JOEY BADASSはアメリカ出身ラッパーである。BMIアワードを受賞するなどして名高い彼だがJ. COLEに対し、まるでリリック対決をするようにからかったことがあるというのはご存じだろうか?全く同じ曲や同じコードを使ったというわけではないようだが、その理由とは何なのだろう?
そもそもJOEY BADASSとはどんな人物なのだろうか。JOEY BADASSはアメリカ出身のラッパーである。1995年1月20日生まれで、ニューヨークのブルックリンで育った。元々彼はラップではなく演技の道を志して、ニューヨークにあるEdward R. Murrow High Schoolという芸術系の高校に進学した。しかし、入学後ラップの虜となり、9年生の時に音楽の道に移行したのである。彼が音楽活動を始めたのは2010年のことだ。YouTubeに自分自身の動画をアップロードしたことが始まりだった。その動画はアメリカのヒップホップのサイトである「World Star Hip Hop」に掲載されるとすぐさま注目を浴びた。後にJOEY BADASSのマネージャーとなるCinematic Music Groupの社長のJonny Shipesが彼を見つけるきっかけとなったのもこの動画だった。
その2年後である2012年6月12日にJOEY BADASSはデビューソロ・ミックステープである「1999」をリリースする。このミックステープは発売後すぐさま地下のシーンで人気を集め、Complex Magazineにより2012年のベストアルバム第38位にも選ばれた。また同じ曲はHipHopDXによって2012年のベストミックステープにも選出されている。
それに対してJOEY BADASSがリリック対決のようにからかったというJ. COLEとはどんな人物なのだろうか?J. COLEもJOEY BADASS同様に人気ラッパーの一人である。1985年1月28日に西ドイツのフランクフルトで生まれた。生後8か月でアメリカに移住している。また、アメリカ、ニューヨークに位置するSt. John's Universityを卒業している。本格的なラップ活動を始めたのは14歳の時で、ラッパーとして初めてミックステープを制作したのは2007年のことである。
その後2008年に有名アメリカ人ラッパーのJay Zが創設した音楽レーベル「Roc Nation」の第一弾アーティストとして契約を交わすと、大きな話題を呼んだ。デビューはその3年後の2011年9月27日で、デビューアルバムは「Cole World: The Sideline Story」だ。これは全米で85.5万枚の売り上げを記録している。また2014年にリリースした「2014 Forest Hills Drive」では全米で124万枚売り上げた。
ではどうしてJOEY BADASSはリリック対決のようにJ. COLEをからかったのだろうか?それには2016年12月に公開された「Eyes」というドキュメンタリーが深く関わってくる。このドキュメンタリーではJ. COLEの楽曲が2曲紹介されている。実はそのうちの一つである「False Prophets」というタイトルの曲で、JOEY BADASSのアルバム「1999」に収録されている「Waves」のビートと同じものが使われているのである。同じ曲や同じコードが使われているというケースはよく聞くが、同じビートが使われているケースはあまりないため驚きだ。そのためJOEY BADASSはJ. COLEに対しTwitter上でリリック対決のようにからかうに至ったのだ。しかしJOEY BADASSは本気でからかっているわけではない。巷でよくある同じ曲や同じコードを使っているケース同様、きちんとJ. COLEはJOEY BADASSに許可を取っていたからだ。むしろJ. COLEはJOEY BADASSに対し、発売数か月前にこの楽曲を聴かせていたというのだから仲の良さがうかがえる。
つまり、JOEY BADASSがJ. COLEに対しておこなったリリック対決のようなからかいは、ある種の友好関係の象徴だったと言えるだろう。ここまで二人の仲が良かったら、いつか同じ曲や同じコードを使用することや、本当にリリック対決をおこなうこともあるかもしれない。または同じ曲を共有し、カバーし合うこともあるかもしれない。
Photo: https://www.facebook.com/fckingbadass/
Written by 編集部