ベター・コール・ソウル人気ドラマシリーズであるブレイキング・バッドの登場人物にフォーカスした、スピンオフドラマである。ブレイキング・バッドのファンはもちろん、面白い海外ドラマを探している方にもおすすめである。
ブレイキング・バッドを手がけるヴィンス・ギリガンが、ベター・コール・ソウルでも監督を務めている。スピンオフドラマと言うことだが、ブレイキング・バッドの登場人物の過去を舞台としており、この作品から見始めても充分に楽しめる内容だ。
このベター・コール・ソウルで主人公となるのは、貧乏な弁護士であるソウル・グッドマンと裁判所の駐車場係のマイク・エルマントラウトである。これだけでは余りにも貧弱な設定のように思えるかもしれないが、ヴィンス・ギリガンの作品は展開力で魅せるものが多く、登場人物がひなびた中年男性としても、油断はできない。
ベター・コール・ソウルは、失敗しやすいスピンオフドラマとしては異例の成功をおさめており、第4シーズンまで製作が進んでいる。
弁護士であるソウル・グッドマンと駐車場係のマイク・エルマントラウトの過去を描き出すのが、ベター・コール・ソウルシリーズのあらすじだ。ブレイキング・バッドでの主役となっているウォルター・ホワイトやその家族・知人などは余り登場しないために、この作品単体で完結されるストーリーなっている。
舞台はブレイキング・バッドにて、ソウル・グッドマンが姿を現す6年前に遡る。当時の彼はニューメキシコ州アルバカーキで、貧困生活を送っている弁護士であった。当時はソウル・グッドマンではなく、本名のジミー・マッギルを称して仕事をしている。
ジミーは、頭脳明晰な兄であるチャックに比べると余り優秀とは言えず、弁護士資格も辛うじて取得できたようだ。対してチャックの方は巨大な弁護士事務所を経営する敏腕である。しかし、チャックはやがて電磁気過敏症と思われる症状に苦しみ、ドロップアウト。ジミーは、そんな兄を支えるために努力を続けるが報われず、禁断の企みを謀り、道を踏み外していく。
一方マイクの方は、元々は警察官だったがベター・コール・ソウルでは裁判所の駐車場係として、アルバカーキに移り住んでいる。ジミーは企みごとの影響で事件に巻き込まれるのだが、警察からはサポートが受けられない。そんな時に出会ったのがマイクであり、以後、この両者の命運は絡み合うことになっていく。
ベター・コール・ソウル自体は、ブレイキング・バッドの世界とは並行しておらず、このドラマシリーズだけでも充分に楽しむことは可能だろう。だが、ジミー・マッギルは全くもってうだつの上がらない、ただのおじさんなので、ブレイキング・バッドを見てある程度は背景を掴んでおいた方が、面白いかも知れない。
しかし、ブレイキング・バッドの方も、主役はやはり、冴えないおじさんである。しかも、ソウル・グッドマンらの登場はしばらく後になることもあり、すぐにでもベター・コール・ソウルを見てみたいと言う場合には、思い切ってこちらから見始めるのもありだろう。
このドラマはファンからも批評家からも高い評判を得ており、受賞経歴も多数となっている。全米脚本家組合賞やサテライト賞を複数獲得しており、エミー賞やゴールデングローブ賞へのノミネートも多数だ。海外の評価系サイトではファンから高得点を獲得しているが、それにも増して批評家からの支持が分厚くなっている。
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written by 編集部