Native InstrumentsがMASCHINEのスタンドアロンハードウェアMASCHINE+をアナウンス!

歴史的転換点になるか、初の完全なスタンドアロン・ビートマシン。
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2020.09.10 01:30

長年パソコン用ソフトウェアありきだったNative Instruments社のMASCHINEがMASCHINE+という名称でハードウェア化された。これまでビートメイクシーンに幾度となく大きなインパクトを与えてきた同社の、初の完全なビート制作用のスタンドアロン製品でもある。


一時期は多くのメーカーが開発に力を入れていたビートマシンだが、DAWソフトウェアが音楽制作の主流となった現在、スタンドアロンのビート制作機材といえばAKAIのMPCか、Lo-fi系に人気のRoland SP-404が主な選択肢となっていたので、Native Instrumentsの参入はハードウェア派のビートメイカーにとって大きなニュースとなりそうだ。



強力なMASCHINEワークフローをハードウェア化


MASCHINEの一番の特徴は、いわゆるMPCタイプのビートマシンのストレスなくビート制作に専念できるというDNAを受け継ぎながら、高度なDAW機能もカバーできる洗練されたワークフローだ。


セッション全体の視認性を高めるハードウェアのLEDライトや、膨大なプリセットをストレスなく探索できるブラウザー、マウスいらずで細かく作業のできるMIDIシーケンサーなど、単体ハードウェアとしてもこのワークフローは強力に機能しそう。


MassiveやFM8などのシンセも


Native Instruments製ハードウェア製品の強みは、プロも愛用する強力なシンセを同梱できること。


FM8、Massive、Monark、Prism、さらにReaktorとKontaktのFACTORY SELECTIONなど、ソフトシンセ界のメジャー級スター選手を同梱できてしまう。幼稚園で例えるなら、園児の中に一人だけNintendo SwitchとiPhone、Apple watchの持ち込みを許可されている子供がいるようなものだ。園児たちはずるいずるいと泣くだろうし、親御さんもクレームの一つも言いたくなるだろう。


内部構造はLinuxベースのWIFI搭載コンピューター


見た目はMASCHINE MK3のように見えるが、内部には4GBのRAMと32GBのストレージ、またCPUとしてIntel Atomクアッドコアプロセッサを搭載している。LinuxベースのOS上で稼働するということで、実質小さめのMASCHINE用ターンキーコンピューターのようだ。


また、外装は持ち運びを前提とした丈夫なアルミシャーシとなっている。

さらにWIFIにも対応しているので、コンピューターなしでネットにアクセスでき、既存のアカウントで利用できるコンテンツやアップデートなどもできる・・ということは将来的にNative Instrumentsの拡張音源の購入・入手や、現在クリエイターの必須ツールとなっているSlice、さらにはSpotifyなどオンライン上の楽曲にアクセスできるようになったりするのでは・・と勝手な夢も膨らむ。





オールインワンながら外部拡張も視野に入れた設計


オーディオインターフェースやMIDI I/Oなども搭載しており、サンプリングや録音などから、外部機器との連携までこなせるオールインワンハードウェアとなっている。オールインワンの場合、たとえばオーディオインターフェース部のインプットやアウトプットの拡張ができないのではと心配になるが、2つのUSBポートでMIDIキーボードやオーディオインターフェースの拡張ができるという。


海外メディアではリリース時にNative Instruments製のオーディオインターフェースのみがサポートされ、将来的にサードパーティ製のIOの要望があれば対応となる可能性もあると報じられている。



以前から個人的にパソコンからハードウェアへの回帰の流れの究極系が、DAWのハードウェア化だと考えており、この小さなパソコンのような構造のMASCHINE+はDAWの今後を占う試金石となるのではと感じている。


例えばAbleton LiveやCubsseがマウスやキーボード、不要なソフトがプリインストールされたパソコンから解放され、いつでも安定動作して更に持ち運べる一つの筐体となったら・・DAWソフトの永遠の課題であるパソコン購入やインストール、OSやほかのソフトとの相性問題なども回避できるのではないだろうか。

スマホやタブレット端末の進化でパソコン離れの進む現代において、DAWソフトウェアの次のステージが見えつつあるような気がする。


MASCHINE+は2020年10月1日発売で価格は¥149,800 (税込)とのこと。同社ウェブサイトや各販売店にて予約の受付も開始している。


written by Yui Tamura


source:

https://www.native-instruments.com/jp/products/maschine/production-systems/maschine-plus/

https://www.musicradar.com/news/first-look-ni-announces-maschine-a-standalone-groovebox-with-wifi-massive-and-ableton-link

photo:

https://www.native-instruments.com/jp/products/maschine/production-systems/maschine-plus/





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