メガドライブやスーパーファミコンを再現した互換機の発売で知られるAnalougue社が、ゲームボーイ、ゲームボーイカラー、ゲームボーイアドバンスのカードリッジをプレイできる『Pocket』を発表した。
カルト的人気を誇るゲームボーイ用シーケンサー/シンセサイザーソフト『Nanoloop』がビルドインされており、価格は$200、発売は2020年予定。また、今後発売のアダプターを利用して歴代ゲームボーイシリーズ以外の様々なモバイルゲームのカードリッジをプレイ出来るようになるとのこと。
なんといってもこのPocketの魅力はチップチューン愛好家を中心に、今もなお高い支持を得るゲームボーイ用シーケンサー/シンセサイザーソフトNanoloopがビルドインされているところ。発売当初から入手しづらかったソフトだが、iOS版、Android版が安価で入手できるようになった今もオークションなどでは5,000~10,000円という価格で取引されており、実機チップからのサウンドにこだわるユーザーは多い。ちなみにドイツの開発元ウェブサイトでは現在も基盤むき出しのカードリッジの販売を続けている。
今回のビルドインはAnalogue社のCEO、Christopher TaberがNanoloopのファンであったことから実現したそう。オリジナルのゲームボーイと同じサウンドチップを搭載しているわけではないので、厳密にはサウンドは異なるものの、TaberによればPocketに搭載されるNanoloopはPocket仕様にカスタマイズされた仕様とのこと。Nanoloopのサウンドに関してはゲームボーイ本体のサウンドの違いから「オリジナル機のサウンドがいい」といった議論もなされている。今回のPocketがチップチューンサウンドファンにどのように受け止められるのかも興味深いところ。
こういったレトロゲームの再現はソフトウェアでのエミュレーターが多いが、PocketはFPGAを利用してハードウェアそのものを再現している。FPGAはプログラム改変可能なハードウェアというイメージのもので、当機にはFPGAを二つ搭載しており、一つはブランクの状態で自由な開発をするために使ってほしいとのこと。
3.5インチで解像度が1600x1440とかなり高精細なディスプレイを搭載。参考までにiPhone 11は6.1インチで解像度828×1792。Pocketはその半分ほどのサイズで解像度はiPhone 11以上となっている。また充電はUSB-C端子で、3.5mmのヘッドホン端子やステレオスピーカー、microSDスロットも搭載している。USB-Cや高精細な画面、上述のブランクのFPGAなど、今後さらなる展開もありそうな仕様のハードウェア。開発者にとっては高解像度ディスプレイ搭載のモバイル機開発プラットフォームとしても利用できる。
今後発売予定の別売りのアダプターを使えばゲームボーイシリーズ以外にもゲームギア、ネオジオポケットカラー、Atari Lynxといった、懐かしのモバイルゲーム機のカードリッジにも対応。価格や発売時期など詳細は非公開。
PocketをSwitchのようにドッキングしてHDMIやBluetoothもしくはUSB接続のコントローラーを仕様可能にするDockも発売予定とのことで、大画面でゲームボーイのソフトやNanoloopを楽しむこともできる。
価格のほうはゲームボーイのオリジナル機の倍と大人価格にもかかわらず、ハードウェアの持つポテンシャルに加えNanoloopのビルドインがあることからも、ものすごく高いという気がしないのがすごいところ。同社のほかの互換機と同様に、今回もまるで芸術品のような洗練されたデザインがインテリアとしても素敵。ライブパフォーマンスなどでもゲームボーイのようで少し違う見た目が注目を集めそう。
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written by Yui Tamura
source:
https://www.analogue.co/pocket/
photo:
https://www.analogue.co/pocket/