Netflixのオリジナル制作のドラマの中でも、マニアックな支持を得ているのが「ブラック・ミラー」。今となっては世界中のSFファンたちが中毒になり、「ブラック・ミラー」の世界を解読しようとしている。
私たちの生活を便利にし、進化を遂げ続けているテクノロジーがもたらす、ディストピアな未来像と人間の醜さを描く近未来SFドラマシリーズ。2011年から、イギリスの公共放送のチャンネル4にてシーズン1から2までを放送し、そのショッキングで共感性の強い内容からイギリスでも大きな話題となった。シーズン3からはNetflix制作に切り替わり、Netflixで全世界配信となった矢先、そのクオリティの高さと内容が話題となり人気が一気に高まった。
現在はNetflixにて全5シーズンが配信されている。
製作総指揮を行っているのは、イギリスでも人気のコメディアン、コメンテーターやプロデューサーとしてマルチに活躍するCharlie Brooker(チャーリー・ブルッカー)。イギリスでは元々人気であったのだが、Netflixで「ブラック・ミラー」が配信されてからは世界中に名をはせるようになった。
ブルッカー自身もゲーマーであり、ゲーム批評などの活動も精力的に行っているので、ブルッカーの皮肉的なユーモアと現代のテクノロジーとの接点を組み合わせて出来上がったのは、「ブラック・ミラー」と言っても過言ではない。
ブルッカーは「ブラック・ミラー」の世界観を「私たちが生きるであろう10分後を表している」と語る。そのため、私たちの生活の身近、もはや一部となっているテクノロジーを元に制作されたドラマとなっているので、そう遠くない現実を描いている。また、「ブラック・ミラー」で描かれたドラマの話が、実は現実でも起こっている事もファンたちの間で解明されている。
例えば、シーズン3第1話の「ランク社会」では、SNSでの個人の評価によって人間関係が築かれ評価される世界を描いている。それは実際に中国で2014年に行われており、政府が国民たちのSNSを通じた人間関係を監視していたのだ。また、シーズン4の「HANG THE DJ」では、出会い系アプリによって相手との相性が判断され、アルゴリズムによって一番相性の合う相手を見つけ出し結婚をするという優れたアプリについてのエピソードであるが、現実の多く出会い系アプリも、似たようなアルゴリズムで行われている。そして今でもファンの間で一番の話題となっているが、2011年に放送されたシーズン2第3話「時のクマ、ウォルドー」。人気の毒舌ゆるキャラの"ウォルドー"がイギリスの首相になる選挙に出るという話でありながら、2016年のアメリカ大統領選挙では、以前から毒舌テレビタレントやコメンテーターとして人気だったDonald Trump(ドナルド・トランプ)が実際に大統領になってしまったという結果に。
皮肉にも、「ブラック・ミラー」はNetflixという現代のテクノロジーによって様々なデバイスに配信されて、多くの人たちがテレビ、パソコン、タブレット、スマートフォンを通して鑑賞している。そのため、私たちは暗く、黒い画面の"ブラック・ミラー"で、「ブラック・ミラー」を観ている姿自体が、シリーズによって反映している。
一度観てみれば、身に覚えのある私たちの行動がドラマで映し出されているだろう。
「ブラック・ミラー」は全話Netflixで配信中。
▶https://www.netflix.com/jp/title/70264888
Photos:
https://www.facebook.com/BlackMirrorNetflix/
Written by 編集部