音楽に関するイベントは、一年中、日本各地で開かれているものである。フェスと言えば、もはや夏を楽しむイベントのひとつして知られている。しかし、フェスじゃないイベントもたくさんある。フェスじゃないイベントのひとつであるブロックパーティーについて紹介する。
ブロックパーティーはフェスじゃないとは言うけれど、そもそもフェスの定義がよくわからないということもある。いまや、イベントの代名詞とも言われるフェスであるが、音楽イベントに積極的に参加しない人にとってはなじみのないものでもある。
フェスとは、「フェスティバル」あるいは「フェスト」、「フェスタ」の略のことだ。祭や祭典、祝祭などを意味しており、もともとは宗教的な意味合いが強かったが、現在では世俗的な意味合いも強く使われるようになり、催事やイベントと同等の意味合いで使われることも多い。
世俗的な意味合いでの使われるフェスは、おもにロック・フェスティバルのことを指している。フェスと言うと、ポピュラーミュージックを取り扱う祭典であるが、そのほとんどがロック・フェスティバルのことだ。ロックフェスと呼ぶこともある。開催される時期や季節によっては、春フェスや夏フェス、秋フェスに冬フェスと呼ばれる。
日本において有名なフェスと言えば、FUJI ROCK FESTIVALからはじまりROCK IN JAPAN FESTIVALにSUMMER SONICなどといったものが知られている。これらのフェスは、期間も数日間かけて行い、大きな会場を押さえ、海外の有名なアーティストも招いて行う大規模なものである。また、様々な露店が出店されており、ミュージシャンの活動を期待して参加する人ばかりではない。
また、日本のロック・フェスティバルは、時代と共に変遷して行っている。取り扱う音楽のジャンルもロックだけにこだわることがなく、ポピュラー音楽全般へと対象を広げていっている。現代では、最初からロック以外のジャンルを取り扱っていることも多く、ロック以外の特定の音楽ジャンルにこだわって開催するのではなければ、総称的な意味合いでロック・フェスティバルと呼んでいることがほとんどだ。
フェスじゃないイベントのひとつとして、ブロックパーティーと呼ばれているものがある。いまだ、日本では知られつくしているものではないが、ミュージックシーンにおいて欠かせない存在でもある。ブロックパーティーで行われることは、参加する様々なアーティストの活動を鑑賞したり、屋台を楽しんだりといったことが中心であり、フェスじゃないと言いながらも、内容が似ていると感じている人も多い。しかし、その取り扱われる音楽ジャンルや歴史において違いが存在している。
ブロックパーティーとは、ブロックと言われる通り、ひとつの区画、街区の住民たちが大切な行事を執り行うために集まる大きな地域のお祝い祭のことである。その中心となるのは、あくまでも町の区画、街区で、町の住民たちである。通常、音楽を演奏したりダンスを踊ったりして執り行われることが多かった。そのはじまりは、1970年代のアメリカである。ブロックパーティーは、基本的には野外で開催され、公園などの適当な場所で開催され、DJやサウンドシステムなどの電源は非合法に引かれており、非合法な営みであった。
ブロックパーティーにおいては、壇上においてDJたちが新旧の人々の心をひきつける曲を繰り出していた。そして、DJの曲の合間にはMCが言葉を操り、コミュニティを盛り上げて、一体感をもたらす言葉で盛り上げていた。そして、このDJとMCのコンビネーションはヒップホップの起源とされている。そして徐々に、ヒップホップがブロックパーティーの枠を飛び出して、録音物の形をとるようになり、ヒップホップという音楽のジャンルが確立されることとなる。これらのことからブロックパーティーにおいて用いられる音楽ジャンルが、ヒップホップが中心であることからも、フェスじゃないということができる。
フェスじゃないブロックパーティーは、日本においてフェス程に知られたイベントではない。しかし、フェスと同様にして、日本においても開催されるようになってきている。日本において初めて開かれたブロックパーティーは、2016年5月5日に開かれた「PUBLIC LABO BLOCK PARTY」である。東京の晴海埠頭で開催され、ファッションや音楽好きのユース世代で大いににぎわった。多くのアーティストの競演を楽しみ、グッズの販売も行われた。この「PUBLIC LABO BLOCK PARTY」は、感度の高い音楽ファンが集合し、好評を博した。フェスじゃないが規模の小さなブロックパーティーは、これからも注目されるだろう。
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Written by 編集部