今、“レイヴ”が重要なキーワードである理由とは?DJ DARUMAとKosuke Takadaが語る現在進行系のレイヴ

EDGE HOUSE RADIO「レイヴ特集」で、DJ DARUMAとKosuke Takadaが現在進行形のレイヴを過去の体験を交えてトーク。
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2021.01.20 09:00

DJ DARUMAがナビゲートする番組「EDGE HOUSE RADIO」。1月12日の放送では、渋谷VISIONのレギュラーパーティー「EDGE HOUSE」をDJ DARUMAとともに仕掛けるオーガナイザーのKosuke Takadaの2人が、「レイヴ特集」と題して現在進行形のレイヴを過去の体験を交えてトーク。今また“レイヴ”がキーワードになっている理由とは?


アーカイブはこちらから視聴できる。

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DJ DARUMA(以下、D):80年代終わりから90年代頭のレイヴブームのとき、僕は高校生くらいだったんですが、Kosukeくんは?


Kosuke Takada(以下、K):僕は音を聴いてただけ。あとは雑誌からレイヴカルチャーというのを知って憧れを持った感じかな。もちろんテレビでもラジオでもレイヴの情報なんてないし、インターネットがそんなに普及してない頃だったから、雑誌からイギリスのレイヴカルチャーというものを知ったかな。


D:イギリスで「クリミナル・ジャスティス・アクト(※Criminal Justice and Public Order Act 1994)」っていう「レイヴ禁止法」とも言われる法律が制定されて。そこに反発するようにどんどんアンダーグラウンドになっていったのがレイヴの始まりなのかな、と思っていて。昔『PUMP』っていうクラブカルチャーを伝える日本の雑誌があったんだけど、そこで中尊寺ゆつこさんが漫画に書いてたんですよ。


K:あははは!『PUMP』ってあったね。


D:そこに書いてあったのが、レイヴに参加するにはまず紙のフライヤーを街でもらってフライヤーに記載されている場所に行く。そこに行くと、電話番号だけ書かれた紙が貼ってあって、そこに電話するとまた違う場所に行けとだけ言われる。指示された場所に行って初めて地図をもらって、その地図の場所がようやくレイヴ会場、みたいな話。


K:しかも入場無料だったりもするんだよね。そのときの社会情勢も今の2020年、2021年の世界にすごく似ていて。今とてもリアルに感じているところはあります。


D:この間もフランスで2500人集まって、なんてニュースもあったけど。映像見ました?


K:見た見た。



D:ウェアハウスみたいなところで若者がバンバン集まって、ハードなテクノがずっとかかってて。で、外から入ってきた警察と対峙して。


K:映画みたいだったよね。


D:Prodigyのアルバムの中ジャケで、崖のこちら側でレイヴしていて、崖の向こう側には警察がいて、その間にかかってるつり橋をレイヴァーが中指立てながら切ろうとしてる、っていう絵があって。要は、反体制じゃないですか。その感じが今まさにあるのかなと。


K:社会不安っていうのはバックにあるよね。そしてそれを警察は取り締まるっていう図式。


D:レイヴカルチャーが日本に入ってきたのは「Rainbow」とかからなのかな?


K:最初の「Rainbow2000」が96年の日本ランドだと思う。その翌年が白山。トランスのレイヴという部分で言うと、もう少し前に「Equinox」とかがあったけど。あとは「Natural High」っていうレイヴもあったね。「Natural High」はテクノとハイエナジーみたいな音楽がメインだった。





D:Kosukeくんが初めてレイヴを体験したのはいつでした?


K:「Equinox」は体験してなくて「Rainbow2000」だね、白山の。地元で、そのとき金沢にいたから。「ああ、レイヴってこういう感じなんだ」って。その後、本格的に遊びに行くようになったのは2003、2004年くらいの「Mother」。白馬栂池高原の「S.O.S.」っていうトランスパーティーがきっかけでハマった。毎年規模がどんどんデカくなっていったのが面白かったよね。2000人だったものが4000人、5000人に。3日間になり、4日間になりみたいな。


D:ひとつ勘違いしてほしくないのは、僕らは懐古主義なんじゃなくて、あくまで体験を話してるだけなんだけど。今、ヒップホップが若者にすごく支持されてるみたいな感じで、その当時テクノやトランスの4つ打ちミュージックが若者の中ですごく支持されてる時期だったんですよね。それがどんどん大きくなっていった感じ。


K:80年代の後半にハウスが日本に入ってきて、90年代後半はトランスとレイヴ文化が入ってきて、そこに若者がのめり込んでいったんだよね。


D:1999、2000年くらいにトランスブームが来て、それこそ代々木公園とかでフリーレイヴみたいなのをやってたりとか。


K:毎週やってたね。


D:しかも代々木公園の中、何箇所でもやってたんですよ。それでおまわりさんが来て「音出しちゃダメです」って止められて。逮捕されるとかそんな感じではなかったけど。


K:そう。公園の中にDJブースがあると怒られるから、公園の外にDJブースだけがあって、お客さんは中にいてっていう。今後もまた増えていくかなって僕は思うんですよね。


D:室内で踊るっていうのが難しいから、オープンエアでマスクして、みたいになってきますよね。


K:5月くらいから野外は増えそうだよね。そしてレイヴミュージックもまた戻ってくるかなとも感じているので。




D:最近なぜまたレイヴがキーワードになっているのかなんですけど、やっぱりさっき話した、世界情勢が不安になっている、そしてパーティーができないっていうところですよね。


K:締め付けられると弾けだしたくなるというか、それが人類の歴史の繰り返しで、そこで革命が起きて大きく進歩してきているはずなので。今回もそういう大きい風船が膨らんできていて、まさに爆発しようとしているのではないかなと思うんですよね。ストレスも溜まって、みんな言うこと聞いてはいたけどもう無理、となってくる。


D:あとは、いわゆるレイヴから進化したものがだんだん商業化されて大型フェスになっていったワケじゃないですか、それに対するアンチテーゼみたいなものもあるのかなって。2500人集まったフランスのパーティーも、DJとかも完全にローカルなんですよね。それが正しいというか。DJの名前で集まるというより「音楽にのって踊りてぇ!」っていう純粋にそれだけのエネルギーでみんな集まってるところがあるなと。


K:そうだよね。商業的になった野外フェスは、大きくなりすぎたんじゃないのかな。もちろん行くと楽しいんだけど。そういうタイミングでコロナ禍がやってきて、フェスができなくなって、1回ゼロベースになったのかなとフランスのパーティーを見て感じましたけどね。ちゃんと許可をもらってやっているクラブとかフェスは「お上の言うことには従います」って感じだったけど、「そろそろ言うこと聞けないよ」っていうのが新人類なのかもしれないし。これから何かが起こりそうな。ただ、平和的にやってほしいけどね。


D:そう、暴力沙汰になるのはちょっとね。反体制って言っても怪我人はもちろん出てほしくないし、揉め事が起きてほしいわけじゃないんだけど、やっぱりエネルギーとしてはピュアだなと感じます。「踊って何が悪い」っていう感じだと思うんですよね、フランスの一件も。集まることによってコロナが広まってしまうという不安は絶対で、もっとやれとも僕は思わないですけど。出てくるべくして出てきた流れなのかなと。


K:ワクチンができて、世界的にも感染拡大が止まって、ある程度安心したタイミングでクラブもフェスも復活するだろうけど、一気に復活というわけにはいかないと思うので、そのタイミングでそういうイリーガルなレイヴをやってたものが割と支持されていくんじゃないかなという気もしてるね。






【番組情報】




EDGE HOUSE RADIO

毎月第2火曜 21:00-22:00放送

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photo:https://www.pexels.com/ja-jp/photo/3536274/





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