できすぎた話かもしれない、しかしこれぞアメリカン・ドリームなのだ!!
4月上旬、アメリカのプロバスケリーグの頂点、NBAはレギュラーシーズンが終了に差し掛かり、いよいよプレーオフへとファンの期待が集まる時期に夢は叶った。
NBAに詳しくなくても聞いた事はあるであろう名門チームのLos Angeles Lakers(ロサンゼルス・レイカーズ)は今期のプレーオフ出場を逃し、さらには話題の新人、Lonzo Ball(ロンゾ・ボール)が膝の負傷で今シーズンの残り試合を欠場する事が決まり、代わりの選手を探していた。
そこで白羽の矢が立ったのがNBAの下部リーグであるGリーグでプレイしていたAndre Ingram(アンドレ・イングラム)だった!!
Ingramは1985年生まれ。大学を卒業後、キャリアの全て10年をNBAを目指す一心でGリーグでプレイしていた。マイナーリーグのベテランと言えば聞こえがいいが、プロ選手としてレイカーズからシーズン残り2試合に出場する契約書が渡されたのだった。たったの2試合で、しかも試合に出られる保証はない。しかし、意外にも早々にコートに立つ事になった!!
11日に行われたヒューストン・ロケッツ戦の第1クォーターに途中から出場すると、第2クォーターには初の3Pショットを沈め、試合が終わってみれば29分の出場、19得点に3リバウンド、3ブロックとレイカーズの新人の中でも1993年のNIck Van Excel(ニック・ヴァン・エクセル)以降で最多得点のデビュー戦となった!!
イングラムのキャリアは長いわけではない。Gリーグで通算713本の3Pを成功している彼は成功率でも46.1%と2シーズン以上プレイした選手の中では歴代1位と素晴らしい成績を残している。ではなぜ今までNBAのチャンスがなかったのか? イングラムは過去にサマー・リーグ(NBA候補選手が招かれるリーグ)にユタ・ジャズから指名され参加しているが、NBA契約まではたどり着かなかった。よりよい給料を求めて海外のリーグに移籍する選択肢もあったはずだが、彼の家族への思いと、NBAへの夢がGリーグへ残る事を決意させた。
「海外への移籍を考えていた時期は自分の中でNBAへの手応えも感じていた。2つの選択肢がある中でリーグに残る事を決めたんだ。後悔はしていない」と彼は語っていた。
NBAの下部リーグといってもGリーグの年棒は約200万円から280万円と高くはない。そのため彼はオフシーズンには家庭教師をして生計を立てていた。そうして叶った彼の夢は、多くの人に感動を与えたはずだ!!
対戦相手のロケッツはスター選手Chris Paul(クリス・ポール)を擁する強豪。ポールはイングラムと同じ32歳。2人は試合中にこんな会話をしたという。
「これまでの積み重ねてきたことは素晴らしいと伝えたんだ。10年に渡ってGリーグでプレイし、今日のような舞台に立てたことは極めて特別なことさ」
さらに試合後のロッカールームではヘッドコーチから直接試合球を渡されるイングラム。負け試合ではあったものの、十分な結果を残したイングラムはすでにチームの中心選手のような雰囲気だった。
次の試合でも初戦のような結果を残せれば来シーズンもレイカーズ、または別のNBAチームで活躍する彼の姿が見られるかもしれない。オールド・ルーキーとはいえ、下積みで得たそのキャリアに裏付けられる実力は本物だ。来年以降もNBAを目指すバスケット選手に夢を与え続けて欲しい!!
参照:
https://www.theguardian.com/sport/2018/apr/11/lakers-andre-ingram-nba-debut-rookie-persistence
Written by #BsideNews
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