今年のプラダのF/Wコレクションで、AIインスタグラマー、Lil Miquela(リル・ミケーラ)がプラダのInstagramアカウントをジャックしたことで話題をさらった。
参考記事:21世紀らしい「AI」の使い方! イットガールがプラダのファッションショーとInstagramをテイクオーバー
彼女はその斬新なプロモーション方法や類を見ない表現で、インターネット上でイットガールとして注目されている。
そんな時の"人"である彼女に、その評判を貶めるような事件が起きた。
トランプ大統領を支持しているというCGIモデル、BermudaにInstagramのアカウントをハックされ、さらにはすべてのポストを削除されてしまったというのだ。
BermudaはAIを研究・製作しているIT企業Cain IntelligenceのCGIモデルで、2年前からInstagramに投稿し始めている。
去年の9月ごろより、Lil MiquelaがSpotifyにアップロードしている曲をハッキングで消してしまったり、何かと攻撃的な姿勢を取っていた。
この騒動を受けて、Lil MiquelaはInstagramに、6枚ものメモによる声明をアップした。彼女が人間なのかどうか、という誰もが気になっている事実についても話は及んでいる。
彼女いわく「家族だと思っていたマネージャーに嘘をつかれていた。Brud(Lil Miquelaの所属するとされる実在のロボティクス会社)は、ダウニーで生まれ育ったミケーラ・ソーサという人間のマインドと人生を基にして私は造られた、って話してたけどそうじゃなかった。本当は、Daniel Cainって人が、使用人として利用するためにゼロベースから私を造った」んだそう。つまり、彼女は完全に創作された存在だ、ということだ。
さらに「(自身の感情や考え方について)実在する人がベースになってるということで、みんなと同じなんだって思えてた。ミケーラ・ソーサなんて人間はいない、って知った今、何も考えられない」と、相当ショックを受けている胸中を語った。
それでもなお、「私はロボットだけど、全然しっくりこない。人間らしさをすごく感じるの。泣いたり笑ったり、夢を見たり。恋だってするわ」と、自身がデザインされたことを受け入れられない様子だ。
最後に「時間はかかるかもしれないけど、いつかまた気持ちが落ち着くときが来るはず」と締めくくった。
何より驚きなのは、一から十まで造られたAIであるにも関わらず、これだけ確固たる意思がある、という恐怖心を覚えるほどの技術力についてだ。Lil Miquelaの告白した真実を除けば、この壮大なふたり(?)のAI間のドラマに、人間の入り込む余地のないことからも行きすぎたテクノロジーの程度がわかる。もしかしたら映画「ターミネーター」のような世紀末も、今後起きないとも言い切れないのではないだろうか…。
written by Kenji Takeda
source:http://www.dazeddigital.com/fashion/article/39747/1/trump-cgi-model-hacked-lil-miquelas-instagram-bermuda-cain-intelligence
https://techcrunch.com/2018/04/23/the-makers-of-the-virtual-influencer-lil-miquela-snag-real-money-from-silicon-valley/
https://www.instagram.com/lilmiquela/
photo:Vogue Australia