ZEEBRAと☆Taku Takahashiが語る、インターネットラジオの未来と目指すメディアの形

block.fmの☆Taku Takahashi、WREPのZEEBRAがインターネットラジオの未来を語る!
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2019.04.27 08:00

block.fm MASSIVE WEEK『INSIDE OUT』にWREP局長のZEEBRAが登場! block.fm局長の☆Taku Takahashiとインターネットラジオの未来像や番組のコンテンツ作りなどについて話していました。





「INSIDE OUT」4月22日放送回

▶https://block.fm/radios/8

※アーカイブ視聴は5月6日まで



渡辺志保:block.fm、ちょっとCOZYな雰囲気でして。今日もちょっと長めのソファーにですね、☆TakuさんとZEEBRA局長が隣同士に座ってらっしゃって。その正面に私が座ってお話をしているんですけども。


☆Taku・ZEEBRA:よろしくお願いします。


渡辺志保:すごいですよ。タクさんとジブさんがソファーに並んでトークしているって本当に昼間も言ったけど、MDに2人の曲を入れて聞いていた世代の私としてはたまらないっていう感じもありますけども。タクさんからなぜ、今日ZEEBRAさんをお招きしたのか、ちょっと簡単にあらましをご説明願えますか?


☆Taku Takahashi:きっかけは今週、block.fmがMASSIVE WEEKをやってるんですけど。そのMASSIVE WEEKで各番組が普段やらないことだったり、いろんなチャレンジをやっていこうっていうお題を出していて。それでいろいろと面白いことを考えたいねっていう風に話をしてる時にYANATAKEさんが「なんかさ、☆TakuとZEEBRAさんがそれぞれWREPの話をしたりblock.fmの話をしたりしたら、すごい面白いシナジーが聞けるかもしれないから。ちょっと聞いてみるよ」って言ってくれて。それでその後、ジブさんが「やりましょう」って言ってくださったっていう。で今日のお昼に、WREPに僕も出させていただいて。めちゃくちゃ楽しかったです。あっという間に時間過ぎちゃいましたね。


ZEEBRA:ねえ。あっという間。本当にね、話が盛り上がるとね、1時間なんてもう2秒ですよ(笑)。時空がね、歪む(笑)。


渡辺志保:すごい(笑)。1時間=2秒(笑)。でも、たしかにみっちりと45分ぐらいはトークさせていただいたんですけども、あっという間でしたね。昼間話すのも新鮮な感じがしましたけども。でも、昼間のWREPでの放送に続いて、ここblock.fmの『INSIDE OUT』でも、なぜお二人がラジオを始められたのか。そして今後、いったいどうなっていくのか? そういったことについてお伺いしていきたいと思います。で、先ほども申し上げた通り、いまみやーんさんがすでに書き起こしをしてくださっていますので、昔の話はそちらでチェックしていただきたいなと思うんですけれども。


ZEEBRAと☆Taku Takahashi WREPとblock.fm開局の意図を語る

https://miyearnzzlabo.com/archives/56536


ZEEBRAと☆Taku Takahashi WREPとblock.fmのコンテンツを語る

https://miyearnzzlabo.com/archives/56540



ZEEBRA:うん。


渡辺志保:さっきお話しした際、終盤の方に「コンテンツ、どうやって作っているんですか?」っていうお話をされていたんですけども。逆に私も☆Takuさんに「block.fm、今後どういうコンテンツを増やしていくのか?」とか、最初立ち上げの時、「まずは根幹となるプログラムでこんなのがあるといいよね」っていうので、どういう風にお考えだったのかな?っていうのをちょっと思ったんですよ。


☆Taku Takahashi:ちょっと遡ると、始めたきっかけっていうのはBBC Radio 1がそういうDJたち、各いろんなジャンルの……そこれそハウスもあるし、ドラムン・ベースもあるし、ヒップホップ、レゲエ、いろんな番組があって。その番組をやってるのがDJたちだったんですよね。現場で回している人たち。で、現場の人たちが作るラジオ番組っていうのは日本ですごい少ない。


それでいろんなラジオ局にもそういう話をしに行ったんだけど、ちょうどいちばん不況のタイミングで。「スポンサーつかないから無理だね。そういうアンダーグラウンド・ミュージックをやるのは難しいよね」って言われて。「だったら自分たちでやっちゃう!」っていうのが始まりのきっかけで。で、今日ね、さっきZEEBRAさんが「これから、WREPでどういう風なコンテンツを作っていきますか?」っていう話をされていたじゃないですか。


ZEEBRA:はいはい。


☆Taku Takahashi:ちょうど僕らも2週間前のミーティングで「アーティストの番組も面白いけど、いろいろと知識を持ってる人だったり、あとは実際に遊びに行く人だったり。そういったパーソナリティーが……クリエイターとかDJじゃない人たち、しゃべる人がやる番組も作っていこう」っていう風な話をちょうど僕らもしていたから。めちゃくちゃシンクロニシティを感じるなって思って。


ZEEBRA:俺、それに関してすごく思うこととしては、もちろんその日本のラジオのフォーマットっていうのがやっぱり、みんな聞き慣れてると思うんで。それにある程度は合わせてスタートしていくっていうのは当然だとは思うんだけども。で、それがやっぱりわかりやすい人をパーソナリティーに持ってきて……って。で、そのアーティスト番組みたいな感じにしていくっていうのがすごくありがちなパターンだと思うんですけど。逆に、あんまり向こうでアーティストでラジオ番組やってる人って、いないでしょ?


渡辺志保:そうなんですよね。私もそれは常々思っていて。なので、逆に私はもうこうやっていろいろと情報を聞き出させていただいているわけなんですけども。逆にロールモデルがが多いですよね。アメリカのヒップホップのラジオシーンを見ると。


ZEEBRA:そうそう。だからそれこそ志保とかみたいにラジオで番組をやって、それでバリューを上げていって、それでイベントの司会をやってみたりとかっていう風な人たちがもっといっぱい出てきてほしいっていうか。俺ら普段さ、「ヒップホップのイベントをやりましょう」っていう時に、司会がマジでいないからね、本当に!


渡辺志保:そう。マジでいないから。


ZEEBRA:本当にいないんだよ! もう数少ないから。


渡辺志保:若い子もあんまりいないからね。


ZEEBRA:だからね、そういうことを考えれば考えるほど、やっぱりここはここでスペシャリストがどんどん育っていってほしいなっていう気はしていて。で、中にね、やっぱり「あのアーティストは面白いから、あいつの番組を……」っていうのはもちろんあっていいと思うんだけれども。そうじゃない人も育ってほしいなと思えば思うほど、そんなことを考えていますけども。


渡辺志保:そうですよね。まあ、この番組『INSIDE OUT』もね、もともとAKLOさんが一緒にパーソナリティーとして出演してくださっていたんですけども。やっぱり情報を入れて出すっていうことをどうしても我々はしなきゃいけない。けれども、やっぱりそことアーティストのクリエイティブなマインドってたぶん、全然違うチャンネルなんじゃないかなって私は思っていて。だからアーティストの方もご自身の番組を持ってるのは本当に素晴らしいことだけど、それがどこか自分の中でわだかまりのようになる人もいるんじゃないかな?ってたまに思うことはありますね。


ZEEBRA:うんうん。なんかね、またいろいろあるなと思うのは、たとえば番組を持つって結構いろんな意味で責任とかが伴ってくると思うのね。たとえば、当たり前のことだけども、番組は休んじゃいけないし……とか。


渡辺志保:もちろん。はい。


ZEEBRA:そういうの、いろいろあるじゃないですか。そうなってくると、ある程度しっかりやんなきゃいけない。だけどなんかアーティストって誰もが誰もしっかりしてなくていいような気もするし。


渡辺志保:フフフ、たしかに(笑)。そうですね。毎週決まった時間に来なくてもね(笑)。


ZEEBRA:たとえば……わかんないけど。ヒップホップの話をしたら、たとえばNIPPSがすごいしっかりしてたら面白くないじゃない?(笑)。


渡辺志保:「今週もよろしくお願いします!」ってね、12時ぴったりに来るみたいな(笑)。


ZEEBRA:そうそう。毎回、30分前に来てね、台本を読まれてても、ちょっとなんかピンと来ないじゃない? だからそういう意味では、両方やっぱりあったらいいなって思うんだよね。


☆Taku Takahashi:特性がそれぞれ、アーティストだから出せるものだったり、そうでない人が……そういうパーソナリティーが出せるものだったり。両方出せるのってすごい理想ですよね。


ZEEBRA:そうそう。で、好きな人ってやっぱりいるし。俺とかもラジオをやるのが好きだから、すごいやっているんだけども。別に誰もが誰も、俺みたいにラジオ好きでラジオやらなきゃいけないとか全然ないじゃない。そんなのが「いいアーティスト」の尺度でもなんでもないし。だからこれは俺もあくまでも半分趣味みたいな……自分の実益も兼ねる趣味みたいな感覚でやってるから。なんかそんな感じかなとは思っていて。





渡辺志保:☆Takuさんも「同じく」っていう感じですか?


☆Taku Takahashi:よくね、最近自分が比較する……これ別に「ライバル」っていうわけじゃなくて、ユーザーの体験で考えるならば、やっぱりSpotifyなんですよ。あとは4つ打ちとか、ヒップホップもあるけどSoundCloudとかMixcloudとか。そういう、もうMIXっていま、どこでも聞けちゃうじゃないですか。あとコンピレーションでいろいろといい音楽をノンストップで流してくれる、そういうサービスがいっぱいある中で、やっぱりラジオって、もちろんそうやって音楽ばかり流れる時間帯もあっていいと思うんだけど。


ちゃんと面白いことを言葉で発信できるっていうことがすごい大事だなって改めて思っていて。その「詳しさ」でもいいし、あとは「パッション」でもいいし。でもいちばん大事なのは、自分がその好きなものを「すごい楽しいんだよ!」っていうことが伝染できることがすごい大事なんだなって思っていたりね。その気持ちをちゃんとみんなに発信できることがすごく大事だなって。


ZEEBRA:まさにインフルエンサーね。そういう意味ではね。


渡辺志保:うんうん。いま、Spotifyとかもポッドキャストにすごく力を入れていて。私も最近、情報を仕入れるのはもうポッドキャストがかなり多くなっているんですけど。もう、ひたすら60分とか90分とかしゃべっているだけなんですよね。で、曲をかけることもあるけど、基本的にはトークばっかりで。「よくこんなにみんな、しゃべることがあるな!」って勉強になるぐらいなんですけど。でも、みなさんそれを楽しんで、いま何百万人という方が聞いてるってなかなか……。


☆Taku Takahashi:たぶんここにいる3人、4人。というか、スタッフも入れて、みんなたぶん、好きなことに関して話すことが大好きな人たちの集まりでしょう? それだってもうずーっとしゃべっていられるし。時間もあっという間だし。


渡辺志保:そうですよね。あと、私もblock.fm『INSIDE OUT』、お昼でも話したとおり、もう7年半やっていて。8年目もマラソンがずっと続いているような感じなんですけども。本当に自由にやらせていただいて。特に何の規制もないですし。「こういうことを言うな」とか「こういう曲はかけるな」っていうことも全くないんですよね。で、最近、モーリー・ロバートソンさんとかもね、ずっと開局すぐから番組をやってらっしゃっていて。彼、モーリーさんもすごくいろんな意見をおっしゃってるということで。なんかそういった、こう言うと固いですけども。「言論の自由」とか「リベラル志向」であることとか、そういったことって何か考えていらっしゃいますか?


☆Taku Takahashi:今日のお昼も、ジブさんが「コンプライアンス社会だよね」っていう話をされていましたけども。たとえばマリファナの話。僕はマリファナはそのまま、合法化はされたくないと思ってるんですね。


ZEEBRA:この前、なんかで言っていたのを見たな。


☆Taku Takahashi:まあ、理由は運転してる時に検査しづらいから。DUI(Driving Under the Influence)。やっぱり気持ちが大きくなっちゃって、それでそういった事故が起きるかもしれないとかっていうのが可能性としてあるから。


渡辺志保:たしかにね、飲酒運転についてこれだけ叫ばれている昨今というのもありますし。


☆Taku Takahashi:というような僕の考えはあるけど。でも、逆に「合法化していいじゃん」とか「医療目的ならいいじゃん。それでいろいろな人が助かるならば……」っていう話だってわかるし。でも僕、なにを話したいか?っていうと、いちばん嫌なのは、そのことをディスカッションすることすらできない社会っていうのがすごく、ずっと嫌で。それでだからずっとblock.fmでもそのマリファナに関しても……いまはだいぶ話せるようになったけど、一時期、本当にマリファナの「マ」の字もしゃべっちゃいけなかった時期があったじゃないですか。日本で。


ZEEBRA:うんうん。


☆Taku Takahashi:なんかそういうのが、(臭いものに)フタを閉めちゃうっていうか。だって極論ね、これは極論ですよ。モルヒネの方が危険じゃないですか? でも、「痛みを緩和するために必要だ」っていう。でも、モルヒネとマリファナを比較する話をすることすら、「いや、☆Takuさん。ダメです!」みたいな。そういうのが世の中にあったから。だからうちはすごく、「ど」がつくぐらいリベラルメディアなんじゃないかなって。


渡辺志保:いやー、それは非常に思います。やっぱりまあ本当に、ちょっとこういうことをお話していいかわからないけど。まあDOTAMAさんの件なんかも。でも、それをお互いの意見をTwitter上とかでぶつけることは本当に簡単だけれども、じゃあ実際に両者、違う立場の人たちを呼んで議論することってなかなかやっぱり、しようと思ってもまだ日本だとできていない感じがしますので。


ZEEBRA:俺ね、Twitterに関してはね、最近ちょっとやり口を変えたというか。最近俺、あんまり炎上しなくなったでしょう?(笑)。


DJ YANATAKE:フハハハハハハッ!


渡辺志保:フフフ、まあ「Twitterとジブさん」っていうテーマだけで私、4万字ぐらい書けますよ(笑)。


ZEEBRA:ちょっとだけやり口を変えたわけ。なにかって言うと、これはもう前からわかってはいたものの、でもやっぱりそうだなと思ったのは、ひとつの何かを伝えるのに当たって、大体すごい大切で大きなことって140文字じゃ絶対に無理なわけ。で、そうなると、それがどうしても2、3投しないと……。


渡辺志保:ツイートをいくつかに分けてね。


ZEEBRA:そうそう。2、3ツイートしないと、それが全部は伝わらないじゃない? でも、それのうちのインパクトのあるやつだけ、すっごいいっぱいリツイートされるわけ。


渡辺志保:そうなんですよ。そう! 本当にそう! 切り取られちゃってね。


☆Taku Takahashi:部分だけ使われちゃう。


ZEEBRA:そう。そうすると、それだけ読んでると、「いやいや……」って。突っ込みの入れどころがあるわけよ。でも、俺はそれをちゃんとフォローするために、その後とかその次とか、2、3個、4個とツイートを続けて、連投してるんですけども。もう本当にね、俺はいっつも思うんだけど。なにか誰かがリツイートして、普段見ないのが回ってきました。それを読んだ時に「えっ、この人、こんなこと言うの? えっ、ちょっと待てよ?」っつって。俺はね、その人のアカウントのところに行くわけ。


渡辺志保:そうね。ジブさん、優しいからね。


ZEEBRA:行くわけ。で、「この人、なにが言いたいの?」って。それで1個前とか後とかのツイートも読んで、「ああ、OK、OK。理解した。ならばいいんじゃない?」ってなって放っておくとかあるんだけど。でも、そういうことをしない人が多すぎる。だから、つまりなにかっていうと、Twitterでは140文字で収まる程度のことしか言うべきじゃないんだよ。俺はすげえそう思った(笑)。


☆Taku Takahashi:フハハハハハハッ!


渡辺志保:私、本当にわかります。私もだから切り取られてRTとかされるのが嫌で。だからなにか本当に言いたいことがあれば、私はありがたいことにこのラジオというフォーマットを用意していただいてますので。この場で言うのがいちばんじゃないかとまさに思っております。


ZEEBRA:俺も一時期ね、「なんかコメントをください」って言うから、「じゃあラジオ聞け!」っつって。これでリスナーが増えれば「イエーイ!」みたいな(笑)。そんなのもあったし。でもね、本当にいちばんストレートに誤解なくやっぱり話せるじゃない? 話すのが伝わるじゃない? だから俺はすごいそれがいいメディアだなっていう風に思ってるけどね。


渡辺志保:いや、本当にその通りだと思うんですよね。やっぱり昼間のトークでジブさんも、「たとえばラッパー同士でビーフがあったら、その片方を呼んで話を聞いたっていいじゃないか」みたいなことを仰っていて。実際にアメリカのヒップホップラジオなんかではそういうことをやっている。でも私も、実はそういうことをすごくしたくて。で、私も散々ね、アメリカのビーフとかラッパーたちのゴシップとかに触っておいて、肝心の隣にいるラッパーの結婚話とかはなかなかラジオでは言いにくいみたいなこともありますので(笑)。なんかどんどん、いろいろなことを広くしゃべってきたいなとか思ってるんですけども。


ZEEBRA:そうですね。なんというか、ジャーナリズムっていうところがなかなか日本では本当に成立しづらい。特にこういう音楽とか。音楽ってさ、ある意味で優劣がないじゃない? 本当の優劣ってないじゃない? でも、たとえば音楽ジャーナリストだったりすると、そこにも優劣を作んなきゃいけない瞬間が出てきたりとか。たとえば「今月の1枚を選んでください」ってことになったら、選ばなかったなかったやつらは、選ばれたやつに負けているわけだから。そいつの中ではね。だから、そういうことをしなきゃいけないってところがある中で、なかなか日本の和の文化の中でね、難しいんだよ。


渡辺志保:そうですね。本当に和の文化。


ZEEBRA:これがすごく、でも弊害なのは間違いないから。これも変えていかなきゃいけない。だから言うたら、本当にたけし軍団がフライデー襲撃とか、それぐらいでメディアは本当はあるべきだと俺は思う。人が怒って襲撃しに来るぐらい。そうでなきゃ、本当はダメかなと思うんだけども……。


渡辺志保:そうね。皆さん、いまは中庸であることを好むし。私自身も言ったらそうですよ。だってやっぱりあんまりね、ラッパーの子たちに嫌われたくもないから。そんな攻撃的なことは言いたくないし。やっぱり実際に会っちゃうと、その音楽性云々よりも人柄の方が勝ってしまうことも、もちろんそれは無きにしもあらずということがある。だから非常に難しいなと思いますね。


ZEEBRA:その形で言うと、たとえば俺は(Hot97の)ピーター・ローゼンバーグとかのやり口っていうのすごく面白いなと思っていて。


渡辺志保:まあ、ちょっと炎上型というか。


ZEEBRA:そうそう。だけど本当にさ、たとえばニッキー・ミナージュをディスるにしたってさ、別にニッキーを完全否定するわけじゃなかったじゃん。たとえば、あの『Starships』の時とかもそうだったじゃない? 「あの曲はないでしょ?」って。


渡辺志保:まあね。



ZEEBRA:「いままでさんざん『大好きで』って言っていて。Summer Jamでもさんざん推してだしてきただろ? 俺はあいつはすげえヒップホッパーだと思っているぜ。でも、この曲はないだろ!(ドカーン!)」みたいなさ。そういうのって俺はあっていいと思っていて。


渡辺志保:まあ、それは本当に客観的に事実を述べているだけですからね。


ZEEBRA:そうそうそう。だから、なんだろうな。まずは俺ぐらいからやったら気楽なんじゃないかなと思うから。「ZEEBRA! あれ、ダサッ!」って思ったら、俺にメディアでバンバン言ったらいいんだよね。「ジブさん、あの曲だけは無しだよ」とか。言ってくれたらそれでいいなと思うし。


渡辺志保:ハードル高いなー(笑)。


ZEEBRA:でもね、俺は別にそんなことで怒らないから。完全に人格否定とかまでされたら、「ちょっと、オイッ!」ってなるかもしれないけど。そうじゃないわけじゃない? それは本当にあくまでも……ヒップホップって「これ、あり! なし!」みたいなのって、結構「あり」なんだけど、でもその中の「なし」がちょこちょこちょこちょこ、いろんなところにあるじゃない? そういうところもまたね、話すのが面白いところだなって。


渡辺志保:そうそう。でも、それを本当に今日、聞きたくて。ダンスミュージックとかクラブミュージック、そしてヒップホップまでを広く扱っていて。ややもすれば何でもありに見えるかもしれない。まあ、いまはblock.fmのお話ですけども。でも、☆Takuさんがその中で1本、芯を通しているというか、美学みたいなものがあれば、それは何なんでしょう?って思ったんですけども。


☆Taku Takahashi:「クリエイターズ・ファースト」。それは「表現者」っていう意味の「クリエイター」。要は曲を作る人だけじゃなくて、たとえば志保さんだったり、YANATAKEさんだったり、出演している人たちみんながファースト。自分らがいちばん発信したいものを発信できるっていう。かけたい曲しかかけない。言いたいことしか言わない。


で、日本でやっていくと、これは本当に実際、やればやるほど……それこそ、ZEEBRAさんもいろいろと感じていると思うんですけど。なんか、やっぱり日本のムラ社会だったりとか、社会の和を壊すようなことをしてしまうと完全否定されてしまう。あと、怒る人が多いじゃないですか。アメリカもいると思いますよ。そういうPCにめちゃくちゃうるさい人もいるし、怒る人もいるけど。


たとえばじゃあ「○○がめちゃくちゃ酔っ払って、そのまま事故りました」みたいなことがあったら、その被害者っていうのはもちろん怒ると思うけど。でも、大概は「あいつ、バカだね!」って。あと、たとえばじゃあ、エイミー・ワインハウス。彼女がヒットした曲って、「私はリハビリに行きたくないのよ」っていう歌(『Rehab』)で。



それを「これ、面白いね!」ってなってヒットする。でも、日本でそんな曲を出したら、「なんてけしからん!」って言って怒る人たちがいるじゃないですか。


渡辺志保:そうね。「体じゅうタトゥーだらけで!」みたいな、そんな風に言われちゃうかも。


☆Taku Takahashi:そうそう。だからそういうのに対して、少しでもアンチテーゼ。あと、そういった表現したい人たちが自由に表現できるもの、状況っていうのを作っていくことって、せっかくこれだけ素晴らしい演者だったりクリエイターだったり、あとはDJだったり。本当にいろんな日本の人たちってセレクト能力だったり、表現の能力が高いのに、それがなんかもったいないなっていう。その状況を少しでも変えられたらなって。


まだまだ盛り上がったトークの続きはこちら

ZEEBRAと☆Taku Takahashi、相次ぐ“自粛”に対する日米の差を語る


番組情報




「INSIDE OUT」

生配信:毎週月曜夜 22:00 - 23:00


ディレクターYANATAKEがお送りするblock.fmの人気ヒップホップ専門番組! 2015年7月より毎週放送! 渡辺志保とYANATAKEがナビゲーターを務めてお送りします。


written by みやーんZZ


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