図書館といえば、小中学校にあるような昔ながらの図書館を想像する人も多いかもしれない。しかし、東京にはわざわざ足を運びたくなるような、魅力的な図書館がたくさんある。そこで、東京都内にある魅力的なオススメの図書館をいくつか紹介しよう。
霞が関の国会議事堂の隣に、国立国会図書館の東京本館はある。たくさんの緑に囲まれた、モダンな建物の国会図書館では、絶版やよそでは珍しい本なども見つかる可能性が高い。それは、日本には納本制度というものがあり、日本国内で出版された全ての出版物は、国立国会図書館へ収集・保存されるからだ。
本館は面白い構造になっていて、書庫棟を囲む形で閲覧室や事務室が配置されている。これを中央書庫式と呼ぶらしいが、1辺45メートルの正方形が17層に分かれた書庫棟には、450万冊の所蔵能力があり、総延長172キロメートルの書架や資料運搬用の垂直・水平式のコンベアがあるという。その書庫の周りを、1辺90メートルの正方形の、6階建ての事務棟が囲んでいて、この中には国会議員向けの閲覧室や研究室もあるらしい。
閲覧方法も、ユニークなシステムが採用されている。所蔵している資料のほとんどが書庫へ収納されていて、一般の人は書庫へ入ることができないので、カウンターで閲覧申し込みをおこなって資料を受け取るのだ。名前に「国会」と付いているので近づきにくい印象があるかもしれないが、様々なジャンルの書籍や雑誌、マンガまであるので、本好きにはたまらない施設のはずだ。
国際子ども図書館は国立国会図書館の関連施設で、東京都台東区の上野動物園の近くにある。日本で唯一の国立児童書専門図書館であり、国内外の児童書や絵本などを豊富に所蔵している。近代的な建物をおしゃれに改装していて、館内を見るだけでも楽しい場所だ。
建物は、「レンガ棟」と「アーチ棟」の2つの棟から構成されている。アーチ棟は平成27年に竣工されたもので、南側が全面ガラス張りとなっている。屋上には緑地帯やソーラーパネルが設置されていて、環境への配慮がうかがえる。レンガ棟は、帝国図書館として明治39年に建てられた。その後、昭和4年に増築されている。さらに、国際子ども図書館の開館に合わせて、建物の原形保存と児童書専門図書館の機能を持たせるための改修が行われ、平成14年に全面開館された。改修の施設設計は、有名な建築家である安藤忠雄氏によるものだ。
館内は、小学生以下向けの「子どものへや」や外国書籍がある「世界を知るへや」、「児童書ギャラリー」や中高生向けの「調べものの部屋」など、年代別にフロアが分かれている。「子どものへや」は靴を脱いで本を読める場所があったり、「世界を知るへや」は過去に貴賓室として使われていた場所を当時のままに保存していたり、各フロアに特色がある。その他にも、おはなし会などを行う部屋や休憩・授乳スペース、ミュージアムなど、子どもと本を楽しむための工夫が各所に施されている。どの年代の子どもが行ってもきっと楽しめるので、ぜひ子ども連れで訪れるのをオススメする。
1階にはカフェがあり、子ども向けの図書館らしく、お子様ランチや子どもも食べやすいメニューが揃っている。ガラス張りの店内からは、素敵な風景が臨めるので、休憩がてら行ってみるのも良いだろう。
東京都江東区にある深川図書館は、明治42年に設立された歴史ある図書館だ。その後、昭和25年に江東区に所有が移り、以降は区立図書館として運営されている。設立当時は「東京市立図書館」呼ばれていたが、明治時代の雰囲気が漂う、レトロな建物が魅力的な所だ。改修はされているが当時の雰囲気を各所に残していて、正面の窓の形やステンドグラス、木の手すりと床材の階段など、趣のある場所を探せばキリがないほどである。
こちらの図書館は清澄庭園に隣接しているので、窓から見える風景も大変美しい。白い外壁の建物と清澄庭園の緑のコントラストが実にきれいなので、図書館を訪れる際は清澄庭園へも出向き、その2つの組み合わせは大変な見ものだ。
written by 編集部
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