Jon Hopkins、11月に最新アルバム『Music For Psychedelic Therapy』リリースを発表!

「幻覚セラピーのための音楽」を掲げた新感覚の体感型ミュージックとなる。
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2021.09.03 10:00

2014年にリリースしたアルバム『Immunity』が英マーキュリー・プライズにノミネート、そして2018年にリリースした前作『Singularity』ではさらなる飛躍を遂げ UKチャートトップ10入りを果たすなど、世界的なトップアーティストとして活躍するJon Hopkinsが3年ぶりとなる最新作『Music For Psychedelic Therapy』を11月12日にデジタルとCDでリリースすることを発表した。



姉妹のようだった前作2作とは異なる作品として製作された最新アルバム


これまでにリリースした『Immunity』と『Singularity』は、姉妹のようなアルバムだったが、それらの作品とは異なる作品として『Music For Psychedelic Therapy』は制作された。スケールの大きなお祭り騒ぎや、フェスに向かって繰り広げられる喧噪から距離を置きたいという思いからできた作品であり、内面を見つめるもの、そして自我に囚われないものを作ろうとしていて、制作中そこに「調和」を目指そうという意図はなかったという。そうして生まれたアルバムにはビートがなく、ダンスミュージックやエレクトロニカのレコードというより、クラシックの交響楽に近いものに。これはただ楽曲を聴くというのではなく、身をもって体感するべき作品で、従来からあるリズムの構成にこだわるのをやめたことで、大きな解放感を感じられる作品になったという。


大部分は彼にとって最も暗い冬となった2021年の1月から5月にかけてレコーディングされた。そして、この音楽は彼に光と決意をもたらし、何にも遮られることなく体内を流れていった。それは彼にとって今まで一度も経験したことのないものだったそうだ。

「幻覚セラピーのための音楽」という方向性


また、本作はJon Hopkinsにとって全く新しい「幻覚セラピーのための音楽」という方向性が掲げられている。それはアンビエントではないし、クラシックでもないし、ポストロックでもないが、その3つの要素をすべて持っている。そこには悠久の時間をまたぐ物語があり、それは音を鳴らすのと同時に空間を作るものでもある。 これは幻覚体験の儀式における新たな次元に到達している。彼自身が麻酔薬ケタミンによる幻覚を見ながらこの音楽を試したところ、前に読んだことのある格言が頭の中に何度も浮かんできたという。

「音楽とは液状の建築である。建築とは凍結した音楽である」それは人間の居場所となるべきものであり、また人間に多大な影響を与えるものでもある。実を言うと、そうした状態にあるときに、タイトルがはっきりと頭に浮かんできたと言う。そしてこれは、デビッド・ナット医師によってインペリアル・カレッジ・ロンドンで行われている幻覚剤シロシビンを用いた試験で使用するプレイリストについてアドバイスするという、彼自身の仕事にも通じていた。 幻覚セラピーは 世界中で合法化が進んでいるにもかかわらず、それに欠かせない音楽について語る者はあまりいない。古来よ り、幻覚体験の儀式では、薬物と同様に音楽が重要だった——音楽こそ、人が空間を自在に進むための手段なのだ。

なお、Jon Hopkinsは本作のリリース発表と同時に新曲「Sit Around The Fire」をMVと共に公開している。同曲ではプロデューサーのEast Forestとカルト的な人気を誇る『ビー・ヒア・ナウ—心の扉をひらく本(Be Here Now)』の著者、故Ram Dassをゲストに迎えている。映像はTom ReaddyとLucy Dawkinsが監督が担当。block.fmでは前作アルバムリリース時にJon Hopkinsにインタビューを行なっているので、最新MVとあわせてチェックしてほしい。


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なお、Jon Hopkinsは今月18~19日(現地時間)にアメリカで行われるPorter Robinson主催「Second Sky Music Festival 2021」に出演することが決定している。


 written by Jun Fukunaga



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