ロンドンを拠点に活躍中のポップ・ミュージックシーンの新星、Ashnikko(アシュニコ)というラッパーをご存知だろうか?
Ashnikkoこと本名Ashton Nicole Caseyは、アメリカ・ノース・カロライナ州出身の23歳の若手ラッパーだが、その経歴はやや複雑で10代の頃に北ヨーロッパはバルト三国のひとつとして知られるエストニアに家族で移住。その後、ラトビアに再び移住し、高校時代を同地で過ごし、高校卒業は現在の拠点になっているイギリス・ロンドンに移住。そして2016年ごろからSoundCloudにて音楽活動スタートさせた。
そんな彼女は2017年に「Warner Music Group」傘下のレーベル「Digital Picnic」と契約し、デビューEP『Sass Pancakes』をリリース。その後、2018年に2nd EP『Unlikeable』のリリースを経て、今年7月に最新EP『Hi, It's Me』をリリースしたのだが、その収録曲「Stupid (Feat. Yung baby Tate)」が、今年9月末ごろから日本でも人気のスマホ向けショートムービープラットフォームアプリのTikTokで人気に火がつき、バイラルヒット。
以来、TikTok上では、40万回以上曲が動画に使用され、Spotifyでは1000万再生を突破。その結果、 Billboard Bubbling Under Hot 100、Billboard Bubbling Under R&B/Hip-Hop、 Spotify Viral 50といったチャートで次々1位を獲得するなど、今年最後の大型バイラルヒット曲になっている。
Googleトレンド調べてみると、イギリスではここ3ヶ月ほどの間で右肩上がりに知名度が上昇しているのがわかるが、日本でも10月末に一時的に知名度が急上昇。
これはMiley Cyrusとその恋人であるCody SimpsonがTikTokで「Stupid (Feat. Yung baby Tate)」に合わせて踊る動画を公開したことがきっかけになっている。
そして、この程、先述の大バズ曲に続く最新MV「Working Bitch」を公開。「Stupid (Feat. Yung baby Tate)」と同じEPに収録された本曲は、パンクやヒップホップの精神が軸のカントリーR&B。男との関係よりも自分のキャリアを優先する様子を歌う曲のMVでは、Ashnikko自身がエイリアン・カウガールに扮している。
本曲のMVについてAshnikkoは以下のようにコメント。
エイリアン・カウガールがこの曲を書いたように感じてさ。それで、ちょっと待って、だったらMVで私がエイリアン・カウガールになれば良くない? って思ったんだよね。 私ってアメリカ南部で育ったからさ、このMVは私の子供時代に捧げるおかしな歌ってわけなのよ。そういえば、もっと過激なお尻が開いてるレザー・パンツなんかワードローブに入れてたかも!
と彼女は話す。
ちなみにこの楽曲が収録されたEPでは、全編に渡って「クソくらえ」な態度で挑むオルタナ・ポップが詰まっており、各楽曲は自立した女性を応援し、最低な男たちに身の程を知らせる内容だ。現在は、TikTok上で#STUPIDCHALLENGEがトレンドになっているほか、EPのタイトル曲である「Hi, It's Me」MVはUKミュージック・ビデオ・アワードのベスト・ポップ・ニューカマーを受賞するなど、その人気はもはやネット上だけにとどまらず、多方面に飛び火。最近も人気海外メディアのCrack MagazineやThe Fadar、Pitchforkがバイラルヒットから火がついたAshnikkoを特集し、新たに注目を集めている。そんな彼女は、12月12日にロンドンでクリスマス・フリー・コンサートを開く予定だという。
今や時の人となっているAshnikko。近いうちに日本にも来日してほしいものだ。
written by Jun Fukunaga
source:
https://en.wikipedia.org/wiki/Ashnikko
https://crackmagazine.net/article/live-reviews/photos-ashnikko-tour-danny-brown/
https://www.thefader.com/2019/12/03/ashnikko-stupid-tiktok-working-bitch-hi-its-me
https://pitchfork.com/thepitch/the-anatomy-of-a-tiktok-hit/