Appleが噂されていたワイヤレスイヤホンの上位モデル AirPods Pro を発表した。価格は2万7800円で10月30日発売。
待ちに待ったアクティブノイズキャンセル(ANC)を搭載し、それに伴いカナル型とよばれる遮音性のたかい耳栓タイプのイヤーチップを使用する装着方式を採用。よりリスニングを意識した高級イヤホンに近い仕様となり、さらに、これまでのカナル型イヤホンの弱点を克服する独自の機能も多く搭載されている。
価格はこれまでのワイヤレスイヤホンに近い仕様だった下位機種から5千円近く値上がっているものの、ノイズキャンセリングの完全ワイヤレスイヤホンとしては妥当な価格で、独自の機能を考えればむしろ好コスパ製品といえそうだ。
ちなみに”Pro"の名を冠するものの、カラーはスペースグレーではなくホワイトでの展開。国内外問わずイジられた“うどん”部分は若干短くなるも健在な様子を見ると
Apple社内開発担当者(役:阿部寛)「うどんはAirPodsの命だ!マーケットの反応が怖くて個性を殺してどうする!」
女性マーケティング担当者「またうどんって・・大量のうどんミームがSNSで晒しあげられるんですよ!いい加減にしてください!」
といったドラマがあり、その後この二人は恋に落ちるのではと妄想が膨らむが、ともかく見た目的にバランスがよくなったように見える。尚、SNS上では早速様々なネタ画像が上がっており、今回もドライヤーや島ラッキョウ的な野菜などにたとえられるなど、Apple新製品ネット大喜利も恒例イベントとして盛り上がりを見せている。5年後にはApple大喜利だけで月収1000万クラスのインフルエンサーが爆誕するのかもしれない。
話がそれたが、 AirPods Proの機能でオーディオファンが最も関心を寄せるのは、ノイズキャンセリングよりもアダプティブイコライゼーションの機能ではないだろうか。カナル型イヤホンは耳の穴の形や、イヤーチップの刺さり具合で中域~低域の鳴りが変わってしまうことがあるが、AirPods Proはイヤホンのスピーカードライバと耳の間にマイクを仕込み、耳に聞こえている音をモニタリングしながら中域、低域を調整し、一貫したサウンドを再生するという。
ノイズキャンセリング+完全ワイヤレスのカナル型イヤホン自体は、Sony、Boseなどをはじめとするオーディオメーカーから発売されており珍しいものではないが、アダプティブイコライゼーションが本当に機能するのであれば、イヤホンの考え方を大きく前進させる機能となり得る。プロフェッショナルなオーディオエンジニアのスタジオでは同じスピーカーでも部屋の構造により再生音の特性が変わることから、スピーカーからの再生音をマイクで拾いスピーカーの周波数特性を調整するといった作業を行うが、AirPods Proはこの小さなイヤホンの中で同じことをやろうとしている。
他にも単なる既製イヤホンの類似品では終わらない差別化ポイントがあり、オーディオメーカーでは難しいところへ切り込んでいる。特にカナル型イヤホンの弱点となる部分に積極的にメスを入れており、上述のアダプティブイコライゼーション以外では
・ゴム製耳栓をしているような耳孔内の気圧引っ張られてる感が不快
ー通気システムにより圧力を均等化
・イヤーチップの大きさの正解がわからない
ーイヤーチップ装着状態テストの機能によりユーザーに最適なサイズを見つける
・外部の音が聞こえづらくなる
ー外部音取り込みモードは、音楽を聴きながらも周囲の音も聞こえる
などなど、カナル型では妥協ポイントだった部分にテック企業らしい課題解決を行っているところがすばらしい。控えめに言って100点。
と、関西弁が出てしまうくらいAirPods Proはガツンと進化している。ちなみに関西人として残念なお知らせをすると実際に『○○はん』と言っている人は見たことがない。これまでの純正イヤホンやAirPodsでは外にも内にも音漏れがあり、電車でのリスニングが多い日本の環境にはあわず、一般的なオーディオブランドのイヤホンを選択していたリスナーは多いと思う。が、今回のAirPods Proは単なるiPhone周辺アクセサリという領域を超え、本気なリスニング用イヤホンマーケットでも存在感を示しそうな尖った製品となっている。
written by Yui Tamura
source:
https://www.apple.com/jp/newsroom/2019/10/apple-reveals-new-airpods-pro-available-october-30/
photo:
https://youtu.be/IC9urbiVp4M