ダンスミュージックと言えばDJの存在が欠かせないものである。日本においても数多くのDJが活躍しているが、世界的な注目を集めているDJと言うと限られる。今回は、世界から注目を集めつつある若手の日本人DJであるbanvoxと、彼が生み出し送り出した楽曲・Summerについて紹介する。
banvoxが、ダンス・ミュージック界において大きな話題を集めたSummerを生み出すまでには、様々な経歴を経てきている。
banvoxは、日本の兵庫県に生まれたトラックメーカーである。年齢は非公開であるが、下の名前は翔之介、デビューから早い段階で数多くの楽曲を生みだし、急成長を遂げている。生まれは兵庫県ではあるが、小学校までは岡山県で育ち、中学校に入っては中高一貫校の学校に所属し香川県で過ごしている。幼いころから母親が聴いていた、ジャズやシャンソン、歌劇を耳にし、このことをきっかけとしてジャジィ・ヒップホップに傾倒するようになる。これがbanvoxが名曲「Summer」を生み出す始まりの一歩である。
暗い部屋の中で、ずっと日本語ラップを聴いて過ごしていたほど、その傾倒ぶりはすごかったらしい。また、家庭の事情で東京都に移り高校時代を過ごすが、音楽活動をしたいという欲求が高まり、高校2年生の時に退学をする。そして退学とほぼ同時期に音楽制作を開始する。このころには、関心のある音楽の幅も広がり、フレンチエレクトロやEDM、ダンステップにまで影響を受けていたようだ。高校を止めてすぐの下積み時代は「まずは曲を完成させることに意味がある」という考えのもと、最初の1年間で450曲もの数の作曲をこなし、2010年に入ってからは、たびたびSoundCloudにアップロードするようになり、トラックメーカーとしての活動を開始する。
そして2010年に、迷われレコードから「暇つぶしBeats」をリリースしてデビュー、2011年にはMaltine Recordsからミニアルバム「Intense Electro Disco」をリリースしてデビューを果たす。当時、banvoxは10代の若さではあり、かつ音楽活動を本格的に始めてわずか2年というキャリアではあったが、わずか2日間で4000DLを記録した。2012年にはイギリスのレーベルから楽曲を発表して人気バンドのメンバーとして知られているティム・ヒーリーの絶賛を受けてリリースした。2015年にはワーナーミュージック・ジャパンと契約、CM曲も作成してメジャーデビューを果たす。その後「Summer」などの様々な楽曲を作成すると同時に、有名ミュージシャンへと楽曲を提供し音楽プロデューサーとしても活躍する。
banvoxの魅力は、音楽制作キャリアの短いながらも、圧倒的な才能を発揮して、数々の作品をつくりあげていることでもある。同時に、生み出される楽曲は怒髪天を突くような音圧と日本人離れをしたスケールを持っていることも魅力だ。2014年には最も活躍するアーティストにも選ばれているほどだ。2010年のデビュー曲からはじまり、数多くの楽曲を作成、2015年には「Summer」もリリースしているが、そのいずれにおいても大衆を突き動かすセンスが感じられるが、単なるEDMを超える存在であるという高い評価を得ている。「Summer」は、キレイなメロディからハードなトラックへと移り、エモさを感じさせる。クラブでの活動経験がなく、かつ経験値も少ない中でも、国内のダンストラックの枠を超える迫力ある音圧と、高いソングライティングセンスが魅力であると、世界中の大御所のアーティストまでもが絶賛している。
「Summer」や「Watch Me」などの作品では、王道のダンス・ミュージックとしてbanvoxの曲調を示してきたが、2016年にリリースされた「You Love」からはじまる一連のシリーズ・リリースでは、最先端のエッセンスをさらに加えることにより、新機軸のダンス・ミュージックを生み出すなど、さらなる進化を続けている。
Photo:https://www.facebook.com/pg/banvoxMUSIC/photos
Written by 編集部