イベントや外出の自粛が続きおうち時間が増えている方や、100ワニ最終回を見て自分探しを始めた方に、ビートメイカーやラッパーとしてデビューをおすすめしたい!ということで、この記事ではiPhoneに標準インストールされているアプリ「GarageBand」の凄さを改めて紹介する。
楽器が弾けない、音楽理論はわからないという方でも、GarageBandなら100パーセント誰でも自分で曲を作ることができるので、この機会に是非チャレンジしてみてほしい。
操作系も非常にシンプルで誰でも1〜2時間も触っていれば簡単なトラックぐらいは作れるようになるだろう。
所詮フリーソフトでは?と侮れないのがGarageBand。数年前に高校生だったSteve Lacyが、iPhone 6とGarageBandで作ったビートでグラミーにノミネートしたり、Kendrick Lamarの傑作『DAMN.』にビートを提供していたことが大きな話題となった。
iPhoneと無償アプリGarageBandだけでも機能としてはトップクリエイターの制作に十分な機能が備わっているということだ。
▽Steve LacyがGarageBandでビート提供したKendrick Lamar「PRIDE.」
GarageBandにはスマートギターやドラムなど画面をタップするだけで、感覚的に楽器を自動演奏してくれる機能が備わっているので、楽器の演奏ができなくても大丈夫。
よくある初心者向けの音楽制作ツールは、単純に用意された音楽ループ素材を重ねるだけのものが多く、作られたループを重ねているだけなので作れるパターンは限られてしまい、すぐに飽きてしまう。その点、GarageBandのツールは本当によくできていて、簡単に演奏できるのに、ただのループ再生のような退屈なものでなく、本当に演奏しているかのように感覚で楽器を操ることができる。
さらに、それらで打ち込んだ楽器はMIDIデータとして、あとからタイミングやサウンドを自由に修正できるので、プロフェッショナルなDAWソフトと変わらないような細かい打ち込み作業もできるようになっている。もちろんそこにループ素材を重ねるような作り方も可能だ。
内蔵音源も豊富でドラムやギター・ベースはもちろん、シンセやストリングスなど、一般的な楽器はほぼ全て網羅されている。冒頭ではラッパー・ビートメイカーデビューと書いているが、楽器や歌ができるならジャンルを問わずバンドものでもポップスでも制作できる。
いわゆるマルチトラック・レコーディングと呼ばれる、プロフェッショナルな録音方法もGarageBandだけで出来るようになっているので、ビートを読み込みその上にラップを録音していくことも簡単な操作で出来るようになっている。
つまり打ち込みからレコーディング、ミキシングまで一つのアプリでできる統合環境なので、基本的な構造としてはプロフェッショナルなDAWの環境と変わらない。
周辺にビートメイカーがいなければGarageBandで自分で作ってもいいし、YouTubeなどでハイクオリティなフリートラックもアップされているので、それらを使用してもいいだろう。
▽Youtubeで「フリートラック」などで検索すると自由に使ってもいいビートがたくさんアップされている
マルチトラックでの録音ができるので、ビートにラップをを重ねながら録音したり、いくつかのテイクを録音しながら自分の好きなテイクを残したりと、プロスタジオのようにレコーディングができ、録音後に簡単なミキシングの作業もできる。録音時のマイクは、付属のイヤホンマイクで初めてみるのがおすすめ。
ちなみにマルチトラックで録音する場合には、スピーカーからトラックの音を出して、iPhoneの本体内蔵マイクで録音することはできない。マイクがスピーカーからのトラックの音も録音してしまうからだ。最低限、iPhone付属イヤホンを用意しよう。
録音が楽しくなり、もっといい音で録りたいと思った方はiPhoneで使えるレコーディング用マイクを検討しよう。Lightningケーブルでそのまま接続できるタイプのものが多く発売されているので、まずはそういった簡単に接続できる製品が無難。個人的には少し値段はするがShureのMV51がおすすめ。
稀に専用アプリしか使えないマイクもあるので注意しよう。またビデオやライブ撮影用のステレオマイクはボーカルには向かないので、どうせ買うならボーカル・楽器用のモノラルマイクにしておこう。
現在はiPhone, iPadで使用できる本格的なオーディオインターフェースも発売されているので、その気になればスタジオで見かけるようなコンデンサーマイクで、iPhoneにレコーディングすることもできる。
GarageBandの使い方は非常に簡単になっているが、それでも初めての操作はやはり戸惑うだろう。しかしそこは素晴らしいことにYouTubeで検索すればいくらでも教則のビデオが無料で見れる状態になっている。こういったアプリの使い方に関しては、本よりも動画の方が圧倒的にわかりやすいので参考にしてみてほしい。
▽Youtubeで検索すれば、使い方説明動画も多数見つかる
iPhoneでの制作が楽しくなってきたら、パソコンとDAWを揃えてもいいし、次のステップはiPadでも良いかもしれない。Madlibも最近の主な制作機材はiPadと語っているし、LEXもiPadで録音やビート制作をしているそうだ。
▽iPadを中心としたLEXの制作風景
これだけ進化した音楽制作環境が無料で使えるというのは控えめにいって革命だ。さらにやり方を動画で無料で勉強できる環境まであるので、ちょっとでも音楽制作に興味があるならやらない理由が見つからない。
「いつかビートを作ってみたい」「ラップしてみたい」と思っていた方はまさに今がその時。この週末は外出を控え、自宅でビート作りにチャレンジしてみよう!
written by Yui Tamura
photo:
https://www.apple.com/jp/