日本のヒップホップ業界でかなりの注目度を持っている女性ラッパーといえば真っ先に名前があがるのがAwichではないだろうか。彼女の作る楽曲はとにかく多彩で飽きることが無い。彼女の簡単な経歴やおすすめの曲についてチェックしていこう。
Awichは英語明記で活動しているが、沖縄生まれのれっきとした日本人である。地元沖縄では沖縄人女性ラッパーのパイオニアとしてとても有名な存在である。作曲活動を始めたのはとても早く、なんと9歳の頃にはすでにオリジナルのが曲を作曲している。そして14歳の頃にラップと出会い、自分の音楽観が根底から覆されたことによって、現在のようなラップ中心の楽曲を作曲するようになった。それからはクラブハウスにも顔尾を出すようになり、17歳にしてクラブハウスでのバトルイベントに参加したりと、着実に経験を積んでいく。
そして19歳の頃には音源をリリースすると同時に海外へ5年間留学した。この留学によって日本では得ることのできない様々な経験を積むこととなる。この海外での経験もまた、彼女の作曲活動に多大な影響を与えていることは間違いないだろう。
そして、この留学中に結婚し、女の子を出産している。しかし現在Awichはシングルマザーである。実は結婚相手である黒人アメリカ人の夫は事件に巻き込まれ、銃殺されているのだ。もともと結婚相手とAwichはお互いの価値観の違いなどから関係はぎくしゃくしていたのだが、学校を卒業し日本に戻ることが決まっており、まったく環境の違う日本で生活をやり直せば、お互いの関係は改善すると考えていたらしい。
そう考えていた矢先の事故であったため、当時のAwichが受けた衝撃は計り知れないものであろう。
この出来事によって、彼女は人生というものがいつ終わるのか分からないものだという事を痛感し、自分が生きているうちに自分の根っこにあるものを育てる社会を作ろうと考えるようになる。
日本へ帰国後、Awichは早速アメリカにて結婚相手との突然の死別によって得た教訓を実行させようと行動に出る。彼女の音楽の根っこにあるものはラップであるから、もちろん一人の女性ラッパーとしてヒップホップの楽曲を発表する活動を継続させている。そして、彼女自身の根っこにあるものとはそう、生まれ育ってきた沖縄である。彼女は音楽でだけではなく、様々な方向から沖縄を発展させようと行動を起こしたのだ。そして設立したのがCIHPHERCITYH(サイファーシティー)である。Awichは一人の女性ラッパーであると同時に沖縄ではCIHPHERCITYHの代表としての顔も持っている。彼女は一人の女性実業家でもあるのだ。
Awichが代表を務めているCIHPHERCITYHはマーケティング会社である。例えばファッションブランドであるYOKANG(ヨーカン)や所属アーティストの一人である大塚英夫の海外プロモートや、アーティスト同士の活動の輪をつなぐためのイベントを企画するなど、沖縄で活躍する様々な人たちの活躍の場を広げるための活動を精力的におこなっている。海外へのプロモート活動が行えるのは彼女が5年間アメリカに留学し、音楽活動を続けながら様々な人と交流をしてきたお陰であろう。
Awichのラッパーとしての実力派折り紙付きだ。最新アルバムの楽曲を見るだけでもそのバリエーションの豊富さがよくわかる。例えばRememberでは、朝の憂鬱さを引き飛ばしてくれるようなノリノリの楽曲を作曲したと思いきや、Crimeでは一転、スロウなトラックに載せて大人の女性の魅力全開のラップを聞かせてくれる。
2017年のアルバム『8』から約2年後の2020年1月に最新アルバムとなる『孔雀』をリリースしたAwich。中でもDOGMAと鎮座DOPENESSをフィーチャリングに迎えた「洗脳」はMVのインパクトも含め話題を集めた。LEXなどの作品を手がける堀田英仁が監督を務めたMVにはYENTOWNよりMARZY、U-LEE、Ryuwなども出演。楽曲のイメージを反映させた、毒々しくも艶のある映像作品となっている。
『孔雀』をリリースした2020年の7月にはその勢いを保ったままにユニバーサルミュージックよりメジャーデビュー曲「Shook Shook」をリリースしたAwich。同年8月にはメジャーデビューEPとなる『Partition』もリリース。この作品ははこれまで共に数多くの名曲を生み出してきたChaki Zuluをプロデューサーに迎えている。
その後AIの「Not So Different Remix」へ参加すると、Mステへの出演も決定するなどヒップホップファンだけでなく音楽シーン全体にインパクトを与え続けているAwich。今後もオリジナルな彼女の作品が世界に広がっていくことだろう。
source
https://spincoaster.com/news/awich-share-brainwashing-mv-from-new-album-kujaku
https://spincoaster.com/news/awich-interview-on-apple-music
Photo: https://www.facebook.com/awich098/
Written by 編集部