ディスコ再ブームの一端を担うフランスのアーティストBreakbot(ブレイクボット)がディスコにハマったきっかけの話

彼らこそがディスコの神様!?Breakbotの音楽ルーツを探る
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2018.05.27 06:28

ディスコ再ブームの10年代




10年代の音楽シーンを振り返ってみると、ディスコ再ブームの年代だった。ブームの波はDaft Punkの「Random Access Memories」が発端だ。今回は、フレンチ・ディスコを際立たせているBreakbotにスポットを当ててみよう。



Breakbotのキャリアのスタート


フランス出身のBreakbotは、1981年10月5日生まれ。本名はティボルト・バーランドである。スピンフォコムというコンピューターグラフィックを学ぶ大学に進学し、広告や映像制作に携わるようになる。卒業時に共同制作した短編映画「Overtime」は、オタワ国際アニメーションフェスティバルの最優秀卒業作品賞及び、シュトゥットガルト国際アニメーション映画祭のヤングアニメーション賞を受賞した。


それと同時に、Breakbotは楽曲のリミックスも手がけ始める。2008年にPnau「Baby」のリミックス曲と、オリジナル楽曲の「Penelope Pitstop」が、レースゲームのグランツーリスモ5に選ばれている。

その後justice、air、mgmtなどの大物アーティストのリミックスを数多く手がけ、知名度を上げていく。彼のディスコ・リミックス曲は世界中のDJの手によってプレイされ、世界的にもBreakbotの名が広がっていった。Justiceの「Let There Be Light」のリミックス曲を聴いたEd Banger Recordsの社長busy Pが目を留めてレーベル契約に至る。なお、Ed Banger Recordsはdaft punkやjusticeといったアーティストを売れっ子にしたレーベルである。




2010年にリリースしたEP「Baby I'm Yours」や、翌年リリースしたEP「Fantasy」も好評だった。「Baby I'm Yours」は、後にヒットしたBruno Marsのディスコ曲「Treasure」に大変類似しており、Breakbotを作者に含んで米国作曲家作詞家出版者協会に再登録されたといういきさつがある。




そして、デビュー・アルバムとなったのは2012年リリースの「By Your Side」で、フランスのチャートで19位を獲得している。また2016年にリリースした2ndアルバム「Still Waters」も41位と中々の健闘ぶりである。



Breakbotはなぜディスコが好きになったのか


Breakbotは肩下までのロング・ヘアに口ひげ、細身の体というスタイルが特徴だ。その姿はイエス・キリストのようだとして、「ディスコ・ジーザス」というニック・ネームが付いている。


1981年生まれのBreakbotにとって、初代のディスコ・ブームは幼少期の出来事だった。にもかかわらず、ディスコに惹かれたのはどういうことだったのか。2016年にSpincoasterが行ったメール・インタビューで、Breakbotは「身近にレコード・コレクターがいて、それに影響を受けて自分でもレコードを収集するようになった」と説明している。古いレコードを集め、その中にディスコを中心とする好みの音楽があったときにときめきを感じる様子だ。さらにBreakbotは、ディスコ再ブームとなっているこの時代を大変嬉しく思っている。このジャンルが世界中に浸透していけば、もっと楽しみが増えると語る。


そして2016年にリリースした「2Good4Me」で日本のロリータ・ファッションに身を包んだ女性がMVに登場していることについて、Breakbotは日本カルチャーが大好きだと説明していた。子どもの頃から日本の漫画やアニメを見て育ったと言うし、日本は美学的にも独自性が強いと評価している。




2ndアルバム「Still Waters」からは、親友で長年のコラボレーターであるirfaneが参加しており、Breakbotという名義に含まれるようになった。つまり益々Breakbotはパワー・アップしたということだ。今後このディスコ・ブームがどうなっていくかはわからないが、聴いているだけでハッピーになるBreakbotの楽曲は、末永く愛されるのではないだろうか。


Photo: https://www.facebook.com/breakbot/


Written by 編集部



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