“終わらない・ループしない音楽”を奏でる自動BGM生成デバイス『AISO AUTOMATIC BGM GENERATOR』が第4弾となるアーティストコラボ音源の発売をスタートした。
日々のライフスタイルに根付いているバックグラウンドミュージックの利用シーンにおいて、「楽曲の切替りが気になり作業に集中できない」「好きな曲だけど音楽の主張が強すぎて空間の雰囲気とあわない」「ループしているとさすがに飽きる」といった聞き手の潜在的な問題意識に気づき、「ループしないBGM」「終わりのないBGM」という構想からスタートした当プロジェクト。
AISOは「楽曲」という大きなカタマリではなく、小さな「音」のカケラをプログラムがリアルタイムかつランダムに構築し、半永久的に新しい音楽を生成するシステムだ。
昨年10月には第1弾としてGo Hiyama、Koji Nakamura、duennの楽曲が収録されたデバイスを発表。今年4月には第2弾アーティストとしてHIROSHI WATANABE aka KAITO、OKADA TAKUROによる音源を収録したAISOが発売されていた。
また、第3弾では唯一無二のビートを生み出すGuruConnect(skillkills)作曲「TRIBE」、昨年発表した1stアルバム『SILK』を解体・再構築したBlack Boboi作曲「SILK×AISO」を収録したAISOが発表されていたが、この度第4弾として宮内優里の参加が決定。6年間にわたる自身のライフワークとなるアンビエントシリーズ「YACHIMATA」をAISO用に再構築した楽曲が収録されている。
今回のAISOは数量限定で50台の販売となる。詳しくは公式サイトをチェックしよう。
AISO公式web site https://aiso.ooo/
宮内 優里
2006年にRallye LabelよりCDデビュー。生楽器の演奏とプログラミ ングを織り交ぜた、有機的な電子音楽を得意とする。作曲家としての 活動も多く、映画「岬のマヨイガ」、「リトル・フォレスト」などの 映画音楽をはじめ、NHK・EテレなどのTV番組、CM、舞台など、様々 な場所で音楽制作を行う。KENJI KIHARAとの音楽プロジェクト 「BGM LAB.」などでも活動中。
宮内優里コメント
今回、お話をいただいてまず思ったのは、日常で使いやすく便利なものを作ってみたいということでした。芸術作品というよりは、道具や装置のようなものを目指して制作しました。
実際の制作にあたり、実現したかったのはコンピューターからイレギュラーに生成されていく新鮮さと、それぞれの音が心地よくシー ムレスに繋がっていくことを両立させることでした。
シームレスは得意でしたが新鮮さがうまく出せず、あれこれ悩んで進まない中、AISOチームとの打ち合わせの中で「YACHIMATA」と いう、以前に僕の半分趣味でやっていた楽曲シリーズの話が出てきて。ふと思いついて、試しに数曲を分解・調整して混ぜてみると、 面白そうな手応えを感じました。
複数曲のフレーズ同士を混ぜるというのは経験がありませんでしたが、むしろ新しいものを一から作るのとは違った、意図しては生ま れない新鮮さが感じられて、僕一人ではなくコンピューターと一緒に生み出せているような手応えがありました。
調整方法さえ固まると、完成までは一気に進みました。最終的にYACHIMATAシリーズから、2018年2月~2021年5月までの38曲分の環境音やフレーズを取り出して、一つずつ調整して音の欠片としてAISOに埋め込みました。僕の住んでいる千葉・八街の四季折々の田んぼの音、様々な種類の生楽器や電子音などがたくさん入っています。
この「YACHIMATA」は新曲ではありませんが、既存曲とも言えないです。そもそも、これが曲なのかどうなのかもわからないです。 僕にとってもはじめての、不思議な音楽になりました。
AISOと向き合う時間は、とても創造的で楽しい時間でした。このような不思議な音楽を作るチャンスを頂けた、AISOのみなさんに感謝します。
この音楽が、お使いいただくみなさんの日常に永く寄り添えるものになってくれたらうれしいです。
今回の発売に合わせて、宮内優里に今回の楽曲制作の裏側や自身の思う「BGM」について取材をしたインタビュー記事がAISO公式のnoteで公開された。 自身で「BGM屋さん」と銘打つ宮内優里と、AISOチームメンバーでもありサウンドデザイナーでもある日山豪とで「BGM」について3時間にも及ぶ鼎談で話した内容は、より自由な音楽の在り方を考えるきっかけとなる話が語られている。
宮内氏対談記事▶https://note.com/aiso_bgm/n/nd51b038d4d4b
AISO自己紹介記事▶https://note.com/aiso_bgm/n/n3708d89819c6
・商品名:AISO AUTOMATIC BGM GENERATOR
・内容物:microSDカード(1曲分)、再生機器、ACアダプター
・サイズ:9.4cm × 6.9cm ×高さ3.6cm
・重 さ:130g
・電 力:最大15w
・価 格:56,363円(税抜き) 62,000円(税込み)
・取扱店:エコーズブレス公式オンラインショップ
https://soundtimes.theshop.jp/
開発担当者のコメント
「潜在する音/音楽の価値を見い出し、それを具現化することで、さらなる体験を生み出す。」を理念とするエコーズブレスでは音と人と空間の関わり方をプリミティブなレイヤーで日々追求してきました。そこから「ループしないBGM」「終わりのないBGM」とい う構想が生まれプロジェクトはスタートしました。AISOは「楽曲」という大きなカタマリではなく、小さな「音」のカケラをプログラムがリアルタイムかつランダムに構築し、半永久的に新しい音楽を生成します。 しかし、あくまでもプログラムは「箱」。その「中身」となる音こそ重要であると考えています。西洋音楽を完璧に理解させたプログラムによる音楽の自動作曲ということではなく、数値化できる最低限の譜面的音楽要素のみをルール化。楽曲制作者はそのルールを自己解釈し、試行錯誤の末、独自の「音」のカケラを編み出します。再生の度に、全く異なる構成で流れ続ける音楽。レコード、カセット、CDのように、このシステムへ音を録音し「終わることのない」音楽の入ったメディアとして、音楽の作り方、聴き方、在り方を新たに提案できるのではないかと考えています。現在、様々なアーティストへ参加を募り、その実現に向け活動中です。
公式web site https://echoes-breath.com/
公式オンラインショップ https://soundtimes.theshop.jp/
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