Mall BoyzのTohjiとgummyboyが手がけた「Empire 2000」とは?

Tohjiとgummyboyの所属するMall Boyzの魅力とは?
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2020.03.30 00:00

Tohjiとgummyboyの所属するMall Boyzの魅力とは?


Mall Boyz(モールボーイズ)はTohjiやgummyboyというラッパーがメンバーとして活動するユニットである。新しいムーブメントを生み出している。自由気ままな音楽かと思えばエモーショナルな世界観を見せたり、「Empire 2000」ではパラパラを新しい解釈で生まれ変わらせる面白い試みを行うなど活動は多岐に渡る。Mall Boyzの魅力に迫る。



Mall Boyzとは?


Mall Boyzは、ラッパーのTohji、ラッパーのgummyboy、プロデューサーのstei、ジャケットなどを手がけるアートディレクターのSahashiの4人のユニットである。Mall Boyzが結成された経緯は、Tohjiが活動の拠点としていた仲間とのシェアハウスでgummyboyと出会ったことがきっかけだ。当時、Tohjiは複数の友人と「ヤサ」と呼んでいたシェアハウスで共同生活をして、そこで音楽制作なども行なっていた。そこにgummyboyが遊びに来たことで2人が出会うこととなった。


gummyboyはTohjiの第一印象を「目があっただけで刺されるかと思った」と語っていることから、最初はとても怖いと感じていたようだ。しかし話し始めると、すぐに意気投合しお互いに同レベルで話し合える人物だという認識を持った。初めて会ったその日は、好きな音楽について6時間近くも語り合ったそうだ。Tohjiがsteiと知り合ったのは音楽ツールのSoundCloudである。このSoundCloudでは簡単に曲をアップロードとダウンロードでき、アーティスト同士でダイレクトメールで連絡を取り合うこともできるので、ここでTohjiとsteiの交流が始まった。SahashiはTohjiの昔からの友人で、Mall BoyzのファーストEPとなる『Mall Tape』のジャケットや、gummyboyの『Ultimate Nerd Gang』のジャケットを制作した。


Mall Boyzは、渋谷WWWで開催したTohjiが主催する自主企画イベントの『Platina Ade』に参加するなど意欲的に活動をしています。このイベントではTohjiの限定Tシャツの販売も行われた。レイヴパーティーである『FREE RAVE』にパラパラの新解釈を試みた「Empire 2000」を発表するなど新しい挑戦も行なっている。



メンバーのTohjiとgummyboyの人物像とは?


Mall Boyzの中心的メンバーであるTohjiは、1996年にロンドンで生まれ3歳の頃に帰国した。横浜、東京で育ち高偏差値で有名校の麻布高等学校に入学した。その後、音楽活動を本格的に開始したTohjiは、武蔵野美術大学に通っている。自分の地元(フッド)をリスペクトし拠点とするラッパーが多い中でフッドを持たないラッパーとして特異な存在である。海外生まれで地元という概念が薄いということもあるが、垣根を持たない自由度がTohjiの音楽にも反映されている。TohjiはAbemaTVにて配信されたオーディション番組である「ラップスタア誕生!」に出場し世間の注目を集めた。


Tohjiはライブでのし上がるスタイルではなく、ネットに楽曲を発表することで知名度を集めてきた。このスタイルも今までとは違い、新しいルートでの成功を手中にした。SoundCloudに楽曲をアップしたところ海外のトラックメーカーの目に止まり、海外のクリエイターへの楽曲の提供をするなど活躍の場を広げている。gummyboyは本名である「あきら」という名義でも活躍をしていたが、Tohjiとの出会いをきっかけに本格的にラッパーとして活動を始めたのである。Tohjiとは大学も一緒で、音楽をすすめられたという存在でもあり波長もバッチリと合うようだ。Tohjiと知り合う前のgummyboyはEminem(エミネム)をよく聞き、その後Wu-Tang Clan(ウータン・クラン)やG-Funkなどにもハマっていく。ゲームとアニメが好きでアニメ作品もgummyboyのリリックに強く影響が出ている。


gummyboyは自分の経験からリリックを生み出す傾向があるため、遊びなどの刺激も創作活動の一環となっている。そのためアニメを見たりゲームを楽しんだりという行動も、音楽を作り出すことに直結する部分を持っている。



新境地の「Empire 2000」と代表作の『Mall Tape』


Mall Boyzは、エントランスフリーのレイヴパーティーとして開催された『FREE RAVE』に「Empire 2000」のショットライブでゲスト出演した。「Empire 2000」はMall Boyzによるパラパラの新しい解釈が全面に押し出された楽曲だ。「Empire 2000」はCreative Center OSAKAで行われた『THE STAR FESTIVAL』というライブイベントでも披露され話題を呼んだ。「Empire 2000」では一度パラパラと言うジャンルや概念を崩し、Mall Boyz独自の解釈で再構築を図ったような印象を受ける楽曲だ。Tohjiはエモーショナルな世界観を感じさせるラップだけではなく、この「Empire 2000」でパラパラといったポップなダンスミュージックもあっさりと乗りこなして見せ、Tohji自身の才能の幅の広さを感じさせる1曲となった。


Mall Boyzの発表した『Mall Tape』は、地元に縛られないメンバーの共通の思い出であるショッピングモールにコンセプトを得た作品だ。ショッピングモールに向かう車中で聞くような曲だとgummyboyが語っている。『Mall Tape』ではショッピングモールのコンセプトを強く感じさせる「mallin’」が収録されている。mallin’はショッピングモールの楽しい感じやワクワクした気持ちなどを詰め込んだ1曲に仕上がっている。これに対して「fuck it up」という楽曲は、Tohjiが短時間で書き上げた曲で、それに乗せる歌詞も途中までしか完成していなかった。そのため未完成だった後半の歌詞は現場でフリースタイルで収録したという。その場のノリによってライブ感や疾走感が表現され、いい意味で荒削りな部分も感じ取れる曲になっている。


今後のMall Boyzもラチュラルな活動を目指すと公言しているが、そこから生まれるカルチャーにTohjiは期待を寄せている。すぐに飽きられてしまうようなブームではなくカルチャーとしての定着が彼らのひとつのゴールである。




written by 編集部


photo: https://www.youtube.com/watch?v=SI5g0DwMW54


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