アメリカで90年代にヒップホップアーティストとして名を馳せ、今では俳優としての活躍も目覚ましいCommon(コモン)がある企業の研修プログラムに参加したことで話題になった。
世界規模で展開するコーヒーチェーンのスターバックスコーヒーが、アメリカ国内の8000を超える店舗を対象に人種差別に関するトレーニングを導入したそう。その一環に映像を使った教習があり、そこにCommonが登場しナレーションを担当しているとのことだ。
今回、スターバックスコーヒーがこの研修に踏み切った要因のひとつとして、今年4月に起きたある事件をあげている。
フィラデルフィア州にあるスターバックス店内で、友人と待ち合わせしていた黒人男性2人が"何も頼んでいないから"という理由で警察に逮捕されてしまったのだ。この様子を一部始終カメラに収めていた女性が、スターバックスコーヒーにTwitterを通じて抗議したことで事態は発覚、スターバックスコーヒーは下記の謝罪文をツイートした。
We apologize to the two individuals and our customers for what took place at our Philadelphia store on Thursday. pic.twitter.com/suUsytXHks
— Starbucks Coffee (@Starbucks) April 14, 2018
「(逮捕された)おふたりとお客様にフィラデルフィアの店舗で起きたことについて謝罪いたします」
Commonは先日アメリカのニュース番組に出演し、このプロジェクトに協力したことについて語った。
「スターバックスコーヒーというのは、黒人がどれだけ酷い扱いを受けているかがわかるまさに社会の縮図で、僕はそういった話題の一部になりたかった」と、協力するに至ったきっかけを説明した。
スターバックスコーヒーの会長であるハワード・シュルツ氏と知り合ったことも参加した一因だと話した。「彼は警察と地域がどのように寄り添い合っているのかを理解しようと本当に努力していた。新たな政策のひとつとして、僕は彼とともに、行政のサービスが行き届いていない地域で職を得ようとしている人たちのために動いた」と、シュルツ氏の取り組みに触発されたという。
最後に彼は「単なる話題だけで終わらせちゃいけない。こういう話題が多く取り上げられていることは、(問題を解決する)ステップのひとつだけど、僕のような黒人が行動を起こして、地域に出向く姿を見たがっている人は多い。コミュニティの中で行動している人たちと団結することで、各地域のために実際どんな形で貢献できるのかを学ばないといけない」と、差別的な偏見を取り払っていくのに必要なアクションについて独自の見解を述べた。
Kanye West(カニエ・ウェスト)が、差別的な発言を繰り返しているトランプ大統領を支持すると表明したり、Childish Gambino(チャイルディッシュ・ガンビーノ)がアメリカの絶えない黒人差別や銃社会を風刺する楽曲を発表したりと、全米チャートを彩る多大な影響力を持つラッパーたちが物議を醸す持論を数多く展開している。現在、日本でもヒップホップがブームを迎えているが、今後このように力強い意見を持ったアーティストたちが現れることもあるのかもしれない。
written by Kenji Takeda
source: https://www.complex.com/music/2018/05/common-on-teaming-up-with-starbucks-for-anti-bias-training-i-wanted-to-be-part-of-that-conversation
https://www.complex.com/life/2018/04/2-black-men-are-arrested-for-waiting-at-a-starbucks
photo: Flickr