Written by TOMYTOMIO
Photo:Kouichi Nakazawa (ZENI.LLC)
2020年4月18日(土)、この日はスケボーキング(SBK)の復活ライヴが行われるはずだった。無観客の配信ライヴを敢行することを発表していたが、緊急事態宣言の発表や外出自粛が続き、スケボーキングはライヴ自体を中止する苦渋の決断を下した。このインタビューも復活ライヴに向けて行われたものである。が、せっかくスケボーキングに会えたのだ。今だから聞いてみたい結成当時の話や、好きな映画の話まで、いずれ開催されるライヴがより楽しみになる、魅力溢れるエトセトラを紹介したい。結成から25年、メジャーデビュー20周年。解散から10年での復活。ヒップホップ、レゲエ、スカ、ドラムンベース、オルタナティヴロック、エレクトロなどあらゆるジャンルを超越し内包していた変幻自在のメタモルフォーゼバンド“スケボーキング”とは改めてどんな存在なのか。本人たちに聞いてみた。
—2020年は解散から10年、デビューから20年、結成からは25年という節目の年になります。復活というアクションは節目を意識したものだったんですか?
SHIGEO:実際はもっと早くからやりたいって思ってたし話はしてたんです。たまたまなんですよね。キリがいい年にあたったのは、良かったのか悪かったのかわかんないけど(笑)。
—SHIGEOさんが再結成の音頭をとってみんなが集まったんですか?
SHIGEO:最初はSHUNくんに相談して、みんなで集まってっていう流れですね。俺だけがやろうよって押しまくったわけではなくて、やりたいという意志にみんなが賛同してくれたかたちです。
—みなさんは再結成の話を聞いたとき、どうでしたか?
MASH:僕はやっぱり嬉しかったですね。活動期間としてはそんなに長くなかったかもしれないけど、スケボーキングが人生のなかでかなりのウェイトを占めているので。ただ、他でもバンド活動を続けていましたけど、スケボーキングについていけるかなって不安はあります。そこも含めて楽しみですね。
SHIGEO:ついていけるかって、“シゴキ”にってこと? (笑)
MASH:それも込みで(笑)。
SHUYA:今年の正月に電話かかってきて、それも何年ぶりかってくらいだったんですけど。いろいろ話聞いて、集まることになり、「じゃやりましょう」って。自然なかたちでしたね。
—メンバー全員が集まったのって何年ぶりくらいですか?
SHIGEO:メンバーそれぞれでは会ってたと思うんですけど、SHUNくんとSHUYAくんって会ってた?
SHUYA:いや、会ってないかな。
SHUN:最後にみんな揃ったのって4年前くらい?
SHIGEO:そうかもね。以前のスケボーキングを支えてくれていた元マネージャーが地元に帰るってことで送別会を恵比寿(現在は渋谷駅の南口に移転)の「頭バー」ってところでやったんですけど。
—せっかくなので原点に立ち返ったお話をあらためてお聞きしたいと思います。僕は2001年リリースのメジャー2ndアルバム『KILLING FIELD』をリアルタイムで聴いていた世代で、スケボーキングを聴いてインストゥルメンタルやダンスミュージックに興味を持ちました。ミクスチャーロックバンドと形容されることが多かったと思いますが、当時を振り返ってスケボーキングとは自分たちの中ではどんな存在だったと自覚していますか?
SHIGEO:当時はいわゆるハードなオルタナロックのバンド演奏にラップを乗せるっていうのがジャパニーズミクスチャーの定義みたいになってましたよね。でも俺らの思うミクスチャーは、 ソースを限定しないのがモットーでした。ソースがヒップホップのときもあれば、ブレイクビーツのものがあったり四つ打ちがあったり。ミックスするものは自由という定義で、そこに魅力を感じてミクスチャーをやってました。平たく見たらラップ入ってるしヒップホップみたいなことやってるんじゃね? って思われるでしょうけど。俺らはいろんなものを自由に混ぜて音楽をやるのが好きだったんです。
—メンバーの皆さんもその認識は共通していたでしょうか?
SHUN:そうですね。当時、ラップをやっているから僕らがヒップホップだって括られてしまうのは違和感がありました。僕らもそんなつもりはなかったし。当時は「ロックやってます」って言ってたんですが特にジャンルにこだわってはなかったですね。
SHIGEO:SHUYAくんはヒップホップをガッツリ通ってきた人で、僕らはSHUYAくんからヒップホップを習ったところもあったから。担当というか、バンドメンバーそれぞれ得意とするジャンルのインフルエンサーがいて、それをバンド全体で共有してたんですよ。
—好きな音楽を持ち寄って、ごった煮にしたものがスケボーキングの音楽ってことですね。
SHIGEO:そうそう! そうだよね?
SHUN:と、思います(笑)。
—“スケボーキング”という名前はどうやって決めたんですか?
SHUN:そもそもこのバンドを何でやっているかっていうと、SHIGEOとは学生時代の先輩後輩なんですよね。
SHIGEO:(SHUNを指して)こっちが先輩で。
SHUN:(SHIGEOを指して)こっちが後輩です。まだMASHとSHUYAはいなくて。
SHIGEO:BLAST HEAD(1997年結成。DJ HIKARUとTETSUからなるサウンドスケープ・ユニット)のHIKARUくんがMCでいたり。
SHUN:で、SHIGEOは最初ベースをやってたんですよ。そのバンドで学園祭に出ることになったんです。当時はギターやってたやつの家に入り浸ってたんですけど、バンド名どうしようか? って話になり、部屋にあったスーパーのチラシの裏を見たら“スケボーキング”って書いてあったんです。
—どういうことですか?
一同:(笑)。
SHUN:そいつと毎日スケボーばっかりやってたから、それでチラシの裏に“スケボーキング”って書いてたんだろうね。で、コレにしようって。
SHIGEO:その前についてた名前もあるんです。スタジオ入る日をみんな忘れてばっかりで、なかなか集まらないことからついた名前だったんだけど。だけど「この名前じゃ学園祭出るの無理じゃね? 」ってことで、急遽新しいバンド名を考えることになったんです。その結果チラシの裏に走り書きしてあったスケボーキングになっちゃった。
—その走り書きがいまだに続いているのはすごいですね(笑)。MASHさんとSHUYAさんが加入した経緯はどういうものだったんですか?
SHIGEO:もともと俺が別でやってた3ピースのグランジバンドがあるんですけど、俺がギターボーカルで、MASHくんがベース、元メンバーだったMACくんがドラム。で、MASHくんと俺は小学校からの幼なじみなので、そのバンドのベースとドラムをスケボーキングに持って来た格好です。そのときのスケボーキングはバンド編成のみ。たまにスクラッチ入れてくれる人がいるくらいで、正式メンバーではいませんでした。ちゃんとしたターンテーブリストを入れたいってことで、「うまいやついるよ」って友達の友達が紹介してくれたのがSHUYAくん。あれって何年くらいですか?
SHUYA:1995年くらい?
SHUN:うん。95年だね。
MASH:でも本当にSHUYAくんが加入して、それまでのサウンドや制作環境がガラっと変わったよね。
SHIGEO:SHUYAくん入るまでスケボーキングの制作機材はカセットMTRだけでしたからね(笑)。生楽器とMTRしか制作ツールがなかったんですけど、SHUYAくんはターンテーブルはもちろんのこと、サンプラーをスケボーキングに持ち込んでくれたんです。サンプラーは全く新しいツールでしたね。これ1台で曲作れちゃうってのは、それまでの俺らにはなかった概念。
—SHUYAさんはその頃、DJだけでなくサンプラーを使った演奏や作曲もしていたんですか?
SHUYA:DJとしてはやっていたんですが、サンプラーはスケボーキングをやりながら覚えていったって感じですね。
SHIGEO:「トラック作るなら、コレじゃなきゃダメですよ」って。MPC 2000を買って持って来てくれた。
—原始のスケボーキングに、SHUYAさんがテクノロジーを持ち込んだんですね。
SHIGEO:新風が吹きました(笑)。
—メジャーデビューしてからのお話も聞きたいんですが、スケボーキング初のオリコントップ10入りとなった2001年の「TOKIO LV」は小田和正さんの「ラブストーリーは突然に」をサンプリングしていることでも話題になりました。この曲をサンプリングした理由を教えてください。
SHIGEO:自分たちでできることと世間との距離感って、当時の若いながらの感覚で分かってたんですよね。 キャパを悟っていたというか。「俺ら単体での力はこんなもんだろう」っていう(笑)。だからもっと突出するためにはブーストになる要素が必要だと考えたんです。「EPISODE 1」で建志(Dragon AshのKj)に客演してもらって、とっかかりを作った上で、 客演 なしでの音源で世の中に存在感を示さないといけないっていう中で生まれたアイデアです。国内アーティストの、いわゆる邦楽をサンプリングするって当時まだあまりない手法だったので。僕は“ドメスティックサンプリング”って呼んでるんですけど。自分たちが思い入れのある曲でやったら、世間にインパクトを与えられるしイイものができるんじゃないかなーっていうのが理由です。
—じゃあ「東京ラブストーリー」に思い入れがあるんですね?
SHIGEO:観てましたからね。社会現象だったんで。
—リアルタイムではないですが、配信で観ました。
SHIGEO:俺も久しぶりに観たんですよ。でも、赤名リカってこんな変わった人だったっけなあ、もう一人の関口さとみもしたたかだなあとか、大人になって受ける印象が変わってましたね(笑)。
—「東京ラブストーリー」同様、スケボーキングの過去作品のMVやライヴ映像がYoutubeのオフィシャルチャンネルで配信されています。見直してだんだん記憶が蘇ってきたんですが、スケボーキングのMVって先進的でしたよね。
SHIGEO:当時、メジャーレーベルから出てるアーティストのMVとして、なぜアレを許してくれたのかわからないですね。ワーナーさん、どんだけ心広い会社なんだろうって思います(笑)。
—当時はスケボーキングがなんとなくカッコイイから聴いていたんですけど、正直、MVの内容はよくわかってなかったです(笑)。感性がぶっとんだ人たちが東京にいるんだな。っていう未知との遭遇でした。でも今観るとめちゃくちゃ面白いです。
SHIGEO:好きなようにやらせてくれたワーナーさんに感謝しかないです(笑)。バンドのオリジナリティを伝えるひとつの手法として、差別化するためにああいうことをやっていたんです。普通にカッコイイ音楽でカッコイイMVだと、普通じゃないですか。全く曲と関係ないシチュエーションでリップシンクだけやってるってのをやりたかったんですよ。で、映画も好きなんで、そのときにあてはめたら面白いと思う映画のエッセンスを抽出してみたり。
—「TOKIO LV」ではいろんなキャラクターが出てきますよね? どの映画のエッセンスが入っているんですか?
SHIGEO:MVの内容を決める会議で「MASHくんをフォレストガンプにしたい」って言ったんです(笑)。だからMASHくんに髪型をガンプカットにしてきてくれってお願いして。そしたらディレクターが、「今いちばん勝負かけなきゃいけないのになんでこの人が主役なんだ? 」ってアタマ抱えてましたね(笑)。ディレクターの判断は大人として正しい。でも当時はそっちのが面白いっしょっていうノリでしたね。
—なるほど(笑)。だからMASHさんがずっと走っているんですね!
SHIGEO:よく見ると髪型もちゃんとガンプカットにしてます(笑)。
荒木(現マネージャー):全然気づいてなかった。
MASH:ええ〜(笑)。
SHIGEO:俺たちのやってることって半分以上伝わらないからしょうがない(笑)。
—アイデア出しをするアイデアマンは誰なんですか?
SHIGEO:俺ですね。あとはメンバーがノッてくれるかってところですね。
—いつもみなさんSHIGEOさんのアイデアを聞いてどういうリアクションなんですか?
SHUN&MASH&SHUYA:・・・。
SHIGEO:いつもこんな顔でこういう感じです(笑)。
荒木:その割にはSHUYAくん、ちゃんと演技してません?
SHIGEO:そうそう! SHUYAくんちゃんとやってくれるんだよ! みんなノってくれるからちゃんと。
荒木:「EPISODE 1」とかすごいじゃないですか。
SHIGEO:被疑者役ですからね(笑)。裁判所が舞台で、公判でスクラッチカマすっていう(笑)。
SHUN:あれ、ワルそうな顔してるよなあ。
—「YOU ARE GOD」のMVもセットに400万円かかってるって情報を拝見したんですが、本当ですか?
SHIGEO:崖のセット単体なのか制作費全体なのかちょっと忘れちゃったんですけど。撮影してるとき後ろでA&Rの人が「400万! 400万! 」って言ってたからたぶん(笑)。
MASH:いや本当はもっとだよ。制作費1000万とかって言ってたよ。
SHUN:セット全部で500万近いって聞いたけどな。
SHIGEO:じゃああの崖、400万スね(笑)。
荒木:えー!? アレで!? (笑)
SHIGEO:いやいやいや(笑)。大変だったんだから!! あれ雪山のセットで撮ってるけど、真夏だからね!? 真夏にノースフェイスのダウン着せられてクソ暑いし(笑)。監督も当時スペースシャワーでもいちばん売れっ子の、Dragon AshとかのMVほぼ全部やってる須永秀明さんっていうすごい人に作ってもらったんだから。「EPISODE 1」も須永さんが監督してくれました。
—その400万の崖の上で、SHUNさんとSHIGEOさん2人のやりとりが最初から最後までいくじゃないですか。シナリオのシュールさもすごいなと思いました。
SHIGEO:「YOU ARE GOD」のMVは「バーティカル・リミット」って映画に着想を得ています。気を抜いたやつが死ぬっていう要素にインスパイアされてますね(笑)。気を許した先で落とし穴が待ってるっていう。世の中っぽいなあと。
—さっきもお話に出たKjさんとの「EPISODE 1」はどういう経緯で客演することになったんですか? やはりTMC ALLSTARSの「TMC Graffiti」ですか?
SHIGEO:TMCのときよりも前に、Dragon Ashのベーシストの馬場さんと、スケボーキングにいた元ギターのHAKUCHOが仲良かったんです。それで引き合わせてくれたんですよね。「紹介するところまではやるから、feat.できるかどうかは自分たちのテクニックで頑張れ」って(笑)。それで近づいていきました。
—それでみなさんでKjさんに会いに行かれたんですか?
SHIGEO:どっかに呼び出されたんだっけ。
MASH:下北とか? 違ったっけ。
SHUYA:その辺、あまり記憶にないなあ。
SHUN:ライヴ1回観に行ったんじゃない?
SHIGEO:・・・行ったっけ?(笑)とにかく、じわじわと仲良くなって断りづらいような距離感になったときにお願いしましたね(笑)。関係者の大人が言うよりも先に、直接本人に伝えました。彼に頼めば世の中に名前が出る、言ってしまえば売名っていうことも踏まえた上で、「ちょっとお願いしたいんだけど」って正直に話せる関係性を築きましたね。
—そこからKjさんとの「EPISODE」シリーズは10年前のスケボーキングデビュー10周年・解散LIVEまで繋がってますし、SHIGEOさんはSteady&Co.でも一緒にやってましたもんね。今でも仲イイんですよね?
SHIGEO:もちろん僕は仲良くさせてもらってると思ってますけど。
—何年か前のKjさんがDragon Ashのアニバーサリーのインタビューで「Steady&Co.またやりたいけど、SHIGEOくん韻踏めねえって言ってたからもうできないかも」って笑って話してる映像を観たんですが、本当ですか?
SHIGEO:俺がどっかでそう言ってたのを面白いからって彼らがずっと言ってるだけです(笑)。そもそも、俺のラップ自体あまり韻を意識してないんですね。響きでやっちゃう。あとから聴いてみたら、ひょっとしたらコレ韻踏めてねえな(笑)。っていう具合です。4枚目の『RED FLASH』出したあと4年間活動休止したときに、自分のリリックを見てそう思ったくらいだから。
—SHIGEOさんは韻にこだわってないんですね。
SHIGEO:そうですね。でも最近、ライヴに向けてリハしてるんですけど。SHUNくんのパートをあらためて聴いたら、すげえキッチリ踏んでて。
—SHUNさんは確かに、しっかり韻踏んでいる印象があります。
SHIGEO:だから自分のパートやるのが恥ずかしくなっちゃって。適当だわ俺、って(笑)。でも建志たちが言ってるのはひとつ勘違いがあって。俺は「同じ韻ばっかり出てくるからキツイ」って言ったんですね。つまり“韻が踏めない”んじゃなく”“韻がワンパターン”っていうのが真実です(笑)。
SHUYA:あまり変わらない気がするけどな(笑)。
—でもSHUNさんとSHIGEOさんの声ってTMC ALLSTARSのように大勢のアーティストの中にいてもすぐ分かるし、自然と聴こえてくるんです。スケボーキングの特徴として当時から、自分たちの声を楽器のひとつとして捉えて表現していたんじゃないかと解釈しているんですが、どうでしょうか?
SHIGEO:すごいポジティヴな解釈をありがとうございます。
—High VoiceとLow Voiceっていうパートの振り方も面白いなと思ってたんですけど、その役割は当初から決めていたんですか?
SHUN:最初はそんなに低い声で歌ってなかったんです。でもSHIGEOがどんどん高いキーに行くので、低く歌うことを意識するようになりましたね。
SHIGEO:活動しながら、それぞれキャラクタライズしていった感じですね。もともとはベースやってたので、スケボーキングのボーカルになったときにどうやって歌うかを考えました。俺、Beastie BoysのAd-Rockが好きなんですよ。だからAd-Rockみたいに歌えないかなって。あと、ウチの母ちゃんがヒステリーになるとすっげえ声高いんで。それ聞いたときに、「コレ、母ちゃんがイケんだったら俺もイケんじゃん? 」って思ってやってみたら意外と出ました(笑)。
SHUYA:それ初めて聞いた。
SHIGEO:そうなんですよ。それで、ハイとローの方がお互い際立つからSHUNくんもだんだん低くなっていったんだよね。
SHUN:・・・企業努力だよ。
一同:(笑)。
SHIGEO:俺、SHUNくんにいつも企業努力強いてるからなー。ラップやらなくなってからも、インストもので鍵盤弾いてほしいって頼んだら、嫌な顔ひとつせずやってくれましたからね。
SHUN:嫌な顔はしないだろ別に(笑)。
SHIGEO:だって「俺歌いてえよ」ってなりそうじゃないですか。なのに「そういう方向でやりたいならいいよ」って引き受けてくれたんですよ。
—もともとSHUNさんが先輩でSHIGEOさんは後輩ですよね。SHUNさんからするとやっぱりSHIGEOさんは頼まれたら断れない、かわいい後輩という存在なんですか?
SHUN:いや。いつからか逆転しました。「SHUNさんSHUNさん!! 」って言ってたのに。
SHIGEO:昔は怖かったッスからね。しかも兄貴がGAS BOYS(1988年結成。ミクスチャーを10年先取りしたといわれる3ピースバンド+2MC+1DJ編成の伝説的グループ。MCの上杉圭祐はSHUNの実兄)ですから。柏の怖い人たちですよ。
SHUN:怖くないよ(笑)。
—復活ライヴではサポートメンバーとしてDragon Ashの桜井誠さんの参加が発表されていました。今後はKjさんとの「EPISODE」シリーズやライヴでの共演は見られるのでしょうか?
SHIGEO:建志が良ければ「EPISODE」シリーズの新作も作ってみたいです。「EPISODE」、今いくつでしたっけ?
SHUN:6。
SHIGEO:「STAR WARS」に並んだんですけど、一気に巻き返されちゃいました。
—3つ先にやられちゃいましたね。
SHIGEO:やられちゃったというか、向こうがオリジナルなんですけどね(笑)。当時、「STAR WARS:エピソードⅠファントムメナス」がやっているときに「EPISODE 1」を録ったんです。だから「STAR WARS」に追いつき追い越せって感じで作ってたんですけど、まさか3つも新しいのやるとは思わなかったっスからねえ。
—じゃあ、ファンとしては「EPISODE」シリーズの新作を期待していいということですね?
SHIGEO:俺らの気持ちとしてはやりたいと思ってますね。
SHUN:うん。
—そしてやっぱり映画がお好きなようなので、みなさんの推しの映画を1本教えてください。
SHIGEO:昔は「セブン」で今は「ゲーム」ですね。デヴィッド・フィンチャー監督が好きなんですよ。
SHUN:俺映画あんま観ないからなー。
SHIGEO:うそつけ(笑)。いっぱい観てる時期あったじゃん。
SHUN:心の映画は「ゴッドファーザー」です。
SHIGEO:変わらずだね。ずっと「ゴッドファーザー」だもんね。サントラかけろって言うと絶対「ゴッドファーザー」かけるし。
SHUN:そんなことないよ(笑)。でも「ゴッドファーザー」はイイですよ。もう映画っていうか、オペラ観てるみたい。
—MASHさんはいかがでしょう?
SHUN:「ゴースト・バスターズ」か、「ロッキー Ⅳ/炎の友情」だろ?
一同:(笑)。
SHIGEO:ロッキー、顔が似てるからでしょ?
MASH:「ショーシャンクの空に」かなあ。
—SHUYAさんは?
SHUYA:僕は、手当たり次第観ちゃうのでコレっていうのは特にないですけど。1本選ぶとなると難しいですね。やっぱりフィンチャー作品が好きです。サスペンスが好きなんです。
SHIGEO:ごめんなさい。フィンチャー好きなんですけどやっぱり1本選ぶなら俺、クリストファー・ノーラン監督の「インターステラー」かな。
—では、アナウンスできる範囲でスケボーキングの今後の展開を教えていただけますか?
SHIGEO:復活ライブも本当ならお客さん入れて生で体感してもらいたかったんですけど、この状況じゃ難しくなっちゃったんで。スケボーキングをまたやりたいなって思ったきっかけって、Youtubeアカウントからも配信されているリキッドルームでのライヴ、「RETURNS」をあらためて観たことなんです。客観的に映像を観て、オリジナリティのある面白いバンドだなって思って。今やったらどうなるんだろうっていう好奇心が事の発端です。
—SHIGEOさんはThe SAMOS、ATOM ON SPHERE、FAKE EYES PRODUCTIONとさまざまなプロジェクトをやっていて、アウトプットするチャンネルが多様です。そのなかでもスケボーキングだからこそできる表現があると思ったから、またやりたいって思ったんですよね?
SHIGEO:そうですね。スケボーキングでやっていたことをそれぞれのチャンネルにあてはまめたものがThe SAMOS、ATOM ON SPHERE、FAKE EYES PRODUCTIONだったりするんです。結局俺の根源的なソースはこのバンドにあると思っています。それを感じてもらうのもスケボーキングの楽しみ方のひとつかもしれませんね。あと、これ、もう言っちゃっていいの?
荒木:えーと、、そうですね、、夏にライヴをやる予定ではいるんですけど、ちょっとまだできるかどうかが。今後のコロナの状況次第ですね、、、。
SHIGEO:そうなんです。こんな状況なので未確定ですが、ワンマンを8月くらいにやろうと思っていて日程のバミリはしているんですが、、、今の状況では正直なところ実行できるかがわからないですね。いずれにしろそこに向けてなにかしら新譜を出したいなと思っているので、ライブがなかなかできないこの時間を使って新曲の制作に力を入れていこうと思ってます。。
—最後に復活に際して今後の意気込みをお願いします。
SHIGEO:久々のスケボーキングなので、俺らもこれから楽しみです。今後の活動も宜しくお願いします。
SHUN:スケボーキングまだまだ若いぞというところをお見せできたらと思っています。
MASH:こういう状況だからこそできることがあるかなとも思うので、いろいろ試してみようかなと。
SHUYA:がんばりますッ!!
それぞれが個性的なキャラクターとカラーを持ち、それらを混ぜ合わせてカメレオンのように多彩な表情を見せるスケボーキング。その音楽性もさることながら、会ってみたら思い描いていた通り、多様な引き出しと魅力を備えていた。血筋的にもGAS BOYS直系と形容して差し支えない、今思えばスケボーキングも“早すぎたバンド”だったのかもしれない。そんな人たちが地元の友達&部活ノリの空気感を維持したまま、愉快に年齢を重ねた現在。あらためてスケボーキングを聴き直す最高な機会が訪れた。知ってる人も知らない人も、今こそJust Get on the Bus。錆びた記憶呼び覚ますスケボーキングサウンドとその世界観を楽しもうではないか。
▶スケボーキング/SBK
(左からSHUN/SHIGEO/MASH/SHUYA)
1995年結成。2000年1月インディーズ時代の楽曲のベストアルバム『SUPER BEST』でデビュー。 その後、1st『magic moment ...』、2nd『KILLING FIELD』、3rd『EVERYTHING IS MY FAULT』、4th『RED FLASH』、5th『RETURNS』の5枚のオリジナルアルバムと、Remixアルバム『NO INDEPENDENT THOUGHT』、ベストアルバム『 ZOMBIE BEST』を発表している。
ヒップホップとロックをミックスするスタイルで、2000年代初頭に起こったミクスチャームーヴメ ントの旗手として一躍シーンの代表アーティストとして注目を集める。
Dragon AshのKJをゲストに招き発表されたコラボ作品「EPISODE1」は大きな話題を集めその後 SBKとDragon Ashが交互に発表する「EPISODEシリーズ」として現在までに6作品が発表されて いる。
2010年6月にSHIBUYA-AXで行われたデビュー10周年ライブ『EPISODES』を以って解散を発表。約10 年の時を経てSHIGEO/SHUN/SHUYA/MASHの解散時と同じ4人のメンバーでの再結成が決定。 2020年2月よりスケボーキング / SBK としての活動を新たにスタート。
Official Web Site:https://www.sukebo-king.com/
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