銭湯でフェス!?ダンス風呂屋の魅力

「風呂とフロアを沸かす」老舗銭湯で開催のDJイベント
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2018.08.07 08:00

「風呂とフロアを沸かす」老舗銭湯で開催のDJイベント


会場となるのは、江戸終わりから明治初めに創業された東京都台東区の銭湯「日の出湯」。100年以上地域の人々に親しまれてきた一般公衆浴場の浴室が、ダンスフロアへと変身するのが「ダンス風呂屋」だ。


これまで、2017年1月、6月、2018年1月の3度開催されている。




騒音問題を解決サイレントフェスとは


銭湯は音がよく響くし、街中にある。そんな場所で大音量を伴うDJイベントをするなんて、と思う人も多いことだろう。しかし、ダンス風呂屋は「サイレントフェス」なのでそのような騒音問題とは無縁なのだ。


サイレントフェスでは、1人1人に専用のワイヤレスヘッドホンが貸し出される。そこからリアルタイムで音が聴こえてくるので、ヘッドホンをしている人同士では普通のフェスと同じようにDJやライブを共有することができる。ヘッドホンをしていなければその場は無音となるので、爆音が必要となるようなイベントも場所にとらわれることなく開催することができるのだ。世界中でも「Silent Disco」として注目を集めている。


音量も各々調整できるのもポイントだ。大音量が大好きな人は満足いくまで音量を上げられる。逆に、あまり大音量の音楽イベントに馴染みのない人や少し苦手な人は音量を下げられるので、参加への敷居が低くなるのではないだろうか。




「ダンス風呂屋タイム」しかけも盛り沢山のDJタイム


イベント当日は銭湯全館が貸切にされ、男湯フロア・女湯フロアの「2風呂ア(フロア)制」で行われる。フロア間は自由に行き来することができ、それぞれで違ったDJプレイを楽しめるようになっている。各フロア内でも、踊って全身で音楽を楽しむ一般的なDJイベント同様の過ごし方に加え、ヘッドホンの音量を下げて隣の人と話したり、風呂桶や浴槽の縁に腰かけたりと、好きなように過ごせるのも魅力だ。DJ中はお湯は抜いてあるので、滑って転んでしまう心配は要らない。


浴室の装飾には「風呂(プロ)ジェクションマッピング」が導入されている。壁面に映し出される光の演出で、視覚からも音楽を感じることができるのだ。ミラーボールやレーザーの光も使われ、非現実的でわくわくする空間を生み出している。お風呂ダンサーが登場することもあり、よりいっそうフロアの空気を温めてくれる。




「お風呂タイム」音楽を楽しんだ後はみんなで入浴


ダンス風呂屋タイムが終わったら浴槽にお湯をため、さっきまでダンスフロアとなっていた浴室が元の姿に戻る時だ。お湯を入れている間は、ロビーで日の出湯のオーナーとお風呂対談が楽しめる。サイレントフェスや日の出湯について聞くことができ、この後のお風呂タイムでの会話の種にも繋げることができるようになっている。


お湯がいっぱいになったら、ダンスで流した汗を今度はお湯で流すことができる時間となる。浴槽に浸かって隣の人と話しながら、心も体もリラックスしよう。ダンス風呂屋タイムで生まれた不思議な一体感は、お風呂タイムでも和やかな空気を作り出す。一緒に同じ音楽で盛り上がった人との裸の付き合いを通じて、新しい人と人との輪ができあがるのは、心地よい体験となるだろう。




人と人とがゆるく繋がる、あたたかい空間


このようにダンス風呂屋タイムとお風呂タイムの2部で構成されているので、前半では踊って、後半ではお湯で、体を温めることができる。体を温めることで心もゆるまり、その場で出会った人と自然と仲良くなれる。人と人とがゆるく繋がることができる、そのあたたかさがダンス風呂屋の魅力だ。


開催場所が銭湯ということで、入場できる人数は40人ほどとなっている。人数が多すぎないことも、人との繋がりを生むのにちょうど良い効果があるのかもしれない。銭湯は最近数を減らしつつあるが、ダンス風呂屋を通じて銭湯への興味関心を深める助けにもなっている。


ダンス風呂屋は、あたたかいお風呂に浸かりたくなるような季節を中心に、これからも継続して開催が予定されているとのことだ。銭湯が好きだけどDJイベントは初めての人、DJイベントは良く行くけど銭湯には馴染みがない人、どちらも大好きな人、色々な人がゆるく楽しむことができる。少しでも興味を持った人はぜひ参加してみてほしい。


photo: https://www.facebook.com/pg/silent.it000/photos/?ref=page_internal


written by 編集部


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