今月3日にアメリカのケーブルテレビ局HBOで放送されたドキュメンタリー映画『Leaving Neverland』で再燃している、故マイケル・ジャクソン(Michael Jackson)による性的虐待疑惑。これを受けて、カナダ、イギリスそしてニュージーランドの大手ラジオ局がマイケル・ジャクソンの楽曲を放送停止することを決定した。ニュージーランドのラジオ局は「ラジオの選曲はリスナーが何を好み、聴きたいかを考慮して判断される」とコメントしている。
ダン・リード(Dan Reed)監督によるこのドキュメンタリーは2つのエピソードに渡り、合計4時間にもわたるもの。また、アメリカの有名司会者オプラ・ウィンフリー(Oprah Winfrey)はドキュメンタリー放送後に、被害者とされている2人の男性、ウェイド・ロブソン(Wade Robson)とジェイムズ・セーフチャック(James Safechuck)に対して1時間のインタビューを行なった。インタビュー中ウェイド・ロブソンは「マイケル・ジャクソンが私に対してした性的行為が、虐待であると自覚していなかった」と語る。
アメリカだけでなく世界中で物議を醸しているこのドキュメンタリーとインタビューにはマイケル・ジャクソン側の出演者はおらず、いわば一方的な証言だ。果たして世界中で愛されてきたキング・オブ・ポップの楽曲を削除すべきなのかどうか。音楽業界で判断が求められている。
アメリカの人気アニメ『ザ・シンプソンズ(The Simpsons)』にはスポーツ選手や有名セレブが数多く出演しているが、マイケル・ジャクソンもその1人である。今回の騒動を受けて『ザ・シンプソンズ』の製作陣は、声優として出演した1991年に放送のエピソードを回収することを発表。今後の再放送やストリーミング放送、DVDからも削除する方針だ。
マイケル・ジャクソンの疑惑が晴れない限り『ザ・シンプソンズ』にならってテレビ業界でもミュート運動が進むことになるかもしれない。
日本でも取りざたされているR・ケリー(R Kelly)のようにマイケル・ジャクソンの楽曲はこのまま世界から消えてしまうのだろうか。イギリスのマンチェスターに建てられていたマイケル・ジャクソンの像も撤去されるなど、特にヨーロッパにおいてミュート運動が盛んになってきている。
今のところストリーミング・サービスやアメリカ国内では楽曲の制限は行われていないが、このまま議論が活発化すれば「#MuteMichaelJackson」も起こりうるのが現状だ。
しかし上記したように、今回の一連の報道は全て被害者側からの意見である。マイケル・ジャクソン遺産管理団体は現在、HBOが「プライバシーを公表しない」という契約に違反したとして起訴。マイケル・ジャクソンの兄と甥はドキュメンタリーに出演した2人に対して「金と名声が目的だ」と反論。そして娘のパリス・ジャクソン(Paris Jackson)はTwitterで落ち着いた判断をするように呼びかけている。
性的虐待容疑のかかったアーティストの楽曲を放送することが違法なわけでもなく、もちろん自主規制の範疇ではあるが、各メディアが世論に影響されることもあるだろう。このニュースを知った人がキング・オブ・ポップの楽曲をどう携えるのか。判断はそれぞれに委ねられる。
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written by BsideNews
source:
https://hypebeast.com/2019/3/michael-jackson-music-removed-pulled-radio-stations-new-zealand-canada-leaving-neverland
https://www.nme.com/news/music/bbc-radio-2-isnt-playing-michael-jackson-songs-2456460
https://edition.cnn.com/2019/03/05/entertainment/michael-jackson-radio-intl/index.html
https://edition.cnn.com/2019/03/08/entertainment/simpsons-michael-jackson/index.html