EXILE HIROがm-floの☆Takuに語った、LDHで世界のエンタメと勝負する本当の理由と、日本人アーティスト育成の未来

海外進出目覚ましいクリエイティブ集団LDH WORLDを率いるチーフ・クリエイティブ・オフィサー、EXILE HIROと☆TakuがJ-ポップカルチャーの未来を語り合うトーク前編
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2018.10.18 23:00

みなさん、LDHってキーワードを聞いたらどういうものが頭に浮かびますか? 「R.Y.U.S.E.I.」? はい。確かにカラオケへいったら必ず聞きますよね。EXILE? 今では日本を代表するビッググループですよね。他にもダンススクールや飲食、さらにアパレルなどさまざまなジャンルをエンタメ業界の中で発信していますよね。忘れちゃいけないのはm-floもLDHに入ってること。そういったきっかけから、LDHを知ってびっくりしたことが3つありました。①どこよりも本気でグローバルマーケットで戦おうとしている ②blockfmでもおなじみのAfrojackがLDH EUROPEの社長(CEO) ③これだけ成功しているのに、今も危機感をもっている人たちが多い。そんなことを思ってから、LDHのファウンダー、そしてLDHの世界戦略を担うLDH WORLDのチーフ・クリエイティブ・オフィサーでもあるHIROさんにいろいろと質問をさせていただきました(☆Taku Takahashi)



ヨーロッパやアメリカに広げようという想いよりも人ありきで広がっていった



☆Taku:今までいろんな事務所だったり、レーベルが「海外に進出することは大事だ」といってるところを見たんです。そんな中、LDHほど本気でやっている会社は見たことがないと感じたんですね。2017年のBillboardのインタビューによると、それまで積み重ねてきた海外展開を整理し、組織化したとのことでしたが、Afrojackをアーティスト契約じゃなくてLDH EUROPEのCEOとして誘ったり、LDHのアーティストの作品に海外のプロデューサーを積極的に取り入れたり、ロサンゼルスにダンススクール「EXPG」やレストラン「THE ROBATA」を出店したり、どれも「整理」という域を超えていて。こうした海外進出への意識というのはいつごろから始まったんですか?



HIRO:そもそもLDHの成り立ちが、ものすごく小さい場所から一つひとつの出会いを大切にして、その積み重ねで組織が大きくなっていくというものでした。EXILEもそうだし、今のLDHのスタッフ、役員のみんなもそう。そうやって人と人との出会いを繰り返して「これおもしろいね」、「あれおもしろいね」みたいな感じで、初めは同好会ノリというか、友達同士の部活ノリというか、そういうところから会社になって、組織になってどんどん広がってきた。そういう成り立ちでいろいろと夢を叶えてきているというのがあるんです。


海外展開は常に夢の延長線上にありました。もともと自分も音楽が好きで、欧米の音楽に触発されてダンスを始めましたし、向こうのダンスシーンとか、エンタテインメント業界に憧れてというのが強くありました。でも自分は日本で生まれて日本で育ったし、日本の音楽業界、芸能界で育ってきたので、影響を受けた欧米のエンタテインメントや音楽性と日本で影響を受けた音楽やエンタテインメントを自分達の感覚でMIXして、日本のマーケットに日本人として表現することを追求してきました。


はじめは夢を叶えたいという想いだけで突き進んできましたし、世界を意識するなんて余裕は無かったのですが、とにかく夢にたいして貪欲に頑張っていった結果、仲間がどんどん集って、今のようなLDHになっていったんだと思います。

要するに人と人との出会い。例えばAfrojackにしても、VERBALの人脈から広がっていきましたし、そのAfrojackとの取り組みから、LDH EUROPEという事業をヨーロッパに広げようとなりましたし。




人ありきで繋がっていった延長線上の、その継続でどんどん形になっていってるので、新体制を2017年のBillboardのインタビューでは「整理」、「組織化」といった言葉で説明したんだと思います。周囲の、所属や社員、応援していただいているファンの皆さんにもそうだし、「今のLDHはこういう仕組みでこういう夢を持って、こういう組織でいきますよ」ということをわかりやすく表現したくて、今までの出会いなどを新体制という組織で示したんです。その新体制になったときにそういったものが明確になり、本当にギアチェンジして「更に上のステージへいって本気出していくぞ」という感じがあって、そこがスタートラインになっているのかなというのはあります。その後、僕が一番加速中のときに☆Takuくんにも参加してもらって、今も中枢にいるじゃないですか。だからそういう意味で、ただ大きくなれば良いというわけじゃなくて、本当の成果を出していきたいですし、一緒に同じチームメイトとしてやってくれる人と一緒に結果を出したいという気持ちです。


今まで日本でたくさん夢を叶えてきて、もちろんこれからも日本でも夢を叶えていきたいと思ってますけど、その夢の広がりが欧米、アジアに向かって広がっていき、今はそれが形になって具現化できる状態で、自分のマインドも今はそっちに向かっています。もちろん日本の若いJr. EXILE世代のグループを育てたり、ライヴや新しいエンタテインメントを作ったりと、今まで通りの日本での活動というものはしっかりファンの皆さんに楽しんでもらえるように作っていくんですけど、やっぱり今、自分の情熱のベクトルは海外に向けて強くなってきています。☆Takuくんもそこで参加してくれたからそういう風に感じるのかなというのはありますね。背伸びはしないけど、本気で俺達流の、最初に話した人と人との出会いを大切に、事業を拡大という意味だけじゃなくて、すごく少数でも良いから、地に足をつけて一歩ずつ広げていきたいと思っています。



「LDHみたいなものを作りたい」という夢を持っていたAfrojack



☆Taku:AfrojackがLDH EUROPEのCEOになったと聞いてびっくりしたんです。一般的に彼がヨーロッパオフィスの社長になっていることは、意外と日本で知られていなくて。「LDHとアーティスト契約したの?」みたいな話が目立っているように感じます。そのAfrojackと一緒にヨーロッパでやろうとしていることを説明して頂いてもいいですか?



HIRO:まず、AfrojackがCEOになるというのは、LDHのブランディングというか、今のLDHの仕組みを彼がとても理解していて、将来のヴィジョンとして「LDHみたいな組織を作りたい」という夢をしっかりと持っていたので、CEOになってもらったという経緯があるんです。自分自身もダンサー出身で、自分がやり始めたとき、まさかここまで大きくなって、LDHのような仕組みができるとは思わなかった。そういうAfrojackの夢を叶えたいという気持ちを僕達に託してくれたので、そこはうれしかったし、共感して「じゃあ、AfrojackがCEOでやろう」とスタートしたのが始まりなんです。それで今、具体的にやろうとしていることのひとつはアーティスト発掘のためのオーディション。今、最終審査まで進んでいて、ちょうど今日、その最終審査の子達が合宿のために来日するんです。







HIRO:ニューヨーク、ロサンゼルス、東京、大阪、台北、アムステルダム、ロッテルダム、ロンドンからオーディションに参加してもらいました。僕達にはEXILEのTAKAHIROや三代目J Soul Brothersの今市、登坂を生み出したヴォーカル・バトル・オーディションがあるので、その仕組みに合わせて海外で選抜して最終審査は日本で合宿するという方向で考えました。Afrojackも日本でのこの仕組み自体を、ヨーロッパに置き換えてやっていきたいというのがあったし、日本の育成システムみたいなものをその子達にも感じてもらうということで日本に呼ぶことになりました。さすがにAfrojackの名前があるので、本格的に歌える子達が集まってきています。今はそこで彼がプロデュースするガールズユニットを作る事が今ひとつの軸になっているんです。実際には男の子も集まったんだけど、女の子の方が圧倒的に集まった。人ありきなので、将来はボーイズグループも作るかもしれないですが、今はガールズグループ。とにかく、アーティストを育てるというところがひとつのヨーロッパの軸になっています。







HIRO:彼がプロデュースするだけあって、色々な選択肢があると思うんですけど、もしかしたら日本人が入ってもいいのかもしれない。でもそれは、これからその子達をみて、AfrojackやVERBALたちと相談しながら決めていければと思っています。今、せっかくLDH JAPAN、LDH EUROPE、LDH USAがあって、さらにLDH ASIAから中国の展開もあるので、そこの垣根は取っ払って、どうやれば一番そのユニットが輝くのか、プロモーションプランを考えていきたいなと。


一番の強みはAfrojackという具体的な名前を持つプロデューサーがいること


☆Taku:いわゆるオーディションありきじゃなくて、選ばれたアーティストありきでやっていくということですか?


HIRO:アーティストありきで発想が膨らんできたのがLDHなので。スタイルはそうなるのかなと思っています。ヨーロッパでデビューするのが一番可能性としては高いと思うんですけど、逆に日本だったら僕らのホームなので、様々な仕掛けを考えやすいですし、もしかしたらアジアに向けてもいいプロモーションができるかもしれない。そういうことを今、臨機応変に考えている状況なんです。でも一番強いのはAfrojackというプロデューサーがいること。その子達が成功するまでというと、まだどうなるかわからないけど、形になるのはものすごく早いと思いますね。そこから本物の成果を生んで、本当に世界のスーパースターになるかというのはこれからの正念場だし、その子達の力だとは思うんですが、まず、スタートラインとしてそのオーディションをやってユニット作るという意味では、ヨーロッパは早く形が見えてくるかなと思っています。


あとAfrojackは世界で活躍しているので、彼を中心に、横の繋がりで大きなフェスを作りたいですね。ヨーロッパでももちろん、それを日本に輸入したりとか。ULTRAとかTomorrowlandのように、世界を周れるように、世界各国のマーケットに輸出できる、そういうフェスも作れたらいいなと。また、EXPGのようなスクールからDJやダンサーになりたい生徒を育てたり…とかも考えています。Afrojack達の雰囲気でどういう若者を育てていくかというのは日本とは変わるかもしれないですが、そういう夢の基地となる学校も作りたいです。しかし、今の時点でのLDH EUROPEの強みというのは、先ほど言ったように、本格的なアーティストを作るという部分を一番具現化できるところなのかなと思っていますね。そこはすごくワクワクしているところです。





☆Taku:オーディションの結果は、日本でもどんどん発表していく予定ですか?


HIRO:今、「週刊EXILE」でオーディションの密着を放送していますが、大々的に日本で広げるというよりは、自社メディアで徐々に盛り上げていくという感じです。本当に世界のマーケットでの活躍を目指しているので、日本で盛り上げるタイミングがきたら、日本のマーケットに合った戦略でプロモーションは仕掛けていきたいとは思っています。


EXILE HIROインタビュー【後編】へ続く

EXILE HIROとm-floの☆Takuが語る、J-POP輸出の未来。LDH海外進出は日本エンタメに追い風か? 逆風か?



▶︎LDH
LDH Official site:https://www.ldh.co.jp/

LDH Twitter:https://twitter.com/LDH_PR_OFFICIAL
LDH YouTube:https://www.youtube.com/user/ldhofficial


Interview by ☆Taku Takahashi
written by block.fm編集部




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