今月、代表作のひとつである「風船と少女」をロンドンで行われたSotheby’s(サザビーズ)のオークション中に、遠隔操作で細断したことが話題になったBanksyが、その一部始終をおさめたミニドキュメンタリー動画を公開した。
これまでに伝えられているところによると細断された絵画は、100万ポンド(約1億5000万円)以上の価格で落札されるも、その直後にアラームが突如鳴り出し、額にひそかに仕込まれていたシュレッダーが作動。細断されるというまさかの事態が起こり、世界中で大いに注目を集め、まさに「芸術テロリスト」の本領を発揮した形となった。
また細断された絵画を購入するかどうか落札者との間で話し合いが持たれたとのことだが、10月11日には落札額どおり売買成立の合意がなされており、「風船と少女」は、新たに「愛はごみ箱の中に(Love Is in the Bin)」という新たな作品名がつけられたとのこと。
そんな映画のような狂騒をおさめたミニドキュメンタリー「Shredding the Girl and Balloon - The Director’s half cut」では、Banksyが額に細断用のシュレッダー装置を仕込む様子や、華やかなオークション会場での様子、さらに細断装置を作動させるリモコンのスイッチを押す様子などを確認することができる。
また実は、この絵画細断装置は、リハーサルが行われていたことも動画の後半で明かされており、本来は、半分程度の細断ではなく、完全に絵画1枚分を細断する予定だったそうだ。
今回の狂騒劇について、オークションを主催したSotheby’sは、「愛はごみ箱の中に」は、アートの歴史において初めてオークション中に完成した作品だとコメントしているという。こういったドキュメンタリーを公開するあたり、「愛はごみ箱の中に」は、一連の騒動すべてを含めたインスタレーション作品だったのかもしれない。
なお、Banksyは、音楽業界ともつながりが深く、正体はMassive Attackの3Dだとする説もある。一度はGoldieが口を滑らせてその説を認めてしまったことがあるが、公式には未だ謎のままで、ちょっとした都市伝説のようなものになっているが、もし本当ならなかなかロマンがあると音楽ファンの自分としてはそう思ってしまう。
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written by Jun Fukunaga
source:
https://www.spin.com/2018/10/banksy-video-girl-with-balloon-shredding-sothebys/
photo: Banksy Instagram