報は自分から探して、テレビの代わりになるものがあれば十分、ということでもあるのだろう。
ひとり暮らしと家族暮らしで、そのライフスタイルの中身に違いはあるが、共通しているメリットは節約ができることで、ミニマリストは新しい物を絶対に買わないという訳ではないが、かなりの吟味をして(それはこだわりとも言えようか。)買い物をするため、余計な出費は無い。また、シンプルな考えとして狭い部屋には物を置けない、ということから部屋を以前より狭い部屋に引っ越すことで、結果、家賃のダウンに成功した人もいる。そして一度物を手放した生活を続けると、物の無い快適さに気付き、ミニマリストとしてのライフスタイルを続行することに豊かさを感じると言う。
また、もうひとつ共通しているのは、ベッドを置かないことである。ベッドは置くだけで結構なスペースを取るが、布団を敷いて寝ることをチョイスすれば、敷いた布団をしまうだけで部屋をスッキリさせることができる。毎日の布団の上げ下ろしはキツイものがあるが、片付けるだけで体力や筋力も付くお得な方法でもある。なお、子どもや女性など、冷えに対して弱い人や腰痛持ちの人は無理は禁物、体を壊さない程度を見極めることも必要だ。
ミニマリストにも、明らかに不要だがどうしても捨てられない物もある。それは思い入れのある物や記念品、子どもの作品などで、そのようなジャンルの物は一旦段ボールなどで保管すると良い。そして後日、箱のフタを開いて再び考え、捨てるか捨てないかの選択をする。また、写真に撮って保存する、という方法もあるので、データとして残せば思い出は消えないで済むだろう。
そして、調理器具などは外食が中心の人には必要無いが、外出ができない時や来客の時などのために、電気ケトルがあれば何かと重宝するという声も多い。ミニマリストと言ってもこれを捨ててこれを置いておく、という完全な物は無い。譲れない物を捨てる必要も無く、個人に必要な物は個人にしか分からないので、その点はしっかりとした取捨選択をお勧めする。
なお、断捨離とミニマリストは同じように捉えられることがあるが、断捨離は「捨てる」ことに重きを置くもので、ミニマリストはライフスタイルそのもである。確かにミニマリストも初めは物を捨てていくが、物が無い暮らしを満喫するのがミニマリストだ。中には、物の貸し借りを加えてミニマリストのライフスタイルを楽しんでいる人もいるが、物が無い幸せを感じられるのも、ミニマリストのメリットなのである。
written by 編集部
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