新しい音楽はネットの海の中に。ネットレーベルと新たなDJやトラックメイカーの才能を発掘する2010年代サブカルチャー

2010年代の音楽サブカルチャーとして発展したネットレーベルカルチャーとは。
SHARE
2018.06.10 13:22

今や新しい音楽は、インターネットの海原にある。ネットレーベルというサブカルチャーから日々、新しい音楽の産まれ、若い世代たちを躍らせている。また、着々とネットレーベルからメジャーへとデビューし、J-POP歌手たちに楽曲提供している才能あふれる若きDJやトラックメイカーたちも増えている。でも、例えメジャーデビューしても、J-POPに楽曲提供していても、ネットレーベルとしてのアイデンティティも大事にしているアーティストたちも多くいる。果たして、ネットレーベルとはどのような文化なのだろうか?


『ネットレーベル』とは?


『ネットレーベル』は、シンプルに定義すると、インターネット上で運営されているレコードレーベル。同じ音楽業界の立ち位置としてはインディーズ・レーベルと似たように、独自で音楽を制作し、提供(または配信)し、所属のアーティストやバンドを管理する、いわゆる自立型の音楽運営となる。インディーズ・レーベルと多少違うところは、音楽を提供する場所はCDやCDショップをメインではなく、インターネット上になる。MP3等の音楽フォーマットをもとに、アップロードされた音源を限りなく無料に近く、公共に出すことになる。




主にインターネットのHPを立ち上げ、音源を載せるというプロセスになるため、1名から数名を基盤に、レーベルを立ち上げるケースが多い。また、無料で配布されている音源として、トラックメイカーたちも個人的趣味として作ったマニアックな音源を載せては、聞いてくれる人が徐々に集まってくれると言った流れがある。ニッチなジャンルもあり、またそれについてくるフォロワーたちも徐々に集まってくる。「自分たちの作りたかった音」と言うクリエイター側と、「自分たちが踊りたかった音」と言うファン側の需要と供給が、長い時間をかけても埋め合うように併合し合うことで、サブカルチャーの中からネットレーベルが知られていくような過程が見える。



そのため、今や新しい音楽の流れはインターネットの中にあると言っても過言ではない。若きクリエイターやアーティストたちにとって、インターネットは創造の遊び場、そして日々変わるネット社会の中で流動的に動いている。そのため、今では、新たな才能を発掘する場としても、多くの人たちからの注目を浴びている。


日本発の国際的に活躍するTREKKIE TRAX。彼等の思う『ネットレーベルカルチャー』とは。

  



現在、国内外の活躍が顕著なネットレーベル発のダンスミュージックレーベルと言えば、TREKKIE TRAX(トレッキー・トラックス)だろう。TREKKIE TRAX所属のDJとトラックメイカーたちは、クルーとして名をはせていれば、個人での活躍も今注目を浴びている。例えば、昨年には『仮面ライダーエグゼイド』の主題歌『EXCITE』の楽曲を手掛け、オリコン1位を取ったCarpainterも所属し、また2018年1月には、イギリス放送局のBBC Radio 1でDiploがホストを務める人気の番組『Diplo and Friends』にも出演を果たしたMasayoshi Iimoriも所属し、現在も所属しているDJ&トラックメイカーたちは全国のイベントで活躍中だ。







2012年から立ち上げ、現在も代表としてTREKKIE TRAXをまとめ、自身もDJとして活躍するfutatsuki氏に、ネットレーベルカルチャーについて直撃してみた。



TREKKIE TRAX はどのように発足し、何故『ネットレーベル』という形を取ったのでしょうか?



futatsuki▷TREKKIE TRAXが発足した2012年前後は日本のネットレーベルが非常に盛り上がっていました。僕たちも普通にマルチネ・レコーズをはじめ、著名なネットレーベルの音源を日々聞いていましたし、自分たちがレーベルを立ち上げるとなった時に、『ネットレーベル』という手法を取るのはごく自然でした。



『ネットレーベル』ならではな事はありますか?



futatsuki▷ 多くのネットレーベルは営利目的に活動していないのと、いわゆるマネジメント契約や、原盤権供給の専属契約といった、音楽ビジネスの側面もあまり強く見られないので、アーティストは制約なく「自分たちの好きな音楽」を気兼ねなくリリース出来ることだと思います。ですので、アーティストが表現したい音楽をダイレクトにリスナーに届ける事ができます。また楽曲のリリースも非常に簡単に行うことが出来ますので、フレッシュな音源をリスナーの皆さんに届けることも可能です。



TREKKIE TRAXと『ネットレーベル』としてのアイデンティティとは?



futatsuki▷ 元々日本のネットレーベルは「J-POP」や「アニソン」といったサブカルチャーに隣接した楽曲、ブートレグをリリースすることが多かったのですが、TREKKIE TRAXは「ダンスミュージック」しかリリースしないという明確なスローガンがありました。またネットレーベルは楽曲をリリースする手軽さから、膨大な楽曲がリリースされていましたが、僕たちは自分たちのリリースをしっかりクラブまで落とし、現場でプレイされ、リリースと現場が紐続くようにプロモーションなどを計画していました。



現在はCDをはじめ有償での音源リリースを行っていたり、アーティストのマネジメントも行っているので、従来のネットレーベルから、より一般的なレコードレーベルへ運用形態を徐々に変えていっています。そこで現在はネットレーベルではなく「ダンスミュージックレーベル」と名乗っていたりもします。



どんなイベントに出演するのが好きですか?



futatsuki▷ 僕たちはまず自分たちのレーベルのパーティーを一番の重要視しています。レーベルのアーティストが一堂に会するパーティーは、今のTREKKIE TRAXを一番分かりやすくリスナーの皆さんに体感してもらえますし、僕たちにとっても音楽をリリースするだけでなく、その音楽がしっかりリスナーの皆さんに届いていることを確認出来る機会となっています。

他にも大きなベニューで外国人アーティストのサポートするのも好きですし、小箱やバーで行われるアットホームな雰囲気のパーティーに出演するにももちろん好きです。



最後に、TREKKIE TRAXの今後の目標をお教えください。



futatsuki▷ 今後はリリースはもちろん、アーティストの育成やマネジメントにも力を入れていきたいです。現在ではCarpainter、Masayoshi Iimori、TREKKIE TRAX CREWの3組のアーティストとマネジメント契約を行っており、音楽周辺のビジネスのサポートも始めています。

しかし変わらず、僕たちは「自分たちの好きな音楽」を引き続きリリースし、日本のシーンや、世界のシーンに一石を投じて行ければと思います。



TREKKIE TRAXのように自分達から活発的に働きかけることができ、世界へ羽ばたけるチャンスの一つでもあるネットレーベル文化。このようにインターネットは現世代の遊び場でもあり創造の場でもある、自由な幅広く深い空間として今後の新しい才能の発掘が楽しみだ。



block.fmのTREKKIE TRAX RADIOで、彼等の活動に注目。

https://block.fm/radios/536


Photo:

https://www.pexels.com/photo/black-turntable-beside-white-laptop-computer-164732/

https://www.pexels.com/photo/person-playing-dj-turntable-844928/

https://www.pexels.com/photo/group-hand-fist-bump-1068523/


参考:

TREKKIE TRAX Official HP: http://www.trekkie-trax.com/

TREKKIE TRAX Twitter: https://twitter.com/TREKKIETRAX

TREKKIE TRAX Instagram: https://www.instagram.com/trekkietrax/

TREKKIE TRAX Facebook: https://www.facebook.com/TREKKIETRAX/


Written by 編集部


SHARE