ミュージックビデオが表現するシャンパンの魅力。エンゼルシャンパンとマライア・キャリーの関係とは?

ミュージックビデオに登場するシャンパンが表現している世界観を楽曲とともに考察。
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2019.04.05 03:00

「シャンパン」と聞いて、あなたは何をイメージするだろうか?華やかなパーティーを彩る重要なアイテムとして思い浮かべる人も多いだろう。実際に僕がDJをしているクラブ等でも、華やかなドリンクの象徴としてパーティーには欠かせないものになっている。洋楽のミュージックビデオでもパーティーシーンで映ることが多いシャンパンだが、深掘りしてみると華やかさ以外に様々なことを表現するために使われていることがわかった。そこで今回は音楽という切り口で、ヒット曲とシャンパンの関係、そしてシャンパンが表現する深い魅力を考察してみたい。





Ariana Grande (アリアナ・グランデ)「7 rings」



テロ事件や恋人の死など様々な悲劇に見舞われつつ、悲しみを乗り越え多くの女性に勇気と希望を与えたアリアナ・グランデの新曲が、この「7 rings」だ。恋人と婚約解消した後に、親友を連れて高級ジュエリーブランド「ティファニー」で7つの婚約指輪を購入し、自分と親友たちにプレゼントした実話をもとに作られた楽曲である。ミュージックビデオには、品川ナンバーの車など彼女が好きな日本をモチーフにした要素が多く出てくることも話題になった。


「ティファニーで朝食、そしてたくさんのシャンパンボトル」というリリックから始まり、「七つのリング」と日本語で書かれたラベルが貼られたシャンパンも登場。「“お金で解決できない”なんて言う人は充分なお金を持っていなかった」とラッパーのようにボースティング(この場合、金持ち自慢)する歌詞が、今までの爽やかで前向きな楽曲の印象とはうって変わって新鮮に聞こえる。


トラップビートも相まって強い女性の歌としても捉えられるが、これは婚約破棄を経ての親友たちとの結びつきの強さを物語る、彼女なりの新しい女性賛歌だろう。そこかしこに映し出されるシャンパンボトルやシャンパンタワーが、彼女たちの華やかさと共に親友同士の繋がりの強さを演出するのに一役買っている。



Rihanna (リアーナ)「Hard ft. Jeezy」



強い女性の象徴として語られることの多いリアーナの、2009年発売のアルバム『Rated R』からの1曲。タイトルが示すように、自立した強い女性を表現している。ミュージックビデオでは屈強な男性アーミーを従え、男性社会のイメージが強い「戦場」という場所に凛々しく立つ彼女の姿をフィーチャー。どんな場所にいても揺るがない女性の芯の強さが描かれている。戦場には似つかわしくないデザインのドレスに身を包みながら銃を乱射、「I’m so hard(私はとても強いの)」と連呼するリアーナにぐいぐいと引き込まれてしまうビデオだ。


ビデオのワンシーンに、リアーナが軍人達とともにカードでギャンブルに興じるシーンがあるが、そのテーブルにあるのは天使の羽が印象的な「エンジェルシャンパン」だ。2017年末に日本上陸を果たしたシャンパンだが、すでに海外では大物アーティストの作品に多くフィーチャーされている。リアーナのように芯のある女性のイメージを持つアーティストの、美しさやゴージャスさをさらに際立たせるアイテムとして認知されているのだ。


戦場、軍服や銃、ギャンブルなど男性社会のイメージとは真逆にある華やかなエンジェルシャンパンを映し出すことによって、リアーナの持つ女性の強さがより一層際立って印象に残るミュージックビデオに仕上がっている。



Bruno Mars (ブルーノ・マーズ)「That’s What I Like」



シャンパンが登場する楽曲は何も女性アーティストのものだけではない。2016年末にリリースされ、いまだにロングヒットを続けるブルーノ・マーズのアルバム『24K Magic』。彼のキャリアのピークを位置付けた、記念碑的作品としても知られる同アルバムからシングルカットされヒットしたのがこの「That’s What I Like」である。「(愛する)君のためなら何だってあげたい」と甘〜く歌いあげる一曲で、富も名声も得た彼がそのゴージャスっぷりを臆面もなく、好きな女性のために捧げる内容も夢があって素晴らしい。


サビでは「眩しく輝くジュエリー」と同等の扱いで「よく冷えたストロベリーシャンパン」が登場。シャンパンが愛情の表現と共にゴージャスさを演出し、ロマンチックな歌をさらに甘く味付けている。ミュージックビデオはブルーノのチャーミングなダンスが全面にフィーチャーされ、そこに歌詞の内容がイラストとして絡み合うユニークな内容になっている。


先程紹介した「ストロベリーシャンパン」のくだりでは、シャンパングラスやドン・ペリニヨンを思わせるボトルのイラストが歌に合わせて登場。ゴージャスな歌詞の内容とは裏腹にシンプルなポップさを追求したビデオからは、スターになってもピュアなブルーノが垣間見えるようだ。



Ne-Yo (ニーヨ)「Champagne Life」



続いても男性からの愛情を歌った楽曲を紹介しよう。タイトルはずばり「シャンパン・ライフ」。ここ日本でも圧倒的な人気を誇るNe-Yoによる2010年のアルバム『Libra Scale』からのセカンド・シングル。「ようこそシャンパン・ライフへ」「手拍子さえもシャンパン・ライフで変わってくる」と歌詞にも全編シャンパンが取り上げられ、シャンパンというお酒が醸し出す特別感を大いに歌い上げたミッドテンポのダンス・チューンだ。


ミュージックビデオにもアルマン・ド・ブリニャックがふんだんに使用され、楽曲の世界観を演出している。黒のスーツとハットで決めて踊り歌うNe-Yoがとにかくセクシーで、彼の持つ魅力を存分に引き出しているのも印象的。ちなみにこのビデオは「Beautiful Monster」「One in a Million」という楽曲のビデオともストーリーが繋がっているので、一緒に観るとまた違う楽しみ方もできそう。



Mariah Carey (マライア・キャリー)「Obsessed (Remix) ft. Gucci Mane」



最後に紹介するのはリアーナ「Hard」と同じくエンジェルシャンパンがミュージックビデオにフィーチャーされた楽曲。マライア・キャリーの2009年に発表されたアルバム『Memoirs of an Imperfect Angel』からのファーストシングル「Obsessed」だ。当時、彼女の元夫であるニック・キャノンを中傷したとされるエミネムに対してのアンサーソングではないかとも言われており、マライアのキャリアの中でも後期のスマッシュ・ヒット作品として知られている。「なぜそんなに私に執着するの?」と小悪魔的に歌うマライアが魅力的な楽曲だ。


ミュージックビデオでは白いドレスに身を包み、胸元には「angel」という文字がかたどられた大きなネックレスをつけるマライア。そんな彼女の傍らには、天使の羽のデザインが印象的なエンジェルシャンパンのシルバーボトルが。白いドレスとシャンパンで天使の無垢な印象を魅せつつ、甘い毒を含んだリリックを歌うマライアはまさに「Imperfect Angel(未完成な天使)」と呼ぶにふさわしい。


美しさや華やかさはもちろん、ピュアさやセクシーさなど、女性が持つ様々な魅力を多角的に表現したビデオに仕上がっている。


ちなみにこのミュージックビデオに使用されているシルバーボトルがヴィンテージ2004として、今年の3月に限定復刻している。今しか手に入らない特別なボトルなので、記念日のプレゼントにもぴったりだ。特別な日を彩るシャンパンとして、ぜひチョイスしてみてはいかがだろう。




ここでは5本のミュージックビデオを紹介したが、他にもシャンパンと音楽が密接に絡み合った作品は多い。この5作品においても華やかさだけでなく、女性同士の友情、強さやセクシーさ、さらには男性からの愛の表現など、シャンパンが表現する奥深い魅力に改めて驚かされた。シャンパンによって演出できる様々な印象は、音楽と組み合わせることでさらに魅力が増すだろう。あなたもぜひこの春の季節の歓迎会やパーティー、お花見などでシャンパンと音楽をうまく取り入れて、素晴らしい空間と思い出を彩ってみてはいかがだろうか。



Photo by Amazon

Written by TJO



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